WO2005034146A1

WO2005034146A1 - ケーブル及びその製造方法

Info

Publication number: WO2005034146A1
Application number: PCT/JP2004/014165
Authority: WO
Inventors: Shuichi Inoue
Original assignee: J. S. T. Mfg. Co., Ltd.
Priority date: 2003-09-30
Filing date: 2004-09-28
Publication date: 2005-04-14
Also published as: US7256345B2; JP2005108624A; JP4008402B2; US20060283616A1

Abstract

　ケーブル１は、外部接続端子と接続する両端の接続部１２と中間部１３から構成され、接続部１２は導電部１４を有し、外部接続端子と接続される。ケーブル１は複数のシート状エラストマ１Ｈを積層することで形成され、シート状エラストマ１Ｈは非導電性を有するエラストマ原料を基材とし、両端に導電性を有する短冊状エラストマ１Ｔを有し、両端の短冊状エラストマ１Ｔ同士を結合する伝送路を有する。パラレル伝送方式で伝送可能であるにも拘らず、中間部１３が狭幅であり、導電部１４の異方導電性から外部接続端子と柔軟に接続可能な効果がある。

Description

明細書

ケーブル及びその製造方法

技術分野

[0001] 本発明は、異方導電性のシート状ケーブル及びその製造方法に関する。特に、異方導電性の接続部を有し、シート状エラストマにより構成された柔軟性のあるケープル及びその製造方法に関する。

背景技術

[0002] 最近の電子機器の小型化や薄型化に伴い、微細な回路同士の接続、微細部分と微細な回路の接続等の必要性が増大してきている。例えば、異方導電性のシート状エラストマを電子部品とプリント配線板との間に介在させ、導通させる方法がある。

[0003] 異方導電性のシート状エラストマは、シート状に形成されある方向にのみ導電性のあるエラストマのことであり、その異方性力意図した方向のみの導電性を担保したものである。シート状エラストマには一般に、厚み方向にのみ導電性を示すもの、または厚み方向に加圧されたときに厚み方向にのみ導電性を示すもの等がある。

[0004] 従来、このような異方導電性のシート状エラストマとしては、並置された金属細線をゴム等の絶縁体で一体化することにより作成された異方導電性のブロックを、金属細線が延びる方向に直角の方向に薄く切断することにより得られることが知られて、る ( 例えば、特許文献 1)。

[0005] また、隔離されたプリント配線板の信号を柔軟性のある接続部材で接続する方法として、フレキシブルプリント配線板を用いることが知られている。例えば、リジッドプリント配線板間をフレキシブルプリント配線板で接続することにより、信号の伝送路に柔軟性を保ちながらリジットプリント配線板間の信号ラインを接続することが可能である。この方法においては、プリント配線板の狭小化や、電子回路の高密度実装を実現するため、リジットプリント配線板が多層化されており、接続部材であるフレキシブルプリント配線板にぉ、ても、多層化されたフレキシブルプリント配線板が使用されてヽる。特許文献 1：特開 2000 - 340037号公報

発明の開示発明が解決しょうとする課題

[0006] 従来の異方導電性のシート状エラストマは、電子部品とプリント配線板との間に配置されるシートの厚み方向にのみ導電性を有するものであり、一定の長さ以上に隔離されたプリント配線板間を柔軟性をもって立体接続することを実現することを目的とするものではない。また、従来のシート状エラストマに伝送路を形成する場合は、その伝送路は一平面上に構成されるため、プリント配線板の伝送路を接続するために必要な伝送路の全てを形成するためには幅広となって!/、た。

[0007] 一方、多層プリント配線板において、絶縁層にビアを貫通させ、立体的に接続する方法が公知である。しかし、この方法では、垂直方向に信号の反射が起き、さらに垂直方向には等価が取れないという問題がある。また、プリント配線板にコネクタを取り付け、パラレル伝送方式によるケーブルを接続することにより、伝送路を確保する方法がある。しかし、この方法ではプリント配線板間を柔軟に接続することができない。

[0008] 本発明は、プラグピン等の外部接続端子に接続される異方導電性を有するケープルを用いて、立体的に離隔したプリント配線板同士を柔軟に接続することを可能にすることを目的とする。さらに、ケーブルがパラレル伝送方式であるにもかかわらず、ケ一ブル伝送路の面積狭小化を実現することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0009] 発明者は、上記目的を満たすため、以下のような新たな異方導電性のケーブル及びその製造方法を発明した。

[0010] (1) 両端部に設けられ外部端子が接続される接続部と、この接続部同士を接続する中間部と、を備えるケーブルであって、非導電性を有する複数のシート状エラストマを備え、前記シート状エラストマは、幅広の一対の両端部と、これら端部の間に設けられる狭幅の中間部と、を備え、前記幅広の一対の端部のそれぞれに導電性を有する短冊状エラストマが m列配列され、前記狭幅の中間部に、前記短冊状エラストマ間を結ぶ伝送路が mと同じか又は mより少ない k本、パターン形成されているものであり、前記シート状エラストマが、上下層の短冊状エラストマが互いに接触するように、 mと同じか又は mより少ない n層が積層され、積層された前記シート状エラストマの両端部に前記外部接続端子を圧着することにより前記外部接続端子と接続されるケ一ブル。

[0011] (2) 柔軟に折り曲げ可能であることを特徴とする（1)記載のケーブル。

[0012] (3) ケーブルの製造方法であって、前記ケーブルの形状に加工した非導電性ェラストマ部材に導電性エラストマを設けてエラストマ部材を得る導電部形成工程と、前記エラストマ部材をシート状に切断しシート状エラストマを得る切断工程と、前記シート状エラストマの表面に伝送路を形成する伝送路形成工程と、複数のシート状エラストマを積層接着するシート積層工程と、を含むケーブルの製造方法。

[0013] 本発明は、シート状エラストマを積層させることで構成され、柔軟性と狭小性を実現させた中間部と、外部接続端子との脱着が容易である異方導電性を有する接続部と力なることを特徴とするケーブルとその製造方法を提供することにある。

[0014] 「幅広の端部」とは、シート状エラストマが一対の互いに対向する端部と、これら端部に挟まれた中間部と、を備え、前記中間部を挟む一対の端部が、前記中間部よりも幅が広いことを意味してよい。また幅広の端部は、シート状エラストマが積層されて構成されたケーブルの接続部として機能できるほど、十分な面積を確保してヽることが好ましい。

[0015] 「シート状エラストマ」とは、エラストマ原料を用いて作られたシート状部材を意味する。「シート状」とは、一般的に考えられているシート状の形状をした平板を意味する。板厚は薄ぐできるだけ均一であったほうが望ましい。通常には lmm程度の厚みを持つが、約 50 m以下の厚みにしてもよい。本発明では、個々のシート状エラストマの厚みが薄ヽ場合に、このシート状エラストマが積層されて構成されたケーブルの薄型化が実現されることが特徴の一つである。

[0016] 「エラストマ原料」とは、弾性を有する高分子化合物であり、通常は導電性を有さない。エラストマ原料としては、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ブタジエン共重合体や共役ジェン系ゴムおよびこれらの水素添加物、ブロック共重合体ゴムおよびこれらの水素添加物、クロ口プレン重合体、塩化ビュル酢酸ビュル共重合体、ウレタンゴム、ポリエステル系ゴム、ェピクロルヒドリンゴム、エチレンプロピレン共重合体ゴム、ェチレンープロピレンジェン共重合体ゴム、軟質液状エポキシゴム、シリコーンゴム、またはフッ素ゴム等が使用される。ブタジエン共重合体や共役ジェン系ゴムとしては、ブタジェンースチレン、ブタジエンアタリ口-トル、ブタジエンイソブチレン等が挙げられる。ブロック共重合体ゴムとしては、スチレンブタジエンジェンブロック共重合体ゴム、スチレンイソプレンブロック共重合体等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、耐寒性、耐薬品性、耐候性、電気絶縁性、および安全性に優れるシリコーンゴムが好適に用いられる。

[0017] 「導電性を有する短冊状エラストマ」とはシート状エラストマ上に短冊状に配置された導電性を有するエラストマであり、体積固有抵抗を低く（例えば、 1 Ω 'cm以下)するように、導電性を有する材料を混ぜたエラストマであってよい。また、「短冊状」とは、細長い形状を意味し、接続される外部接続端子のプラグピンの形状に適合すれば矩形に限られず、楕円形等の他の形状でもよい。

[0018] 「導電性を有する」とは、導電率が十分高、ことであってよ!、。また、ケーブル全体としては、力かる構成を有するケーブルのある特定の導電方向にぉ、て十分な導電性を持たせることができるような導電性を有することを意味して、る。導電性を有するェラストマは、導電性を有さないエラストマ原料に、導電性物質として、純金属、合金、又は非金属の粉末 (フレーク、小片、箔等も可)を混合することにより得られる。純金属としては、金、銀、銅、ニッケル、タングステン、白金、及びパラジウムが挙げられ、合金としては、ステンレス（SUS)、りん青銅、及びベリリウム銅等が挙げられる。また、非金属の導電性物質としては、カーボン等が挙げられ、カーボンにはカーボンナノチユーブゃフラーレン等を含んで、てよ!/、。

[0019] 「短冊状エラストマが m列配列され」とは、外部接続端子と平行に短冊状エラストマが m列配列されることを意味してよい。 mは 1以上の整数であれば、任意である。配列は任意であってよぐ不規則であっても規則的であってもよい。配列する間隔は、任意であってよぐ等間隔であってもよく間隔が異なってもよい。これら短冊状エラストマは、接続される外部接続端子となるプラグピンの配置と数に適合させて任意に配置される。

[0020] 「短冊状エラストマ間を結ぶ伝送路」とは、シート状エラストマの両端部に配置された対向する短冊状エラストマの両端同士を結ぶパターン形成された伝送路のことである。伝送路はシート状エラストマの少なくとも一表面上に形成されている力伝送路がシート状エラストマの表裏両面にパターン形成されてもょ、。伝送路の形状や短冊状エラストマの選択は任意であってよい。伝送路は銅箔で形成されていてもよぐこの銅箔には金、ニッケル、はんだなどで鍍金が施されていてもよい。

[0021] 「伝送路が mと同じか又は mより少ない k本」とは、 1層のシート状エラストマに形成される伝送路の本数力短冊状エラストマの列数 mと同じ又は少ない 1以上の k本であることを意味してよ、。

[0022] ハイブリッド ICやマイクロ波用 ICなどのデバイスは、クロック周波数が 10GHzに達している場合もあり、プリント配線板に使用するケーブルとしての高周波対応の期待は高い。そこで伝送路を、高周波信号の伝送に対応すベぐ例えば、一つの信号に対して 2本の差動信号線を設け、低電圧差動伝送方法により、電磁波の放射や表皮効果の問題を回避するよう形成することも可能である。

[0023] 「狭幅の中間部」とは、シート状エラストマの両方の端部に比べて中間部の幅が狭 V、ことを意味してょ、。本発明では両端部に比較して中間部の信号通路が狭、ことで、接続ケーブルとして使用する際に、ケーブルの狭小性、柔軟性を確保でき立体的に複雑なケーブル接続を可能にすることが特徴の一つである。

[0024] 「中間部にパターン形成されている」とは、シート状エラストマの少なくとも中間部には伝送路が形成されていることを意味し、中間部のみならず、両端部においても伝送路がパターン形成されていてよい。「パターン形成」とは、エッチング等により銅箔を選択的に溶解し必要な伝送路を形成する事を意味してよい。伝送路の配線パターンは任意であるが、本発明の実施例においては、各伝送路がシート状エラストマの両端に配置された短冊状エラストマ同士を一対一に接続しており、シート状エラストマ上の複数の伝送路同士が、短絡しないよう立体交差されている。

[0025] 「非導電性」とは、導電率が十分低いことであってよぐまた、電気抵抗が十分高いことであってよい。また、ケーブル全体としては、力かる構成を有する異方導電性のケ一ブルの非導電方向にぉ、て十分な非導電性を持たせることができるような非導電性を有することを意味して、る。

[0026] 「上下層の短冊状エラストマが互いに接触するように」とは、複数のシート状エラストマを積層する際に、重なり合う上下の層の短冊状エラストマが接触することで、積層方向に導電性を有することを意味する。「接触」とは物理的にシート状エラストマが積層される事で確保され、「接触するように」とは、短冊状エラストマの積層方向の導電性を担保するためである。

[0027] 「mと同じか又は mより少ない n層が積層され」とは、短冊状エラストマの配列数 m列と同じ又は m列より少ない n層が積層されることを意味する。ここで nは 1以上の整数である。「積層」とは複数のシート状エラストマを結合することである。また、各層によつてシート状エラストマに形成される短冊状エラストマの列数 mの数が異なってもよい。

[0028] 本発明では、シート状エラストマが積層されているため、各層の伝送路は独立して信号を伝送することが可能である。そのため、外部接続端子から入出力される信号をパラレル伝送方式で送受信可能であることが特徴の一つである。カロえて、パラレル伝送方式を採用しているにもかかわらず、積層する事でケーブル中間部の幅が狭小であることが特徴の一つである。

[0029] 「外部接続端子」とは、プラグピンの他にエラストマコネクタであってもよ!/、。エラストマコネクタとしては、導電性ゴム等のエラストマを用いて単純に電極間に挟んで押さえつけるだけで電気的接続をするタイプのコネクタか又は、水平方向に絶縁、垂直方向に導電と、ぅ異方導電性のシートタイプのエラストマコネクタが使用されてもょ、。

[0030] 「異方導電性」とは、一方向にのみ導電性を有することを意味する。異方導電性のケーブル全体における異方導電性とは、ケーブルの導電部を構成する短冊状エラストマにより、シート状エラストマの積層方向にのみ導電性を有し、シート状エラストマの面方向には導電性を有しな、ことを意味する。

[0031] 「異方導電性のシート」とは、所定の厚みを有すると共にこの厚みの表及び裏に所定の表面及び裏面を有する可撓性の異方導電性のシートであってよ!、。「所定の厚みを有すると共にこの厚みの表及び裏に所定の表面及び裏面を有する」とは、通常のシートが持つ特徴であってよい。この異方導電性のシートは、ある厚みを有し、厚みよりも大きな寸法で規定される表面及び裏面を厚みの前後若しくは上下に有していてよい。「可撓性」とは、シートが橈み得ることを意味してよい。

[0032] 「柔軟に折り曲げ可能」とは、一般のケーブルが有する特性であって異方導電性のケーブルの中間部を折り曲げることや、それ以外にも、湾曲、 U字状、ねじる等の変形が可能なことを含む。

[0033] 異方導電性のケーブルの形状は、外部接続端子と接続される一対の接続部と、これらの接続部に挟まれた中間部と、を備える任意の形状であり、ケーブルの伝送路である中間部が両端側に設けられた接続部より幅が狭ければよぐ中間部はケープルを接続する接続部の幅方向の中央に配置されていなくてもよぐ幅方向の一方の端部に偏っていてもよい。

[0034] 「導電部形成工程」とは、ケーブルの形状に加工されたシート状エラストマ等の非導電性部材に、導電性エラストマを接着する工程を意味する。「切断工程」とは、非導電性部材に導電性エラストマを接着したエラストマ部材を、シート状に切断する工程を意味する。「伝送路形成工程」とはシート状エラストマ上にある両端の短冊状エラストマを結ぶ伝送路を 1以上作成する工程を意味する。「シート積層工程」とは、伝送路を形成した複数のシート状エラストマを積層することで異方導電シートケーブルを形成する工程である。

発明の効果

[0035] 本発明は、プリント配線板等の外部接続端子を結合するケーブルであり、狭小化や薄型化を実現したフレキシブルなケーブルとして機能する効果がある。ケーブルの接続部において異方導電性を有し、エラストマの弾力性によりコネクタとの接続を容易にし、かつその接続を脱着可能にさせる効果がある。また、伝送路が多層化されていることから、信号がパラレル伝送方式で送受信できるにもかかわらず、ケーブルの狭小化を実現し、柔軟性を持ってプリント配線板間等の立体的な接続が可能であるという効果がある。

図面の簡単な説明

[0036] [図 1]本発明の実施形態であるケーブルの斜視外観図である。

[図 2]図 1におけるケーブルと外部接続端子との接続例を示すための斜視図である。

[図 3A]図 1におけるケーブルの製造方法を示すための斜視図である。

[図 3B]図 1におけるケーブルの製造方法を示すための斜視図である。

[図 4]図 3の次の製造工程であり、エラストマ部材を切断する工程を示すための斜視図である。圆 5A]図 4の次の製造工程であり、シート状エラストマに伝送路を形成する工程を示すための斜視図である。

圆 5B]伝送路が形成されたシート状エラストマを示す斜視図である。

圆 5C]伝送路が形成されたシート状エラストマを示す斜視図である。

圆 6]図 5Aの次の製造工程を示すための斜視図で、シート状エラストマを積層する様子を示すための斜視図である。

[図 7]図 6の他の実施例であるシート状エラストマの斜視図である。

[0037] 1 ケーブル

12 接続部

13 中間部

14 導電部

1H、 IS— 9S、 2M、 3M、 100S シート状エラストマ

1P、 2P、 1P1— 1P4、 2P1— 2P4 プラグピン

1T、 1L1、 1L2、 1R1— 1R4、 2L1— 2L4、 2R1— 2R4、 3L1— 3L4、 3R1— 3R4 、 9L1、 9L2 短冊状エラストマ

2D1、 2D2、 2D1X、 2D2X、 3D1、 3D2 伝送路

発明を実施するための形態

[0038] 以下、図面を参照し、本発明の実施形態を挙げつつ、本発明をより詳しく説明するが、本実施形態は本発明の好適な例として具体的な材料や数値をあげたものであるので、本発明は本実施形態に限られるものではない。

[0039] 図 1は、本発明の実施形態であるケーブル 1の斜視外観図を示す。本実施形態のケーブル 1は、両端部のそれぞれに設けられた外部端子が接続される一対の接続部 12と、これら接続部 12に挟まれた中間部 13から構成され、中間部 13は接続部 12に比べて狭幅である。そして、接続部 12には導電性を有する導電部 14が設けられている。

[0040] 図 1のケーブル 1は、シート状エラストマ 1Hが複数積層されて構成されている。シート状エラストマ 1Hは非導電性のエラストマ原料を基材として構成される。シート状エラストマ 1Hの両端には、導電性を有する複数の短冊状エラストマ 1Tが配置されて、る。そして、導電部 14は、各シート状エラストマ 1H上に設けられた短冊状エラストマ 1T が積層されることで構成される。

[0041] 短冊状エラストマ 1Tは、シート状エラストマ 1Hの表裏面方向に導電性を有するため、シート状エラストマ 1Hが重なり合った層間の導電性を担保する。従って、導電部 14はシート状エラストマが積層される方向である Z方向に導電性を有する。しかし、シート状エラストマ 1Hの面方向である X、 Y方向に導電性は有しないため、導電部 14 は異方導電性を有している。

[0042] エラストマ原料としては、三菱榭脂株式会社製のシリコーンゴムや信越ポリマー株式会社製のシリコーンゴム等を用いており、導電性を有する導電部 14は、エラストマ原料としてのシリコーンゴムに銀 (Ag)の微粒子を混練させたものを使用して構成している。

[0043] 図 1の実施形態においては、シート状エラストマ 1Hを 9層重ね合わせている力積層する層の数は任意であり、接続される外部接続端子とケーブルの導電部 14に応じて調整することができる。なお、以下、 9枚のシート状エラストマ 1Hのそれぞれを区別する場合、最外層の一方 (最上層）のシート状エラストマを 1S、その下層のシート状エラストマを 2S、以下、最外層の下方 (最下層）のシート状エラストマを 9Sとする。

[0044] 図 1の実施形態において導電部 14は、 16列の短冊状エラストマ 1Tで構成され、隣接する 2本の短冊状エラストマ 1Tが対をなし、 8列の短冊状エラストマ 1Tを含む 4対の短冊状エラストマ 1Tが群となり、この群が 2つ設けられている。これは一例であり、これらの対構成、群構成、導電部 14の合計数は任意である。これらの選択は、接続される外部接続端子とシート状エラストマ 1Hの層数に応じて調整できる。尚、図 1では全ての層のシート状エラストマ 1Hが 16列の短冊状エラストマ 1Tを有し、 16の導電部を構成している力短冊状エラストマ 1Tの数が層ごとに変化してもよい。

[0045] 図 2は、ケーブル 1を用いて外部端子を接続する実施形態の一例である。外部接続端子のプラグピン 1Pと、プラグピン 1Pと立体的に隔離された位置にある（すなわちケ一ブル 1を挟んでプラグピン 1Pと対向配置される）外部接続端子のプラグピン 2Pがケーブル 1により接続されている。ケーブル 1はシート状エラストマ 1Hで構成され、柔軟性を備えることから対向配置されるプラグピン 1Pとプラグピン 2Pとはケーブル 1の中間部 13にお、て柔軟性をもたせた状態で接続されて、る。図 2では外部接続端子がプラグピンである力エラストマコネクタが使用されてもよい。

[0046] エラストマコネクタは、導電性ゴム等のエラストマを用いて構成され、単純に電極間に挟んで押さえつけるだけで電気的接続をするタイプのコネクタである。エラストマコネクタには、水平方向に絶縁、垂直方向に導電という異方導電性のシートタイプのェラストマコネクタがある。

[0047] ケーブル 1の接続部 12では、プラグピン 1Pと最下層のシート状エラストマ 9Sの短冊状エラストマ 1Tが接続される。同様に、外部接続端子のプラグピン 2Pとケーブル 1の接続部は、プラグピン 2Pと最上層のシート状エラストマ 1Sの短冊状エラストマが接続される。これより、導電部 14は積層方向にのみ導電性を有するので、プラグピン 1P、プラグピン 2Pの電気的接続が接続部 12の厚み方向に導電することが可能である。本実施形態では、に最上層に位置するシート状エラストマ 1Sを除くシート状エラストマ 2S— 9Sのそれぞれに中間部を挟んで対向する短冊状エラストマ 1Tの両端同士を結ぶ伝送路を設けているため、パラレル伝送方式により信号の伝送をすることが可能である。

[0048] 次に、図 1におけるケーブル 1の製造方法を図 3Aから図 6を用いて説明する。なお、図 3A以降においては、図 1において符号 1Tで示した短冊状エラストマを、各層のシート状エラストマ 1S— 9Sに形成されたものとして区別するため、異なる符号を付して説明する。

[0049] まず、導電部形成工程について説明する。図 3Aにおいては、完成品となるケープルの形状を型抜きしたケーブル型枠 1Kの両端側に中子 1Nを複数立設しておく。そして、エラストマ原料として非導電性ゴムをこの形枠に入れて成形する。更に加硫し加熱することで導電性を有しない非導電性エラストマ部材 1Aを得る。次に、図 3Bのように中子 1Nを取り除き、取り除いた部分に、銀などの導電性物質を混練した未カロ硫の導電性ゴムを注入する。そして、未加硫の導電性ゴムと加硫済の非導電性エラストマ部材を加熱することにより接着することで、エラストマ部材 1Bを得る。

[0050] 次に切断工程により、エラストマ部材 1Bを型枠から取り出し、図 4に示されるように、エラストマ部材 1Bを X— X,切断線よりシート状に切断することにより、シート状エラストマ 100Sを得る。シート状エラストマの厚みは、所望により調整することが可能である。通常は lmm程度であるが薄くする場合は、約 100 m以下 (特に望まれるときには約 50 m以下）にすることもでき、数 mmとすることもできる。本実施例では約 lmmとした。

[0051] 切断は、超鋼カッター、セラミックカッター等の刃による切断や、ファインカッターのような砲石を使った切断、ソーのようなのこぎりによる切断や、その他の切削機器や切断器具 (レーザー切断機のような非接触型の切断装置を含んでもよい）により切断できる。また、切断の過程において、過熱を防止するために、きれいな切断面を出すために、或いは、その他の目的のために切削油等の切削フルーイドを用いてもよぐ乾式で切断してもよい。

[0052] 伝送路形成工程では、図 5Aに示されるように、シート状エラストマ 100Sと同一の形状をした銅箔 1Cをシート状エラストマ 100Sに接着する。次に、銅箔 1Cを接着したシート状エラストマ 100Sに、マスクパターンとして両端の短冊状エラストマを接続する所望の伝送路を形成したフォトマスクを用いて、フォトエッチング法により伝送路を構成する。

[0053] 図 5Bは伝送路 2D1、 2D2が形成されたシート状エラストマ 2Sを示し、シート状エラストマ 2S上には、短冊状エラストマ 2L1と短冊状エラストマ 2R1を接続する伝送路 2 D1と、短冊状エラストマ 2L2と短冊状エラストマ 2R2を接続する伝送路 2D2が形成されている。同様に、図 5Cにおいては、シート状エラストマ 3S上に、短冊状エラストマ 3 L3と短冊状エラストマ 3R3を接続する伝送路 3D1と、短冊状エラストマ 3L4と短冊状エラストマ 3R4を接続する伝送路 3D2が形成されて、る。このように伝送路を形成したシート状エラストマを確保したい伝送路の数に応じて作成する。

[0054] 図 5B、図 5Cの伝送路パターンは一例を示したものである。これ以外のパターンとして、例えば、一層のシート状エラストマに 1もしくは 3以上の伝送路が形成されていてもよ！/、し、シート状エラストマ 2S上の伝送路が短冊状エラストマ 2L1から短冊状エラストマ 2R3等の任意の短冊状エラストマに結合してもよ、。これらの伝送路のパターンは、シートケーブルが接続される両端のプラグピンのどれを接続するかによって決定される。 [0055] 図 6は、 9枚のシート状エラストマ IS— 9Sを積層しケーブルを形成するシート積層工程を示している。この図に示すように、シート状エラストマ 1Sからシート状エラストマ 9Sまでを積層させている。ここで、伝送路を有しないシート状エラストマ 1Sを最上層に設けている。これは、最上層のシート状エラストマ 1Sに積層されるシート状エラストマ 2Sの伝送路が剥き出しになることを防ぎ、絶縁性を確保するために設けられている。

[0056] 次に本発明の作用を説明する。複数のシート状エラストマ 1S— 9Sを積層させ形成したケーブル 1を、図 2に示した外部接続端子であるプラグピン 1P、プラグピン 2Pと接続した場合について以下説明する。プラグピン 1P側にケーブル 1が接続されると、ケーブル 1の最下層であるシート状エラストマ 9Sとプラグピン 1Pが圧着することになる。プラグピン 2P側では、シートケーブル 1の最上層であるシート状エラストマ 1Sがプラグピン 2Pと圧着することになる。

[0057] プラグピン 1P側では、シート状エラストマ 9Sの短冊状エラストマ 9L1とプラグピン 1P 1が接触し、短冊状エラストマ 9L2が、プラグピン 1P2と接触する。ここで、導電部 14 は異方導電性により積層方向にのみ導電性を有するため、短冊状エラストマ 9L1から短冊状エラストマ 1L1まで、短冊状エラストマ 9L2から短冊状エラストマ 1L2までの導電経路が確保される。

[0058] 短冊状エラストマ 9L1から積層方向の導電においては、シート状エラストマ 2Sの伝送路 2D1を有する短冊状エラストマ 2L1のみが空端子とならない。これより、プラグピン 1P1からは、短冊状エラストマ 9L1、短冊状エラストマ 2L1を経由して、短冊状エラストマ 2R1に迪り着き、導電部 14の異方導電性力も短冊状エラストマ 1R1を経由してプラグピン 2P1に到着する。

[0059] プラグピン 1P2からは、短冊状エラストマ 9L2、短冊状エラストマ 2L2を経由して、短冊状エラストマ 2R2に迪り着き、導電部 14の異方導電性力短冊状エラストマ 1R 2を経由してプラグピン 2P2に到着する。従って、図 6のシートケーブルでは、プラグピン 1P1とプラグピン 2P1の導電経路を確保し、プラグピン 1P2とプラグピン 2P2の導電経路を確保すると、つた平行経路になって、る。

[0060] 図 7は、立体交差経路を有するシートケーブルに使用されるシート状エラストマ 2M とシート状エラストマ 3Mを一例として示して、る。これらは伝送路の配線パターンが立体交差している。シート状エラストマ 2Mは、短冊状エラストマ 2L1と短冊状エラストマ 2R2を結ぶ伝送路 2D1Xと、シート状エラストマ 3Sと同じ経路である伝送路 3D1を有する。シート状エラストマ 3Mは、短冊状エラストマ 3L2と短冊状エラストマ 3R1を結ぶ伝送路 2D2Xと、シート状エラストマ 3Sと同じ経路である伝送路 3D2を有する。図 6のシート状エラストマ 2Sを図 7のシート状エラストマ 2Mと入れ替え、図 6のシート状エラストマ 3Sを図 7のシート状エラストマ 3Mと入れ替える。これより、短冊状エラストマ 9L1から短冊状エラストマ 1R2へ伝送路が確保され、短冊状エラストマ 9L2から短冊状エラストマ 1R1へ伝送路が確保される。他の接続は図 6と同一であるため、局所的に交差したシート状のケーブルが得られる。

[0061] このような平行経路、立体交差経路といった導電経路に限らず、所望により経路を設計することが可能である。シート状エラストマ上の伝送路を結合する短冊状エラストマの選択、伝送路パターンの選択、伝送路の本数の選択、という自由度だけ導電経路の自由度が存在する。一般の導電経路形成の条件としては、 1以上の伝送路同士を交差させることができないため、層間の絶縁性を利用して伝送路パターンを形成する必要がある。

[0062] 導電経路の自由度にくわえて、積層するシート状エラストマの数と、シート状エラストマに有する短冊状エラストマの数も任意であるため、外部接続端子に適合させて、様々なケーブルを製造することが可能である。

[0063] 本発明は、プリント配線板上等の外部接続端子に、柔軟性をもって接続しパラレル伝送方式で信号の送受信を行うことが可能なケーブルとして使用される。

Claims

請求の範囲

[1] 両端部に設けられ外部端子が接続される接続部と、この接続部同士を接続する中間部と、を備えるケーブルであって、

非導電性を有する複数のシート状エラストマを備え、

前記シート状エラストマは、幅広の一対の端部と、これら端部の間に設けられる狭幅の中間部と、を備え、前記幅広の一対の端部のそれぞれに導電性を有する短冊状エラストマが m列配列され、前記狭幅の中間部に、前記短冊状エラストマ間を結ぶ伝送路が mと同じか又は mより少ない k本パターン形成されているものであり、

前記複数のシート状エラストマが、上下層の短冊状エラストマが互いに接触するように、 mと同じか又は mより少ない n層が積層され、積層された前記シート状エラストマの両端部に前記外部接続端子を圧着することにより前記外部接続端子と接続されるケーブル。

[2] 柔軟に折り曲げ可能であることを特徴とする請求項 1記載のケーブル。

[3] ケーブルの製造方法であって、

前記ケーブルの形状に加工した非導電性エラストマ部材に導電性エラストマを設けてエラストマ部材を得る導電部形成工程と、

前記エラストマ部材をシート状に切断しシート状エラストマを得る切断工程と、前記シート状エラストマの表面に伝送路を形成する伝送路形成工程と、複数のシート状エラストマを積層接着するシート積層工程と、

を含むケーブルの製造方法。