明 細 書
重合性液晶化合物、液晶組成物及び光学異方性材料
技術分野
[0001] 本発明は、波長 300— 450nmのレーザー光に使用する回折素子または位相板な どの光学素子に好適に用レ、られる重合性液晶化合物、該化合物を含む液晶組成物 、該液晶組成物を用いた光学異方性材料に関する。
^景技術
[0002] 近年、光ディスクの大容量ィ匕を図るため、情報の書き込み、読み取りに使用される レーザー光の短波長化が進んでいる。現在、 CDでは波長 660nm、 DVDでは波長 780nmのレーザー光が使用されている力 次世代光記録メディアでは、波長 300— 450nmのレーザー光の使用が検討されている。これに伴い、波長 300— 450nmの レーザー光(以下、青色レーザー光とも記す。 )に使用する回折素子、位相板等の光 学素子が必要となり、該波長帯のレーザー光に対応できる光学異方性材料が求めら れている。
[0003] 一方、重合性官能基を有する液晶(以下、重合性液晶化合物と記す。)は、重合性 モノマーとしての性質と液晶としての性質とを併有する。したがって、重合性液晶化 合物を配向させた後に重合反応を行うと、液晶の配向が固定された光学異方性材料 が得られる。重合性液晶のなかでも、特に光重合性官能基を有する光重合性液晶は 、光を照射して重合させることによって、簡便に光学異方性材料を作製できる優れた 化合物である。
[0004] 前記光学異方性材料は、メソゲン骨格に由来する屈折率異方性等の光学異方性 を有し、該性質を利用して回折素子、位相板等の光学素子に応用されている。このよ うな光学異方性材料としては、たとえば、下式 (4)で表される化合物(ただし、式中の Qは、 1 , 4_フエ二レン基またはトランス— 1, 4—シクロへキシレン基であり、 Zはアルキ ル基である。 )を含む液晶組成物を重合させてなる高分子液晶が報告されている(特 許文献 1参照。)。
[0005] [化 1]
[0006] また、一般に偏光ホログラム等の回折素子や位相板用の光学異方性材料に求めら れる特性としては、以下の特性が挙げられる。
(1)使用する光の吸収が少ないこと。
(2)面内光学特性 (リタデーシヨン値等)が均一なこと。
(3)素子を構成する他の材料と光学特性を合わせやすレ、こと。
(4)屈折率の波長分散が小さレ、こと。
(5)耐久性が良好なこと。
特許文献 1 :特開平 10 - 195138号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0007] しかし、特開平 10— 195138号公報に記載された高分子液晶等の、従来から知ら れた材料は、青色レーザー光に対する耐久性が不充分である問題があった。
通常、素子の小型化、高効率化を達成するためには、高い屈折率異方性を有する 材料が必要とされる。そして、高い屈折率異方性を有する材料は、高い屈折率を有 する傾向がある。また、高屈折率材料は、一般に以下に示す性質を有する。
(A)屈折率の波長分散が大きレ、。
このことにより、光源の発振波長が初期設定からずれた場合、光の透過時には 透過率の低下が生じ、光の回折時には高次回折光の発生による回折効率低下が生 じる問題があった。
(B)光源の短波長化に伴レ、屈折率が大きくなる。
このことによって、前記要求特性(3)を満たすことが困難になる問題があった。 また、屈折率波長分散が大きい材料は、短波長の光に対する光の吸収が大きくな る(すなわち、材料のモル吸光係数が大きくなる。)傾向がある。
よって、従来から知られた高屈折率材料は、青色レーザー光のような短波長の光を
吸収しやすぐ耐光性が低い問題があった。
結果として、従来の材料では、青色レーザー光用の光学異方性材料に対する要求 特性を満たすことができず、特に耐久性が不充分である問題があった。
課題を解決するための手段
[0008] 本発明は前記の問題を解決するためになされたものであり、光学異方性材料に要 求される特性を満たし、特に波長 300— 450nmのレーザー光に対する耐久性が高 レ、新規な重合性液晶化合物、該化合物を含む液晶組成物、該液晶組成物を用いた 光学異方性材料を提供する。すなわち、本発明は以下の発明を提供する。
[0009] < 1 >下式(1)で表されるアクリル酸誘導体であることを特徴とする重合性液晶化 合物。ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
R1:水素原子またはメチル基。
R2:炭素数 1一 8のアルキル基。
Cy:トランス 1, 4—シクロへキシレン基。
X1 : ! , 4_フエ二レン基またはトランス— 1 , 4—シクロへキシレン基。
ただし、上記の 1, 4 フエ二レン基およびトランス _1 , 4ーシクロへキシレン基は、基 中の水素原子がフッ素原子、塩素原子またはメチル基に置換されていてもよい。
[0010] [化 2]
CH2=CR1-COO-(\ /)-OCO-Cy-X1-R2 (1)
[0011] < 2 が水素原子である < 1 >に記載の重合性液晶化合物。
< 3 > < 1 >または < 2 >に記載の重合性液晶化合物の 2種以上を含有することを 特徴とする液晶組成物。
< 4 > < 1 >または < 2 >に記載の重合性液晶化合物と、下式(2)で表されるアタリ ル酸誘導体である重合性液晶化合物とを含有することを特徴とする液晶組成物。た だし、式中の記号は以下の意味を示す。
R3:水素原子またはメチル基。
Cy:トランス一 1, 4—シクロへキシレン基。ただし、該基中の水素原子はフッ素原子、 塩素原子またはメチル基に置換されてレ、てもよレ、。
R4:炭素数 1一 8のアルキル基。
[0012] [化 3]
CH2=CR3-COO-Q-OCO-Cy-R4 (2)
[0013] <5><1>または<2>に記載の重合性液晶化合物と、下式(3)で表されるアタリ ル酸誘導体である重合性液晶化合物とを含有することを特徴とする液晶組成物。た だし、式中の記号は以下の意味を示す。
CH = CR^-COO-Cv-Cy-R (3)
2
R5:水素原子またはメチル基。
Cy:トランス一 1, 4—シクロへキシレン基。ただし、該基中の水素原子はフッ素原子、 塩素原子またはメチル基に置換されてレ、てもよレ、。
R6:炭素数 1一 8のアルキル基。
< 6 >重合性液晶化合物の合計の含有量が、液晶組成物全体に対して 25— 100 質量%である <3> <5>のレ、ずれかに記載の液晶組成物。
< 7> < 3>— < 6 >のいずれかに記載の液晶組成物を配向させた状態で、紫外 光または可視光を照射することにより重合させてなることを特徴とする光学異方性材 料。
<8><7>に記載の光学異方性材料からなる光学素子。
<9>光学素子が回折素子である < 8 >に記載の光学素子。
<10>光学素子が位相板である < 8 >に記載の光学素子。
発明の効果
[0014] 本発明によれば、波長 300 450nmのレーザー光に対して高度な耐久性を有す る光学異方性材料を得ることができる。
図面の簡単な説明
[0015] [図 1]実施例における化合物(1A— a3)の赤外吸収スペクトルを示す図である。
[図 2]実施例における化合物(lA_a5)の赤外吸収スペクトルを示す図である。
発明を実施するための最良の形態
[0016] 本明細書においては、式(1)で表される重合性液晶化合物を化合物(1)とも記す。 他の化合物についてもこれに準じて同様に記す。また、波長は、一点の値で記載さ れている場合でも、記載値 ± 5nmの範囲を含むこととする。
[0017] 本発明の重合性液晶化合物は、下式(1)で表される化合物である。
[0018] [化 4]
CH2=CR1-COO-(\ /)-OCO-Cy-X1-R2 (1)
[0019] 式(1)中の R1は水素原子またはメチル基であり、水素原子であることが好ましい。 R 1が水素原子である場合、後述する化合物(1)を含む液晶組成物を光重合させて光 学異方性材料を得る際に、重合反応が速やかに進行するので好ましい。また、光学 異方性材料としての特性が温度等の外部環境の影響を受けにくぐリタデーシヨンの 面内分布が小さい利点もある。
R2は炭素数 1一 8のアルキル基であり、炭素数 2— 6のアルキル基であることが好ま しい。
[0020] 化合物(1)において、 R2部分の炭素数が多すぎると、化合物(1)の結晶ーネマチッ ク相転移点が高温になり、化合物(1)を含む液晶組成物の結晶 -ネマチック相転移 点も高温になる傾向がある。該液晶組成物の結晶ーネマチック相転移点を室温以下 にするためには(つまり、該液晶組成物が室温過冷却状態でネマチック相を示すた めには)、 R2の炭素数は前記範囲にあることが好ましい。また、化合物(1)が液晶性 を示す温度範囲を広くできることから、 R2は直鎖構造であることが好ましい。
Cyはトランス一 1 , 4—シクロへキシレン基である。
X1は 1 , 4—フエ二レン基またはトランス一 1, 4—シクロへキシレン基である。 X1が 1 , 4 —フエ二レン基である場合、化合物(1)に含まれる 3個の環基のうち、 2個が 1 , 4一フエ 二レン基となる。よって、 3個の環基が全て 1, 4 フエ二レン基である化合物に比べて 青色レーザー光に対して安定であり、 1 , 4 フエ二レン基を 1個のみ有する化合物に 比べて屈折率異方性等の光学異方性が大きくなる。よって、特に大きなリタデーショ ン値を必要とする回折素子用の液晶組成物を調製する際にも所望の光学異方性を 得ること力 S容易になる。また、液晶組成物の調製の自由度も広がる。 X1がトランス- 1
, 4ーシクロへキシレン基である場合、化合物(1)の青色レーザー光に対する安定性 をさらに改善でき、ネマチック相-等方相転移点を高くできる。
[0021] 化合物(1)における 1 , 4一フエ二レン基およびトランス一 1, 4—シクロへキシレン基は 、非置換の基であってもよぐ該基中の炭素原子に結合する水素原子がフッ素原子、 塩素原子またはメチル基に置換されていてもよい。化合物(1)のネマチック相—等方 相転移点を高くできる点からは非置換の基であることが好ましい。
[0022] 化合物(1)としては、 R1が水素原子である、下記化合物(1A)が好ましい。
[0023] [化 5]
CH2=CH-COO- -OCO-Cy-X -R2 (1A)
[0024] 化合物(1)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。これらのうち、下記化合 物(1A— a2)—(1A— a6)、下記化合物(1A— b2)—(1A— b6)が好ましい。ただし、 以下において、 Cyは前記と同じ意味を示す。 Phは 1 , 4一フエ二レン基を意味し、該 基中の水素原子は、塩素原子、フッ素原子、またはメチル基で置換されていてもよい 。 Cyおよび Phは非置換の基であることが好ましレ、。また、下式中のアルキル基に構 造異性の基が存在する場合はその全ての基を含み、直鎖アルキル基が好ましレ、。
[0025] CH = CH-COO-Ph-OCO-Cy-Ph-CH (lA-al)
2 3
CH :CH— C〇0- -Ph-OCO- -Cy-Ph- -C H (lA-a2)
2 5
CH :CH— C〇0- -Ph-OCO- -Cy— Ph. -C H (lA-a3)
3 7
CH :CH— C〇0- -Ph-OCO- -Cy— Ph. -C H (lA-a4)
4 9
CH :CH— C〇0- -Ph-OCO- -Cy— Ph. -C H (lA-a5)
5 11
CH :CH— C〇0- -Ph-OCO- -Cy— Ph. -C H (lA-a6)
6 13
CH :CH— C〇0- -Ph-OCO- -Cy— Ph. — C H (lA-a7)
15
CH :CH-C〇0_ Ph-OCO- -Cy-Ph- - C H (lA-a8)
8 17
CH :CH-C〇0_ Ph-OCO- - Cy_Cy- -CH (lA-bl)
CH :CH-C〇0_ Ph-OCO- - Cy_Cy- - C H (lA-b2)
2 2 5
CH :CH-C〇0_ Ph-OCO- - Cy_Cy- - C H (lA-b3)
3 7
CH :CH-C〇0_ Ph-OCO- - Cy_Cy- - C H (lA-b4)
CH = CH-COO-Ph- -OCO-Cy- -Cy- - C H (1A- - b5)
2 5 11
CH = CH-COO-Ph- -OCO-Cy- -Cy- - C H (1A- - b6)
2 6 13
CH = CH-COO-Ph- -OCO-Cy- -Cy- - C H (1A- -b7)
2 7 15
CH = CH-COO-Ph- -OCO-Cy- "Cy- -C H (1A- - b8)
2 8 17
(
CH = (CH J (1B- -al)
2 C ヽ
3 —coo- -Ph.- -〇c〇 - "Cy- -Ph- ■CH
3
( ヽ
CH = C (CH J -Ph.- -〇c〇 - "Cy- -Ph- C 1B- -a2)
2 3 —coo- (
2 H 5
( ヽ
CH = C (CH J一 〇し〇 - "Cy- -Ph- C (1B- - a3)
2 3 c〇〇 - -Ph.- -
3 H 7
( ヽ
CH = C (CH J一
3 c〇〇 h- C (1B- - a4)
2 - -Ph.- -〇し〇 - "Cy- -P
4 H 9
( ヽ
CH = C (CH J一 〇〇 -Ph.- -〇し〇 - "Cy- -Ph- C
3 c - 5 H (1B- -a5)
2 11
( ヽ
CH = C (CH J一 〇〇 -Ph.- -〇し〇 - "Cy- -Ph- C H (1B- -a6)
2 3 c - 6 13
( ヽ
CH = C (CH J一 〇〇 -Ph- C (1B- -a7)
2 3 c - -Ph.- -〇し〇 - "Cy-
7 H 15
( ヽ
CH = C (CH J — COO- -Pn- -〇し〇- "Cy- -Ph- C H (1B- -a8)
2 3 8 17
CH =し ^Uri ) —し UU- - 1r3レnr し -Cy- -Cy- - CH (1B- - bl )
2 3 3
CH = C (CH ) -COO- - Ph-
2 3 -oco- -Cy- -Cy- - C H (1B- - b2)
2 5
CH = C (CH ) -COO- - Ph-
2 3 -oco- -Cy- -Cy- - C H (1B- - b3)
3 7
CH = C (CH ) -COO- - Ph-
2 3 -oco- -Cy- -Cy- - C H (1B- - b4)
4 9
CH = C (CH ) -COO- - Ph- 5)
2 3 -oco- -Cy- -Cy- - C H (1B- - b
5 11
CH = C (CH ) -COO- - Ph- -Cy- -Cy- - C H
2 3 -oco- (1B- - b6)
6 13
CH = C (CH ) -COO- - Ph-
2 3 -oco- -Cy- -Cy- - C H (1B- -b7)
7 15
CH = C (CH ) -COO- - Ph-
2 3 -oco- -Cy- -Cy- - C H (1B- - b8)
8 17
本発明の化合物(1)は、たとえば、以下に示す方法によって合成できる。
前記化合物(1A)の合成方法としては、以下の方法が挙げられる。すなわち、下記 化合物(a)とアクリル酸クロリド (b)とを反応させて、下記化合物(c)を得て、次に該化 合物(c)と下記化合物(d)とを反応させて、化合物 ( 1A)を得る方法が挙げられる(た だし、 Cy、 X
1、および は前記と同じ意味を示す。)。
[0026] [化 6]
N(C
2H
5)
3 CH
2=CH-C(0)-CI (b)
N(C2H5)3 Cl-C(0)-Cy-X1-R2 (d)
CH2=CH-COO-^-OCO-Cy-X1 -R; (1A)
[0027] 本発明の化合物(1)は 3つの環基を有する構造に由来して、青色レーザー光に対 する耐久性が良好である。また、—Ph-CO-構造を含まないこと、波長 400nm以下 の短波長領域においても光吸収のない環式飽和炭化水素基である Cy を有する ことにより、青色レーザー光の波長帯域での光の吸収が小さい。さらに、一 Ph 構造( Phは 1、 4 フエ二レン基を表す。)を持つことにより、比較的大きな屈折率異方性等 の光学異方性を発現できる。し力も、屈折率異方性の値が大きい材料は、屈折率お よび屈折率波長分散が大きいことがしばしば見受けられるが、化合物(1)は青色レー ザ一光の波長帯域(300 450nm)での屈折率上昇が抑えられ、屈折率波長分散 も小さい利点がある。
したがって、化合物(1)を用いることにより、青色レーザー光に対しても充分な耐光 性が得られ、位相差等の特性に優れる光学異方性材料を提供できる。
[0028] つぎに、化合物(1)を含有する液晶組成物について説明する。化合物(1)は、それ 自体で充分広い液晶温度範囲を示し、特に液晶相を示す温度範囲が高温側に広い 特徴を有する。しかし、低温側においても液晶性を示すように、他の重合性液晶化合 物と混合して、所望の特性を有する液晶組成物とすることが好ましい。複数の種類の 重合性液晶化合物を併用することにより、液晶組成物の結晶ーネマチック相転移点 の降下が生じるので、高温設備を用いることなく該組成物を液晶相または等方相の 状態で取り扱うことができる。
[0029] 本発明の液晶組成物は、化合物(1)の 2種以上を含有する組成物であってもよぐ
化合物(1)と、化合物(1)以外の他の重合性液晶化合物とを含有する組成物であつ てもよい。他の重合性液晶化合物としてはアクリル酸誘導体であることが好ましぐ下 記化合物(2)または下記化合物(3)が好ましレ、。
[0030] [化 7]
CH2=CR3-COO- ^-OCO-Cy-R4 (2)
CH2=CR5-COO-Cy-Cy- l6 (3)
[0031] 式中の R3および R5は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基であり、水素原子 であることが好ましい。 R4および R6はそれぞれ独立に炭素数 1一 8のアルキル基であ り、炭素数 2— 6の直鎖アルキル基であることが好ましい。 Cyは前記と同じ意味を示し 、非置換の基であることが好ましい。
[0032] 本発明の液晶組成物が化合物(1)の 2種以上を含有する場合、メソゲン構造部分 は同一で、 R2の炭素数が異なる化合物の 2種以上を含有することが好ましい。具体 的には、 R2が炭素数 2— 4の直鎖アルキル基である化合物から選ばれる少なくとも 1 種と、 R2が炭素数 5— 8の直鎖アルキル基である化合物から選ばれる少なくとも 1種と を含有することが好ましぐ R2が n-プロピル基である化合物と、 R2が n-ペンチル基で ある化合物とを含有することが特に好ましレ、。
[0033] 液晶組成物に含有される化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)の合計の割合は液 晶組成物全体に対して 25— 100質量%であり、 40— 100質量%が好ましぐ 60— 1 00質量%が特に好ましい。前記割合が高くなると、屈折率の波長分散が小さぐまた 安定なリタデーシヨン値が得られる。
[0034] 本発明の液晶組成物が化合物(1)以外に化合物(2)および Zまたは化合物(3)を 含有する場合、化合物(1)の含有量は全重合性液晶化合物に対して 40— 100モル %であることが好ましぐ 70 100モル%であることが好ましい。化合物(2)と化合物 (3)の合計含有量は、全重合性液晶化合物に対して 60モル%以下であることが好ま しぐ 30モル%以下であることが特に好ましい。また、化合物(2)単独では、青色レー ザ一に対する耐久性が充分でない場合があるので、化合物(2)を使用する場合は、 全重合性液晶化合物中に含まれる化合物(2)の割合は 50モル%以下にすることが
好ましい。
[0035] 本発明の液晶組成物中には、化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)以外の他の化 合物を含んでいてもよい。他の化合物としては、用途、要求性能等により選択するこ とが好ましい。たとえば、低温で液晶性を示す成分、低温用の低粘性成分、絶対屈 折率や屈折率異方性を調整する成分、誘電率異方性を向上させる成分、コレステリ ッグ性を付与する成分、重合性または非重合性の光安定化剤、その他各種添加剤を 適宜混合させることができる。
[0036] 光安定化剤のうち、重合性光安定化剤としては、下記化合物 (A) (旭電化社製、商 品番号: LA87)、下記化合物(B) (旭電化社製、商品番号: LA82)等が挙げられる 。非重合性光安定化剤としては、下記化合物 (C) (旭電化社製、商品番号: LA77) のほか、旭電化社製の LA62、 LA67等が挙げられる。
[0037] [化 8]
[0038] これらの光安定剤は、いずれも光学異方性材料の特性を低下させない程度の添加 量で、青色レーザー光に対する耐久性を改善できる。光安定剤の添加量としては、 液晶組成物全体に対し、 0. 2— 2質量%が好ましい。
[0039] 他の化合物は、化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)以外の重合性液晶化合物、 重合性非液晶化合物、非重合性液晶化合物、非重合性非液晶化合物のいずれで あってもよく、単独又は複数を組み合わせてもよい。他の化合物が化合物(1)、化合 物(2)、化合物(3)以外の青色レーザー光に対する耐久性の高い重合性液晶化合 物である場合、その液晶組成物中の割合は、全重合性液晶化合物に対して 60モル %以下であることが好ましぐ 25モル%以下であることが好ましい。また、重合性非液
晶化合物、非重合性液晶化合物、非重合性非液晶化合物の合計の割合は、液晶組 成物に対して 10質量%以下、特に 5質量%以下が好ましい。
[0040] 化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)以外の重合性液晶化合物としては、 -Ph-C O—構造を含まない化合物が、青色レーザー光に対する耐久性が高いことより好まし ぐ具体的には以下の化合物が例示できる。ただし、式中の R7は炭素数 1一 8のアル キル基を示す。該アルキル基に構造異性の基が存在する場合、該基は全ての構造 異性の基を含み、直鎖構造の基が好ましい。 Cyおよび Phは前記と同じ意味を示し、 ぞれぞれ非置換の基であることが好ましレ、。
7
[0041] CH = CH- -COO- -Ph-Cy- -R (5a)
2
7
CH = CH- -COO- -Ph-Ph- -R (5b)
2
CH = CH- -COO- -CH _〇- -Ph-Cy-R7 (5cl)
2 2
7
CH = CH- -COO- -(CH ) - -O-Ph-Cy- -R (5c2)
2 2 2
7
CH = CH- -COO- -(CH ) - _〇一 Ph— Cy- - R (5c3)
2 2 3
7
CH = CH- -COO- -(CH ) - _〇一 Ph— Cy- - R (5c4)
2 2 4
7
CH = CH- -COO- -(CH ) - _〇一 Ph— Cy- - R (5c5)
2 2 5
7
CH = CH- -COO- -(CH ) - _〇一 Ph— Cy- - R (5c6)
2 2 6
CH = CH- -COO- -(CH ) - _〇一 Ph— Cy- - R7 (5c7)
2 2 7
CH = CH- -COO- -(CH ) - _〇一 Ph— Cy- - R7 (5c8)
2 2 8
CH = CH- -COO- CH一〇- -Ph-Ph-R7 (5dl)
2 2
CH = CH- -COO- -(CH ) - _〇一 Ph— Ph- -R7 (5d2)
2 2 2
CH = CH- -COO- -(CH ) - _〇一 Ph— Ph- -R7 (5d3)
CH (5d4)
CH (5d5)
CH (5d6)
CH (5d7)
CH (5d8)
CH = CH- -COO- -CH _〇- -Cy-Cy-R7 (5el)
2 2
CH = CH- -COO- -(CH ) - -O-Cy-Cy- R7 (5e2)
2 2
CH =CH— C〇0_ (CH ) -O-Cy-Cy-R7 (5e3)
2 2 3
CH =CH— C〇0_ (CH ) -O-Cy-Cy-R7 (5e4)
2 2 4
CH =CH— C〇0_ (CH ) -O-Cy-Cy-R7 (5e5)
2 2 5
CH =CH-COO- (CH ) -O-Cy-Cy-R7 (5e6)
2 2 6
CH =CH-COO- (CH ) -O-Cy-Cy-R7 (5e7)
2 2 7
CH =CH-COO- (CH ) -O-Cy-Cy-R7 (5e8)
2 2 8
[0042] これらの 2環性の化合物は他の液晶材料との相溶性が良好である。さらに、化合物
(5cl)一 (5c8)は屈折率異方性の値と、液晶相を示す温度範囲とのバランスが取れ ている。化合物(5dl)—(5d8)は屈折率異方性の値が比較的大きい利点があり、化 合物(5el)—(5e8)は液晶相を示す温度範囲が広い利点がある。
つぎに、本発明の光学異方性材料について説明する。
[0043] 本発明の光学異方性材料は、前記液晶組成物を重合させることにより得られる。重 合方法としては、光重合方法、熱重合方法等が挙げられ、光重合方法が好ましい。 光重合方法に用いる光としては、紫外線または可視光線が好ましい。光重合する場 合には、光重合開始剤を用いると効率よく重合できる。光重合開始剤としては、ァセト フエノン類、ベンゾフエノン類、ベンゾイン類、ベンジル類、ミヒラーケトン類、ベンゾィ ンアルキルエーテル類、ベンジルジメチルケタール類、チォキサントン類などが好ま しく使用できる。光重合開始剤は、 1種類または 2種類以上を使用できる。光重合開 始剤の使用量は、液晶組成物全体に対して 0. 1— 10質量%が好ましぐ 0. 3— 2質 量%が特に好ましい。
[0044] 光重合方法等の重合方法においては、前記液晶組成物を配向させた状態で重合 させること力好ましレ、。本明細書において「配向させた状態で重合させる」とは、前記 液晶組成物を支持体間に挟持し、液晶組成物が液晶相を示す状態で、かつ、液晶 が配向した状態で重合させることを意味する。
[0045] 重合性液晶組成物の支持体としては、ガラス製またはプラスチック製の基板に配向 処理を施した支持体が好ましい。配向処理は、綿、羊毛等の天然繊維、ナイロン、ポ リエステル等の合成繊維等で基板表面を直接ラビングしてもよぐ基板表面にポリイミ ド配向膜を積層した後、該配向膜表面を上記繊維等-
[0046] つぎに、支持体の配向処理が施された面にガラスビーズ等のスぺーサを配置し、複 数枚の支持体を所望の間隔に制御して対向させ、セルを作製する。つぎに、セルを 構成する支持体間に前記液晶組成物を充填し、重合反応を行う。
[0047] 液晶組成物が液晶相を示す状態に保っためには、雰囲気温度を結晶ーネマチック 相転移
点以上でかつネマチック相一等方相転移温度 (T )以下にすればよいが、 Tに近い 温度では、液晶組成物の屈折率異方性がきわめて小さいので、雰囲気温度の上限 は (T -10) °C以下とすることが好ましい。
[0048] 前記方法によって作製された光学異方性材料は、支持体に挟んだまま用いてもよ ぐ支持体から剥離して、他の基板に担持させて用いてもよい。
[0049] 本発明の光学異方性材料は、青色レーザー光に対して高度な耐久性を有するの で、青色レーザー光用の回折素子 (偏光ホログラム等)または位相板等の光学素子 に好適に用いられる。偏光ホログラムとしては、レーザー光源からの出射光が光ディ スクの情報記録面によって反射されて発生する信号光を分離し、受光素子へ導光す る例が挙げられる。位相板としては、 1/2波長板として使用し、レーザー光源からの 出射光の位相差制御を行う例、 1/4波長板として光路中に設置し、レーザー光源の 出力を安定化する例が挙げられる。
実施例
[0050] 以下、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明する。また、屈折率異方性を
Δ ηと略記する。なお、以下の例において光重合開始剤はチバスぺシャリティケミカ ノレズ社製のィルガキュア一 907を用いた。例 1一例 7は実施例であり、例 8は比較例 である。
[0051] [例 1]化合物(1A— a3)の合成例
[0052] [化 9]
(1A-a3)
[0053] 化合物(d_l) (4. 4g、 0. 017モル)、ジクロロメタン(70mU、およびトリェチルアミ ン(2. 5g、 0. 025モル)の混合物に、反応液の温度が 20°Cを超えないように氷水で 冷却しながら、化合物(c) (2. 7g、 0. 017モル)を添加した。 24時間撹拌した後、濃 塩酸(2mL)、氷(20g)、および水(30mL)の混合物を反応液に添加した。有機層を 分離し、飽和塩化ナトリウム水溶液 (40mL)を加えて分液した。再度有機層を分離し て水洗し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、減圧濾過を行った。
[0054] 濾液をカラムクロマトグラフィー(展開液:ジクロロメタン/トルエン)により精製した。
目的物を含む分画を濃縮し、粉末結晶を得た。この粉末結晶にジクロロメタンとェタノ ールとの混合溶媒(90mL)を加えて再結晶を行い、化合物(1A— a3) (3. 4g)を得 た。収率は 52%であった。
[0055] 化合物(1A— a3)の結晶からネマチック相への転移温度は 113°C、ネマチック相か ら等方相への転移温度は 198°C (外揷値)であり、 50°Cにおける波長 589nmのレー ザ一光に対する Δ ηは 0. 18 (外揷値)であった。
[0056] 化合物(1A— a3)の赤外吸収スペクトルを図 1に示す。また、化合物(1A— a3)の1 H NMRスペクトルの測定結果を以下に示す。
iHNMR (溶媒: CDC1、内部標準: TMS) δ (ppm) O. 9(triplet、 3H)、 1. 4—1. 8
3
(m、 6H)、 2. 0—2. 7 (Complex, m、 8H)、 5. 9—6. 7(m、 3H)、 7. 0—7. 2 (s、 8H)。
[0057] [例 2]化合物(1A— a5)の合成例
[0058] [化 10]
化合物(d - 1)を下記化合物(d - 2)に変更する以外は、例 1 - 1と同様に反応を行 レ、、化合物(lA_a5) (5. 04g)を得た。収率は 70. 5%であった。
[0059] [化 11]
01-0(0)-^ )~^~(CH2)4CH3 (d-2)
[0060] 化合物(1A— a5)の結晶からネマチック相への転移温度は 72. 3°C、ネマチック液 相から等方相への転移温度は 210. 9°C (外揷値)であった。化合物(1A— a5)の赤 外吸収スペクトルを図 2に示す。化合物(lA_a5)の1 HNMRスペクトルの測定結果 を以下に示す。
NMR (溶媒: CDC1、内部標準: TMS) δ (ppm) 0. 9(triplet、 3H)、 1. 4—1. 8
3
(m、 10H)、 2. 0—2. 7 (Complex, m、 8H)、 6. 0— 6. 7(m、 3H)、 7. 0— 7. 2 (s 、 8H)。
[0061] [例 3]
[例 3— 1 ]液晶組成物の調製例(その 1 )
例 1で得た化合物(1A— a3)と、下記化合物(2— 5)とを 1: 1 (モル比)で混合し、液 晶組成物 Aを調製した。
CH = CHCOO-Ph-OCO-Cv-C H · · · (2—5)
2 5 11
液晶組成物 Aは室温過冷却状態でネマチック相を示した。またネマチック相から等 方相への相転移温度は 154°C以上であった。
つぎに、液晶組成物 Aに光重合開始剤を、液晶組成物 Aに対し、それぞれ 0. 5質 量%、 1. 0質量%添カ卩し、液晶組成物 Al、液晶組成物 A2を得た。
[0062] [例 3— 2]光学素子の作製例(その 1)
5cm X 5cm X 0. 5mmのガラス板を 2枚用意し、配向剤であるポリイミド溶液をスピ ンコータで塗布して乾燥した後、ナイロンクロスで一定方向にラビング処理して支持
体を作製した。配向処理した面が向かい合うように 2枚の支持体を接着剤を用いて貼 り合わせてセルを作製した。接着剤にはガラスビーズを添加し、支持体の間隔が 4 / mになるように調整した。
[0063] つぎに、前記セル内に、例 3—1で得た液晶組成物 A1を 100°Cで注入した。 80°C におレ、て、強度 80mW/cm2の紫外線を積算光量が 5300mj/cm2となるよう照射 して光重合を行って光学異方性材料の層を形成し、光学素子 A1を得た。光学異方 性材料はラビング方向に沿って水平配向してレ、た。光学素子 A1は可視領域で透明 であり、散乱も認められなかった。また、波長 589nmのレーザー光に対する Δ ηは 0. 055であった。
[0064] [例 3— 3]光学素子の評価例(その 1)
例 3—1で得た光学素子 A1について、温度 25°Cで、積算曝露エネルギーが 2000 mW. hour/mm2となるように Krレーザー(波長 407nm、 413nmのマルチモード) を照射し、青色レーザー光曝露加速試験を行った。試験後の曝露面の屈折率異方 性の大きさを測定すると、試験前の Δ ηに対する試験後の Δ ηの低下は 1%未満であ り、光学素子 A1は青色レーザー光に対する耐久性に優れることを確認した。
[0065] [例 3— 4]光ヘッド用偏光ホログラムの作製例(その 1)
ピッチ 9 β m、深さ 3 β mの矩形格子をもつガラス板上に、配向剤としてポリイミドを スピンコータで塗布し、熱処理した後、ナイロンクロスで格子と平行方向にラビング処 理を行い、支持体を作製した。配向処理を同様に行ったガラス平板を、配向処理面 が向かいあうように接着剤を用いて貼り合わせてセルを作製した。その際、配向方向 が平行になるようにした。
[0066] このセル内に、例 3—1で得た液晶組成物 A2を 100°Cで注入した。つぎに、 90°Cで 40mWZ cm2の強度の紫外線を 3分間照射して光重合を行った。このセルの片面に 1/4波長板を積層し、偏光ホログラムビームスプリッタを作製した。この素子を光へッ ドに用いたところ、波長 650nmのレーザー光に対して 27。/0の光利用効率を得た。
[0067] [例 4]
[例 4一 1]液晶組成物の調製例(その 2)
例 1で得た化合物(1A— a3)と例 2で得た化合物(1A— a5)とを 1: 1 (モル比)で混合
して液晶組成物 Bを得た。液晶組成物 Bは室温過冷却状態でネマチック相を示した。 またネマチック相から等方相への相転移温度は 200°C以上であった。
つぎに、液晶組成物 Bに、光重合開始剤を液晶組成物 Bに対して 0. 5質量%添カロ し、液晶組成物 B1を得た。
[0068] [例 4一 2]光学素子の作製例(その 2)
支持体の間隔を 3. 2 x mとする以外は例 3_2と同様にセルを作製した。このセル 内に、液晶組成物 B1を 100°Cで注入した。つぎに、温度 70°Cにおいて、 60mW/c m2の強度の紫外線を、積算光量が 5000mj/cm2となるよう照射して光重合を行つ て光学異方性材料の層を形成し、光学素子 B1を得た。光学異方性材料は基板のラ ビング方向に水平配向していた。光学素子 B1は可視域で透明であり、散乱も認めら れなかった。また、波長 589nmのレーザー光に対する Δ ηは 0. 07であった。
[0069] [例 4一 3]光学素子の評価例(その 2)
例 4_2で得た光学素子 B1について、積算曝露エネルギーを 26W'hour/mm2と する以外は例 3— 3と同様に青色レーザー光曝露加速試験を行った。その結果、加速 試験前の Δ ηに対する試験後の Δ η低下は 1%未満であり、光学素子 B1は青色レー ザ一光に対する耐久性に優れることを確認した。
[0070] [例 4一 4]偏光回折素子の作製例(その 2)
ガラス板として青色光用の反射防止膜が積層されたガラス板を用レ、、支持体の間 隔を: 1 μ ΐηとする以外は、例 3-2と同様にセルを作製した。セルに液晶組成物 B1を 注入し、光重合反応を行って光学異方性材料の層を形成した。つぎに支持体の一 方を剥がし、フォトリソグラフィーおよびドライエッチングによって前記光学異方性材料 にピッチ 20 μ m、深さ 1 μ mの矩形構造を形成した。この矩形の凹部分に、波長 405 nmのレーザー光に対する屈折率が 1. 57である透明樹脂(光学異方性材料の常光 屈折率と同等の屈折率を有する透明樹脂)を充填した。つぎに、この光学異方性材 料層の上部に青色光用の反射防止膜が積層されたガラス平板を重ね、周縁部を接 着剤を用いて貼りあわせて光学素子 B2を作製した。光学素子 B2に波長 405nmの レーザー光を、基板に対して垂直に入射させたところ、常光に対しては 0次光が 97% 以上透過(1次光は約 0. 5%透過)し、異常光に対しては 0次光 Zl次光の比が 11と
なる偏向回折素子が得られた。
[0071] [例 5]
[例 5-1]液晶組成物の調製例(その 3)
例 1で得た化合物(1A— a3)、例 2で得た化合物(1A— a5)、下記化合物(3_A_3) 、および下記化合物(3_A_5)を 1: 1: 1: 1の割合 (モル比)で混合して液晶組成物 C を得た。液晶組成物 Cは室温過冷却状態でネマチック相を示した。またネマチック相 力 等方相への相転移温度は 140°Cであった。
[0072] [化 12]
CH2=CH-COO— ( >~0~(CH2)2C H3 (3-A-3) CH2=CH-COO _)-< )-(CH2)4CH3 (3-A-5)
[0073] つぎに、液晶組成物 Cに、光重合開始剤を液晶組成物 Cに対して 0. 5質量%添カロ し、液晶組成物 C1を得た。
[0074] [例 5— 2]光学素子の作製例(その 3)
支持体の間隔を 4. 7 μ ΐηとする以外は例 3-2と同様にセルを作製した。このセル 内に、例 5—1で得た液晶組成物 C1を 70°Cで注入した。つぎに、 60°Cにおいて、 50 mWZcm2の強度の紫外線を、積算光量が 4500mj/cm2となるよう照射して光重合 を行って光学異方性材料の層を形成し、光学素子 Cを得た。光学異方性材料は基 板のラビング方向に水平配向していた。光学素子 Cは可視域で透明であり、散舌しも 認められなかった。また、波長 589nmのレーザー光に対する Δ ηは 0. 03であった。
[0075] [例 5— 3]光学素子の評価例(その 3)
例 5_2で得た光学素子 Cについて、積算曝露エネルギーを 40W'hour/mm2と する以外は例 3_3と同様に青色レーザー光曝露加速試験を行った。その結果、加速 試験前の Δ ηに対する試験後の Δ ηの低下は 1 %未満であり、光学素子 Cは青色レ 一ザ一光に対する耐久性に優れることを確認した。
[0076] [例 6]
[例 6— 1]液晶組成物の調製例(その 4)
例 1で得た化合物(1A— a3)、例 2で得た化合物(1A— a5)、前記化合物(3— A— 3) 、および前記化合物(3— A— 5)を 4: 4: 1: 1の割合 (モル比)で混合して液晶組成物 Dを得た。液晶組成物 Dは室温過冷却状態でネマチック相を示した。またネマチック 相から等方相への相転移温度は 148°C以上であった。
つぎに、液晶組成物 Dに、光重合開始剤を液晶組成物 Dに対して 0. 5質量%添加 し、液晶組成物 D1を得た。
[0077] [例 6 - 2]光学素子の作製例(その 4)
支持体の間隔を 4. 7 x mとする以外は例 3_2と同様にセルを作製した。このセル 内に、例 6—1で得た液晶組成物 D1を 70°Cで注入した。つぎに、 70°Cにおいて、 60 mWZcmの強度の紫外線を、積算光量が 4500mj/cmとなるよう照射して光重合 を行って光学異方性材料の層を形成し、光学素子 Dを得た。光学異方性材料は基 板のラビング方向に水平配向していた。光学素子 Dは、可視域で透明であり、散舌しも 認められなかった。また、波長 589nmのレーザー光に対する Δ ηは 0· 051であった
[0078] [例 6 - 3]光学素子の評価例(その 4)
例 6—2で得た光学素子 Dについて、積算曝露エネルギーを 50W'hour/mm2と する以外は例 3— 3と同様に青色レーザー光曝露加速試験を行った。その結果、加速 試験前の Δ ηに対する試験後の Δ ηの低下は 1 %未満であり、光学素子 Dは青色レ 一ザ一光に対する耐久性に優れることを確認した。
[0079] [例 7]
[例 7-1]液晶組成物の調製例(その 5)
例 4 - 1で得た液晶組成物 Βに対して、重合性光安定剤 (旭電化製社製、商品番号 : LA - 82)を 0. 5質量%添加して液晶組成物 Εを調製した。液晶組成物 Εは、室温 過冷却状態でネマチック相を示し、またネマチック相から等方相への相転移温度は 2 00°C以上であった。
つぎに、液晶組成物 Eに対して、光重合開始剤を 0. 5質量%添加し、液晶組成物 E1を得た。
[0080] [例 7 - 2]光学素子の作製例(その 5)
支持体の間隔を 4. 7 μ ΐηとする以外は例 3-2と同様にセルを作製した。このセル 内に、例 7—1で得た液晶組成物 E1を 70°Cで注入した。つぎに、 70°Cにおいて、 60 mW/cm2の強度の紫外線を、積算光量が 4500mj/cm2となるよう照射して光重合 を行って光学異方性材料の層を形成し、光学素子 Eを得た。光学異方性材料は基 板のラビング方向に水平配向していた。光学素子 Eは可視域で透明であり、散舌しも 認められなかった。また、波長 589nmのレーザー光に対する Δ ηは 0. 06であった。
[0081] [例 7— 3]光学素子の評価例(その 5)
例 7_2で得た光学素子 Εについて、積算曝露エネルギーを 40W'hourZmm2とす る以外は、例 3— 3と同様に青色レーザー光曝露加速試験を行った。その結果、試験 前の Δ ηに対する試験後の Δ ηの低下は 1 %未満であり、光学素子 Εは青色レーザ 一光に対する耐久性に優れることを確認した。
[0082] [例 8]
[例 8— 1]液晶組成物の調製例(その 6)
下記化合物(4a)、下記化合物(4b)、下記化合物(4c)、下記化合物 (4d)を 1: 1: 1: 1 (質量比)で混合し、液晶組成物 Fを調製した。つぎに、液晶組成物 Fに光重合 開始剤を液晶組成物 Fに対して 0. 5質量%添加し、液晶組成物 F1を得た。
[0083] [化 13]
CH2=CH-COO- J~ -oco - —(CH2)4CH3 (4a)
CH2=CH-COO- 《 -oco - 〇H3
~ . J~一 (CH2)3 (4b)
CH2=CH-COO- 《 一 oco - — (CH2)4CH3 (4c)
CH2=CH-COO- -oco -人 — (〇Η2)5〇Η3 (4d)
[0084] [例 8— 2]光学素子の作製'評価例(その 6)
例 8— 1で得た液晶組成物 F1を用いる以外は例 3—2と同様の方法によって光学素 子 Fを得た。光学異方性材料は基板のラビング方向に水平配向していた。光学素子 Fは可視域で透明であり、散舌 Lも認められなかった。また、波長 589nmのレーザー光 に対する Δ ηは 0. 046であった。
[0085] つぎに、光学素子 Fに対して積算曝露エネルギーを 15W'hour/mm2とする以外 は例 3-3と同様の方法で青色レーザー光曝露加速試験を行った。加速試験前の Δ nに対する試験後の Δ ηの低下率は 30%であった。また、試験後の波長 405nmのレ 一ザ一光の透過率は試験前の 60%に低下していた。
産業上の利用可能性
[0086] 本発明の化合物(1)を用いてなる光学異方性材料は、青色レーザー光に対する耐 久性が高いことから、該波長帯のレーザー光に用いる回折素子または位相板として 有用に用いうる。