WO2004080361A1

WO2004080361A1 - 使い捨て吸収性物品

Info

Publication number: WO2004080361A1
Application number: PCT/JP2004/003349
Authority: WO
Inventors: Taichiro Suzuki
Original assignee: Livedo Corporation
Priority date: 2003-03-12
Filing date: 2004-03-12
Publication date: 2004-09-23
Also published as: US7767878B2; CA2518303C; CA2518303A1; US20060184146A1; EP1609448A4; PT1609448E; DE602004026426D1; ATE463219T1; KR100740976B1; EP1609448A1; AU2004220667B2; AU2004220667A1; KR20050106025A; ES2340279T3; EP1609448B1

Abstract

　液体透過性の表面シートと液体不透過性の裏面シートとの間に、吸収マットを具備する使い捨て吸収性物品であって、前記吸収マットは、吸水性樹脂粉末を含み、パルプ繊維を含まないシート状吸水層と、吸水性樹脂粉末とパルプ繊維とを含む繊維集合層とを、表面シート側から順に有しており、かつ、前記シート状吸水層は、吸水性樹脂粉末を内包した複数の吸水性樹脂粉末存在領域と、隣接する吸水性樹脂粉末存在領域の間に形成される吸水性樹脂粉末非存在領域とを有する。

Description

明細書使い捨て吸収性物品技術分野

本発明は、使い捨てォムッや使い捨てパンツなどの使い捨て吸収性物品に関するものである。背景技術

近年、使い捨ておむつ、使い捨てパンツ、生理用ナプキンなどの使い捨て吸収性物品を用いる衛生材料の分野の中でも、特に高齢者の排泄介護に要する大人用使い捨ておむつの分野においては、着用者がおむつ交換のために何度も起こされることの無いように、また、介護者の労力負担を軽減するために、長時間の使用にも耐え得る高い吸収力と、使用時に型くずれが生じ難い形態安定性を具備した吸収性物品が望まれている。

従来から使用されている吸収性物品は、液透過性の表面シ一トと液不透過性の裏面シートとの間に吸収体を備えてなるものであり、この吸収体としては、解繊パルプ繊維、吸水性樹脂粉末、熱可塑性繊維などをマット状に形成し、薄葉紙などで包み込んで固着した吸収マットが用いられてきた。

このような吸収性物品の吸収性能を高めるためには、吸収マット中の吸水性樹脂粉末量を多くする方法があるが、膨潤した吸水性樹脂粉末によって、吸収マツトが型くずれを起こし易くなる。

また、吸収マットを構成する解繊パルプ繊維量を多くすることでも、吸収性能を増大させることができる。しかし、上記吸収マット中の解繊パルプ繊維量を多くすると吸収マツトの厚みが増大するので、着用者の股間部においてゴヮゴヮ感が増し、長時間使用する場合には非常に不快なものとなる。また、パルプ繊維量を多くすると一旦吸収された尿等の体液がマツト内からトップシート側へ逆戻りする現象が起こりやすくなるが、逆戻りした体液は着用者の肌に悪影響を及ぼすので、特に吸収性物品を長時間使用する場合にはその影響は深刻なものとなる。これまでに、体液の逆戻り性を改善した吸収性物品として、液透過性の表面シ ―トと液不透過性の防漏シ一卜との間に、吸水性樹脂を含む吸水層を有する吸収材を備えたものが報告されている（特開 2 0 0 2 - 2 2 4 1 6 1号公報）。かかる技術では、上記吸収材として、吸水性樹脂と繊維質基材からなるものを用い、液透過性の表面シートと吸収材の表面との間にさらに吸水性樹脂層を設けた構成を採用している。

しかしながら、上記技術における吸水性樹脂層は、吸水性樹脂が単独で分散されるか、もしくは、セルロース繊維などを用いた吸水紙に挟持したものであるため、その層が逆戻り性改善に寄与するとしても、形態の安定性についてはまったく考慮されておらず、体液を吸収して吸水性樹脂粉末が膨潤した場合、高吸水性樹脂層が型くずれを生じるおそれがある。

一方、超薄型で、吸水後に型くずれを起こさない吸収性物品として、不織布以外のパルプ繊維を含まず、吸水性樹脂粉末がウェブ状のホットメルト接着剤によつて 2枚の不織布間に挟持された構成の超薄型吸収シート体が本願出願人により提案されている（国際公開第 0 1 / 8 9 4 3 9号バンフレツト）。

かかる技術においては、吸水性樹脂粉末がウェブ状のホットメルト接着剤によつて堅固に保持されるので型くずれを起こす心配が無く、超薄型で着用者にとつて快適な吸収シート体となっている。しかし、この吸収マットを吸収体として用いた吸収性物品を長時間使用する場合を考慮すると、より多くの吸収量を確保しなければならない。多くの吸収量を確保するためには例えば. 吸収シート体を多数積層して吸収マツ卜として用いるか、吸収シート体 1枚あたりの面積や吸水性榭脂粉末量を増やす手法が考えられる。しかし、吸収シ一ト体を多数用いたり、吸収シート体 1枚あたりの吸水性樹脂粉末量を増やしたりすると、吸収マツト全体に含まれる吸水性樹脂粉末の割合が高くなるため、堅い吸収マツ卜となり、ゴヮゴヮした着用感を与えてしまう。また、吸収シ一ト体 1枚あたりの面積を増やすことは、それに連動して、使い捨て吸収性物品自体の面積を大きくしなければならず、このことは製造のみならず使用するのにも不便なものとなる。

さらに、上記吸収シート体では、吸収性能を発揮する主成分は吸水性樹脂粉末であるため、パルプ繊維を主成分とする従来の吸収マットと比較すると、吸水速度に劣ることがあった。

本発明は、上述のような事情に着目してなされたもので、その目的は、尿等の体液を速やかに吸収し、長時間使用が可能な高い吸収性能を有し、体液を吸収しても型崩れを起こしにくく、かつ逆戻りも起こし難い快適な着用感を有する吸収マツトを備えた使い捨て吸収性物品を提供することにある。発明の開示

本発明の使い捨て吸収性物品は、液体透過性の表面シートと液体不透過性の裏面シートとの間に、吸収マットを具備する使い捨て吸収性物品であって、前記吸収マットは、吸水性樹脂粉末を含み、パルプ繊維を含まないシート状吸水層と、吸水性樹脂粉末とパルプ繊維とを含む繊維集合層とを、表面シ一ト側から順に有しており、かつ、前記シート状吸水層は、吸水性樹脂粉末を内包した複数の吸水性樹脂粉末存在領域と、隣接する吸水性樹脂粉末存在領域の間に形成される吸水性樹脂粉末非在領域とを有するところに要旨を有するものである。

このような構成を採用することで、吸収性能を高めることが可能となるため、長時間使用する場合であっても、十分に吸収能を発揮し、体液の逆戻りを抑えることができる。図面の簡単な説明

図 1は、本発明にかかるシート状吸水層を示した一部切欠き斜視図である。図 2は、上記シート状吸水層の断面模式図である。

図 3は、膨潤したシート状吸水層を備えた吸収マットの断面模式図である。図 4は、積層構造を有するシート状吸水層を備えた吸収マツトの断面模式図である。

図 5は、他の積層構造を有するシート状吸水層を備えた吸収マツトの断面模式図である。

図 6は、他の積層構造を有するシート状吸水層を備えた吸収マットの断面模式図である。

図 7は、他のシート状吸水層の構造を示す断面模式図である。

図 8は、開口を有する繊維集合体を備えた吸収マツ卜の断面模式図である。図 9 ( a ) 〜（c ) は、開口を有する繊維集合層の平面図である。

図 1 0は、図 9 ( a ) に示した繊維集合層の Y— Y線での断面模式図である。図 1 1は、本発明の好適な吸収性物品の具体例を示す図である。

図 1 2は、上記吸収性物品の X— X線での断面模式図である。

図 1 3は、実施例および比較例の逆戻り性の結果を示すグラフである。発明を実施するための最良の形態

本発明に係る使い捨て吸収性物品は、液体透過性の表面シートと液体不透過性の裏面シートとの間に、吸収マットを具備するものであって、本発明の最大の特徴は、前記吸収マットが、吸水性樹脂粉末を含み、パルプ繊維を含まないシート状吸水層と、吸水性樹脂粉末とパルプ繊維とを含む繊維集合層とを、表面シート側から順に有しており、かつ、前記シート状吸水層は、吸水性樹脂粉末を内包した複数の吸水性樹脂粉末存在領域と、隣接する吸水性樹脂粉末存在領域の間に形成される吸水性樹脂粉末非在領域とを有するところにある。

上述のような構成の吸収マットを採用することで、長時間の使用にも耐え得る吸水量を確保すると共に、逆戻り性などの使用感の悪化を防止し得たのである。まず、上記吸収マットの一構成要素である繊維集合層について説明する。この繊維集合層は、本発明にかかる吸収マットにおいて、シート状吸水層の下部に設けられるものであり、長時間の使用にも耐え得る吸水量を確保するために不可欠なものである。

上記繊維集合層は、解繊パルプ繊維と、熱融着性繊維およびこれらの繊維中に分散された吸水性樹脂粉末により構成され、これらを一体型に形成したものを薄葉紙（例えばティッシュペーパーなど）で包んで形成される。

上記繊維集合層中に分散させる吸水性樹脂粉末としては、後述するシ一ト状吸水層と同様のものを用いることができる。このときの吸水性樹脂の量は、繊維集合層に使用する解繊パルプ繊維量に対して 1 5質量％以上、 9 0質量％以下とするのが好ましい。吸水性榭脂量が 9 0質量％を超えると、樹脂が多すぎて全体として硬い印象となり、また膨潤した吸水性樹脂が型くずれの原因となることもあるため好ましくない。一方吸水性樹脂が 1 5質量％未満では、含有量が少なすぎて吸収量の向上に効果的に寄与することができない。

繊維集合層を形成する繊維である解繊パルプ繊維としては、公知のパルプ繊維を用いることができ、保形性を高めるために用いられる熱融着性繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維ゃポリエステル系繊維や複合繊維等が挙げられる。

上記繊維および吸水性樹脂粉末を混合し、一体型に形成するか、繊維を成型した後、吸水性樹脂粉末を散布して繊維集合層とする。一体型とした繊維集合層は、加熱しながら機械的な押圧を加え、その形状を安定化させるのが好ましい。その後、薄葉紙に包まれる。薄葉紙は、ティッシュペーパーなどを用いればよいが、体液を透過し得るものであれば特に限定されない。なお、繊維集合層の全体的な平面形状は、用途に応じて適宜決定すればよく、例えば、ひょうたん型や長方形、砂時計型などの形状が挙げられる。

次に、シート状吸水層について説明する。図 1および図 2に、本発明に係るシート状吸水層の代表的な実施形態を示した一部切欠き斜視図および断面模式図を示す。なお、以下の図 2〜7および 1 2における右側の矢印は、上が着用者の肌面側であることを意味する。

シート状吸水層 1 Aは、第 1不織布 2と、これとほぼ同面積、同形状の第 2不織布 4との間に、吸水性樹脂粉末 3が挟持された構成を有している。この吸水性樹脂粉末 3は、第 1不織布 2上に塗布した第 1接着剤層 S 1と、第 2不織布 4上に塗布した第 2接着剤層 S 2によつて各不織布に固着されている。

ここで、 2 aはシ一ト状吸水層幅方向両端部の吸水性樹脂粉末非存在領域 (両端部領域 2 aとする）で、 2 bはシート状吸水層中間部に設けられた吸水性樹脂粉末非存在領域 (中間領域 2 bとする) であり、 2 cが吸水性樹脂粉末存在領域である。図 1においては、 4つの吸水性樹脂粉末存在領域 2 cが、第 1および第 2不織布 2、 4の長手方向 (図中、白抜き矢印方向) に連続して、幅方向には吸水性樹脂粉末非存在領域 2 bにより隔てられて、存在している。

そして、第 1および第 2不織布 2、 4は、吸水性樹脂粉末 3が存在しない両端部領域 2 aおよび中間領域 2 bにおいて接合されている（図 2 )。すなわち、上記吸水性樹脂粉末存在領域 2 cは、封止部 5によって、隣に位置する吸水性樹脂粉末存在領域とは画成されることとなる。なお、図 1、 2では、接着剤層 S l、 S 2は、吸水性榭脂粉末存在領域 2 cにのみ配設する例を示したが、吸水性樹脂粉末非存在領域 2 bにも配設してもかまわない。また、封止部 5は、ヒートシール等でシールすることにより形成してもよい。上記封止部 5は、少なくとも隣り合う各吸水性樹脂粉末存在領域 2 c、 2 cが夫々独立して存在するように設けなければならない。吸水後は、吸水性樹脂粉末 3は、膨潤して吸水性樹脂粉末存在領域 2 cの内部に広がる。従って、シート状吸水層 1 Aに、吸水性樹脂粉末非存在領域を形成しておいても、封止部が存在しない場合、吸水後にはシ一ト状吸水層を構成する不織布間全面において膨潤した吸水性樹脂の層が形成されて、繊維集合層との間に空間を確保することができないのはもちろんのこと、膨潤した吸水性樹脂が、 2回目以降に排出された体液の透過を阻害してしまう。このため、各吸水性樹脂粉末存在領域 2 c、 2 cに吸水性榭脂粉末 3が内包されるように、封止部 5を形成する必要があるのである。なお、封止部 5が形成される吸水性樹脂粉末非存在領域 2 a、 2 bには、封止に影響の無い程度であれば吸水性樹脂粉末が存在していてもかまわない。

図 3に、本発明の吸収性物品に用いられる吸収マツトが体液を吸収した状態を示す。この図例の吸収マッ 1、は、シ一ト状吸水層 1 Aと、このシ一卜状吸水層 1 Aの下側に、繊維集合層 6 Aとを備えている。この繊維集合層 6 Aは、ほぼ同形状の上下 2層の繊維集合体を積層した構造となっている。

図 3において、吸水性樹脂粉末 3は、着用者から排泄された体液を吸収して膨潤している。吸水性樹脂粉末 3は、封止部 5、 5で区切られた吸水性樹脂粉末存在領域 2 cの不織布 2、 4が許容する伸びの範囲において、その体積を増し、シート状吸水層 1 Aの厚みを増大させる。その結果、シート状吸水層 1 Aの下部に設けられた繊維集合層 6 Aと着用者の肌との距離が大きく開くことになる。なお、繊維集合層 6 Aでは、その繊維間に多数の空隙が存在しており、また、繊維集合層 6 Aに含まれる吸水性樹脂粉末 7は、一箇所に集中することなく、分散して存在している。従って、吸水時には、上記空隙が、繊維あるいは吸水性樹脂粉末 7の膨潤スペースとなるため、体液の吸収前後において、繊維集合層 6 A がその厚みを極端に変化させることは無い。

一般に、吸収性物品における逆戻り（ウエットバック）の現象は、該物品に具備される繊維集合層の存在にその原因がある。繊維集合層は、排出された体液を、主として、その繊維間の空隙において保水している。従って、繊維間に保水された体液は、繊維集合層が何らかの押圧を受けることによって、容易に繊維集合層表面に染み出してくるのである。これに対して、吸水性樹脂粉末は、吸収した体液を吸水性樹脂粉末（膨潤粒子）内部に強固に保持するため、樹脂が押圧された場合であつても、一度吸収した体液が再び樹脂表面に染み出すことは非常に少ない。

そして、本発明の吸収性物品の吸収マットは、シート状吸水層 1 Aがー度体液を吸収すると、その厚みは吸水性樹脂粉末 3の膨潤により増大するので、最終保水層である繊維集合層 6 Aと着用者の肌との間隔が開くこととなる。このため、繊維集合層 6 Aが押圧されて、繊維集合層 6 Aから体液が染み出した場合であつても、この体液が厚みを増したシート状吸水層 1 Aを超えて表面シート 1 1 (図 9参照）にまで到達するのは困難となって、体液の逆戻りを効果的に抑制するのである。

またこのとき、吸水性樹脂粉末非存在領域 2 a、 2 bに設けられた封止部 5は、吸水性樹脂粉末 3の膨潤に伴い、吸水前の位置から徐々に、厚み方向で上側へと上昇する。その結果、繊維集合層 6 Aと該封止部 5との間には空間 8が生じる。こうして生じた空間 8は押圧を受けた繊維集合層 6 Aから染み出した体液を、該空間部分を通じて吸収性物品の長手方向へと拡散させるため、この空間 8の存在も、逆戻り防止に寄与する。

繊維集合層 6 Aとシ一ト状吸水層 1 Aとの間に生じる空間 8は、長時間の使用の際、特に 2回目以降に排出される体液を吸収する際に有効に機能する。すなわち、シート状吸水層 1 Aの吸収可能な水分量は限られているため既にその限度いつぱいまで吸収している場合には、新たな体液が排出されても吸収することができない。しかし、シート状吸水層 1 Aの下側に空間 8が存在すれば、吸収されなかった体液を、空間 8を通じて、繊維集合層 6 A内の未だ吸水の余地を有する部分へと拡散させて、吸収させることができる。

さらに、シート状吸水層 1 Aは、繊維集合層 6 A側からシ一ト状吸水層 1 A上側への体液の通過を防ぐため、逆戻りの防止に寄与することができる。すなわち、体液吸収時、シート状吸水層 1 Aの吸水性樹脂粉末領域 2 cでは、膨潤した吸水性樹脂粉末 3が密に詰まった状態となっているため、非常に液体が通過しにくい。よって、繊維集合層 6 Aの表面へ染み出した体液は、シート状吸水層 1 A上側へ通過することができず、逆戻りしないのである。

ただし、この膨潤した吸収性樹脂粉末存在領域 2 cは、繊維集合層からの体液が逆戻りするのを防止するのと同時に、新たに排出された体液が、シート状吸水層 1 Aの下側へ通過するのを妨げてしまうこともある。しかしながら、本発明に係るシート状吸水層 1 Aには、封止部 5 (中間領域 2 b ) が設けられており、この封止部 5には吸水性樹脂粉末 3が存在しないか、あるいは存在していても極わずかな量であるので、新たに排出された体液は、封止部 5を通って速やかに下側の繊維集合層 6 Aへ移行することができるため、 2回目以降の体液も確実に吸収することができる。

以上のように本発明ではシート状吸水層 1 Aと繊維集合層 6 Aを上記構造とすることにより、 2回目以降の排出液も速やかに吸収できる充分な吸収量を確保することができる。さらに、体液の逆戻りをより低レベルに抑え、着用者の肌が汚染されるのを防いで、清潔に保つことができる。

本発明では、十分な吸収量を確保するため、シート状吸水層 1 Aを 2層以上の積層構造にしてもよい。シート状吸水層 1 Aを 2層以上の積層構造とする場合は、複数個のシート状吸水層 1 Aを単に積層してもよく（図 4 )、また、幅広のシート状吸水層 1 Aを折り返して、積層構造 (図 5、 6 ) としてもよい。折り返し構造とする場合には、 1枚のシート状吸水層 1 Aの幅方向中央で折り返す形態（図 5 )、幅方向端縁を下方あるいは上方に折り返す形態（図 6 ) などの態様であれば、製造上簡便に積層構造を得ることができ、必要な吸収量を確保することができる。これらの積層構造を有するシート状吸水層 1 Aを採用する場合には、これを用いる吸収性物品の逆戻り量を低減し、速やかな吸収速度、拡散性を確保するため、シ一卜状吸水層 1 Aの吸水性樹脂粉末存在領域 2 cが夫々重なるようにするのが好ましい。上下のシー卜状吸水層 1 Aにおいて、吸水性樹脂粉末存在領域 2 c同士が重なることで、膨潤後のシート状吸水層 1 Aの厚みが大きくなり、着用者の肌と繊維集合層との間隔がさらに大きくなるので、液体の逆戻り現象を抑える効果が大きくなる。吸水性樹脂粉末存在領域 2 cと封止部 5とが重なると、空間 8 が有効に形成されず、 2回目以降に排出された体液をスムーズに吸水することができない。なお、上述のような積層構造を安定に保っため、各シート状吸水層 1 Aは、接合 ·固定しておくのが好ましい。

さらに、図 7に示すように、第 1不織布 2と、中間不織布 9と、第 2不織布 4 の 3枚の不織布の間に、接着剤層 S l、 S 2、 S 3を設け、吸水性樹脂粉末 3を封入したシート状吸水層 1 Bも使用可能である。このシート状吸水層 1 Bには、厚み方向上下の吸水性樹脂粉末 3の層間に、中間不織布 9が 1枚しか存在していないので、図 4〜 6に示したシート状吸水層 1 Aに比べて、製造工程が簡略化され、かつ、吸収性物品自体のコストを抑えることも可能となる。また、シート状吸水層 1 Aを折り返す場合に比べて狭幅のシートを製造すれば良く、折り返しェ程も不要となるため、製造スペースを省略することもできる。

これまで説明した吸収マツトの繊維集合層 6 Aは、ほぼ同形状の繊維集合体を上下に 2層重ねた構造であつたが、 1層の繊維集合体のみから構成されたものであっても良く、繊維集合体を 3層以上重ねたものであっても良い。ただし、繊維集合層が厚くなりすぎると、得られる吸収マットの厚みがかなり増大して、着用者の股間部においてゴヮゴヮ感が増し、使用感を悪化させる場合がありうるので、積層枚数は適宜決定すればよい。

また、繊維集合層として、上側の繊維集合体が開口を有する構成のものを用いてもよい。着用時に型くずれを起こしにくくなり、体液の吸収速度を速めることもできるからである。図 8には、シート状吸水層 1 Aの下部に、上記繊維集合層 6 Aとは異なる構成の繊維集合層 6 Bが配設された吸収マツトの断面図を示した。この繊維集合層 6 Bは、上側繊維集合体 6 1と、上側繊維集合体 6 1と同幅あるいは狭幅の下側繊維集合体 6 2が積層されて構成されている。

この図例の上側繊維集合体 6 1に設けられた開口部 6 3は、パルプ繊維も吸水性樹脂粉末も存在していない領域であるため、剛性が低い。よって、開口部 6 3 の存在により、上側繊維集合体 6 1は変形し易くなる。シート状吸水層 1 Aは、元々非常に薄いシートであるので、この構成の吸収マツトは、着用者の体型や動きに追随して変形するが、型くずれは起こさない。そして、その結果、着用者の肌と吸収マツトの間に隙間が生じにく <体液の横漏れを防止する効果が得られるのである。また、開口部 6 3の下側には、必ず下側繊維集合体 6 2が存在しているので、速やかな吸収を実現することができ、この構成によっても横漏れが防止される。

開口部 6 3の形状は特に限定されない。図 9 ( a ) には、 2つの長方形状の開口部 6 3が、繊維集合層 6 Bの長手方向に連続して、かつ、繊維集合層 6 Bの長手方向中心線に対して距離 Wを隔てて左右に略対称に形成されている例を示しており、図 9 ( b ) には、図 9 ( a ) と同様な位置に断続的に 6個の開口部 6 3が形成されている例を、図 9 ( c ) には、上側繊維集合体 6 1の中央部を囲むリング状の開口部 6 3が形成されている例を示した。また、図 1 0は、図 9 ( a ) の Y— Y線断面図である。

上記図 9 ( a ) 〜（c ) に例示したように、開口部 6 3は、上側繊維集合体 6 1の中央部以外の領域に設けるのが好ましい。ここで、上記繊維集合体 6 1の中央部とは、吸収性物品着用時に着用者の排泄部に当接する領域（排尿口相当部分とその周辺）をいい、例えば図 9において矢印 Mで示す長さと矢印 Nで示す幅を有する領域を意味するものである。このように排尿口およびその周辺に相当する部分には開口部 6 3を設けずに、繊維などの吸収成分を配置しておけば、嵩高くなつて着用者と吸収性物品との密着性が高められるので、排泄された尿を速やかに吸収し、確保することができる。

また、上記開口部 6 3は、繊維集合層 6 Bの長手方向に連続的または断続的に延びる形態であれば、該開口部 6 3を通じて体液を下側の繊維集合体 6 3の全体に拡散させることができるので好ましい。さらに、上記開口部 6 3が上側繊維集合体 6 1の長手方向中心線に対して左右に略対称な位置に形成されている場合には、吸収マットが一層捩れやすくなるため望ましい。

なお、開口部 6 3が上側繊維集合体 6 1の幅方向に 2箇所以上存在する場合には、開口部 6 3同士の間隔 Wは 1 0 mm以上とするのが望ましい。間隔 Wが狭すぎると、開口部 6 3で上側繊維集合体 6 1が折れ曲がっても、吸収性物品が着用者の体型に十分にフィットできず、吸収性物品幅方向からの漏れを防止する効果が低いからである。より好ましくは 2 0 mm以上、さらに好ましくは 3 0 mm以上である。

上記構成を採る場合、繊維集合層 6 Bの厚みは、 2〜1 0 mm程度が好ましく、繊維集合層 6 B中における下側繊維集合体 6 2の厚みの割合は 5 0 %程度が好ましく、より好ましくは 4 0 %程度である。下側繊維集合体 6 2の厚みが 5 0 %を超えると、上側繊維集合体 6 1に開口部 6 3を設けていても、吸収マツトが蹉れにくくなるからである。

図 8の繊維集合層 6 Bは上側繊維集合体 6 1と下側繊維集合体 6 2とが同幅である。また、図 9の上側繊維集合体 6 1は、着用者の臀部に当接される後部（図左側）が前部（図右側）よりも広幅に形成された略ひょうたん型であり、下側繊維集合体 6 3は上側繊維集合体 6 2よりも狭幅の略矩形状に形成されている。これらのように、開口部 6 3を有する繊維集合層 6 Bを採用する場合には、下側繊維集合体 6 2は、上側繊維集合体 6 1と同幅あるいは狭幅とするのが好ましい。吸収マットが蹉れた場合であっても、上側繊維集合体 6 1が部分的に偏ったり塊状になりにくいからである。また、予め上側繊維集合体 6 1と下側繊維集合体 6 2とをホットメルト接着剤等で固定しておくと、繊維集合層 6 Bの形状を保持するために有効である。

次に、シート状吸水層 1 A、 I B (以下、単にシート状吸水層 1というときは、両者を代表しているものとする）と、繊維集合層 6 A、 6 B (以下、単に繊維集合層 6というときは、両者を代表しているものとする) の構成素材について説明する。

上記シ一ト状吸水層 1の第 1不織布 2、第 2不織布 4、中間不織布 9としては、液透過性の不織布が用いられるが、このような不織布を構成する繊維としては、セルロース、レーヨン、コットンなどの親水性繊維の他、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミドなどの疎水性繊維の表面を界面活性剤で親水処理したものが使用可能である。また、封止部 5をヒートシールにより形成する場合は、ヒ一トシ一ル可能な不織布を用いるとよい。なお、不織布 2、 4として、複数の不織布が積層されたものであってもよい。

第 1接着剤層 S 1、第 2接着剤層 S 2、第 3接着剤層 S 3は、吸水性樹脂粉末 3を上記不織布 2， 4， 9へ付着させるための層である。従って、これらの接着剤層 S 1、 S 2、 S 3は、吸水性樹脂粉末 3の脱落を防ぎつつも、吸水、膨潤を阻害することなく、また使用時の通気性をも確保することができるように、網状に形成するのが好ましい。

上記接着剤層 S l、 S 2、 S 3のために用いる接着剤としては、同種の、または異種のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。例えば、天然ゴム系、ブチルゴム系、ポリイソプレンなどのゴム系、 S I S、 S B S、 S I B S、 S E B S、 S E P Sなどのスチレン系エラストマ一、エチレン '酢酸ビニルコポリマ一 ( E V A) , ポリエステル、ァクリル系、ポリオレフィン系エラス卜マ一などのホットメルト型接着剤が用いられる。吸水後の吸水性樹脂の脱落を防ぎ得る程度の接着力を有し、吸水性樹脂の膨潤に追従し得る程度の伸びやすさを有するものが好ましく、この点で、ゴム系やスチレン系エラストマ一のホットメルト接着剤を用いるのが好ましい。

接着剤層 S l、 S 2、 S 3を網状体に形成するには、複数のノズルから溶融状態の接着剤を糸状に吐出する方法（カーテンスプレー法、スパイラルコ一ティング法）が簡便で望ましい。具体的には、複数の小さな吐出孔群が直線状に配列され、各吐出孔近傍に加熱空気を高速で噴出することのできるエアー噴出口を供えたカーテンスプレーコ一夕一を利用すれば、吐出孔から線状に吐出された溶融状態の接着剤にエアーを吹き付けることにより、多数の細繊維状の接着剤がランダムに付着しあつた網状の集合体として塗布することができる。また、ホットメルト接着剤吐出孔近傍に、ノズル中心方向にエア一を吹き出すことのできるエア一噴出口が 3個以上点対称に備えられたスパイラルスプレーノズルガンを利用すれば、不織布上にらせん状の接着剤層を形成することができる。なお、図 1のシー卜状吸水層 1 Aにおいては、接着剤層 S 1を力一テンスプレー法で、 S 2をスパィラルコーティング法で塗布した例を示している。もちろんこれらの図例に限定されず、接着剤層 S 1、 S 2 , S 3は自由に形成することができる。接着剤層 S 1、 S 2、 S 3は、複数の接着剤塗布部を有する形態としても良く、または、不織布全面に接着層を塗布する形態としてもよい。

シート状吸水層 1や繊維集合層 6に用いられる吸水性樹脂粉末 3または 7としては、公知の吸水性榭脂からなるものが使用でき、例えば、ポリアクリル酸系、セルロース系、でんぷん ·ァクリロニトリル系などの吸水性樹脂が挙げられる。シート状吸水層 1において、吸水性樹脂粉末存在領域 2 cは、その上下が不織布 2、 4 (または中間不織布 9 ) で挟まれ、さらに、不織布 2、 4 (または中間不織布 9 )が吸水性樹脂粉末非存在領域 2 a、 2 bにおいて封止されているため、吸水性樹脂粉末 3が膨潤できるスペースには限りがある。従って、本発明を適切に実施するためには、吸水性樹脂粉末 3の量は、その存在領域に対して 1 0 0 g ノ m²以上、 2 5 0 g /m²以下とするのが好ましい。 1 0 0 g /m²未満では、十分な吸水性を確保することや、膨潤後に繊維集合層 6と着用者の肌との間に十分な間隔を保つのが困難であり、一方、 2 5 0 g Zm²を超えて使用してもコストが増加するのみだからである。好ましくは 1 3 0 g /m²以上、 2 2 0 g /m² 以下、より好ましくは 1 5 0 g /m²以上、 2 0 0 g /m²以下である。

上述のようにして、接着剤層 S l、 S 2、 S 3を各不織布 2、 4、 9に形成し、吸水性樹脂粉末 3を散布した後、不織布 2、 4、 9を接合し、吸水性榭脂粉末非存在領域 2 a、 2 bの全体あるいは一部を封止して、封止部 5を形成する。上記封止部は、樹脂の膨潤により破壊されない程度の強度を有している必要があり、このような封止部の形成手段としては、ヒートシール、ホットメルト接着剤による接合、超音波接合、鏠合などが挙げられる。これらの中でもヒ一トシ一ルは、不織布 2、 4、 9を強固に接合できるため好ましい。

また、上記両端領域 2 aおよび中間領域 2 b以外に、樹脂粉末非存在領域がシ ―ト状吸水層 1の幅方向に平行に設けられている場合、該領域を封止部としてもよい。このようにすれば、製造工程において、シート状吸水層 1を切断するのが容易となるからである。

本発明の吸収性物品が具備する吸収マツトは、繊維集合層 6 Aまたは 6 Bの上にシ一ト状吸水層 1 Aまたは 1 Bを重ねることにより形成される。吸収性物品使用時のよれや形態の変形を防ぐために、繊維集合層 6 Aまたは 6 Bとシート状吸水層 1 Aまたは 1 Bとを接着剤等の手段で接合して固定しておいてもよい。ただし、吸水後に空間 8が形成されるのを妨げられないように、また、吸収性物品の通気性等を確保するために、接着剤層は網状とするのが好ましい。このとき用いる接着剤としては、上記シート状吸水層 1に用いたものと同様のものが使用可能である。

上述のようにして得られた吸収マットを吸収体として、使い捨てパンツ、使い捨ておむつ、生理用ショーツなどの使い捨，て吸収性物品とする。図 1 1および図 1 2に、本発明の吸収性物品の好適な実施形態を示す。図 1 2は、図 1 1の平面図における X— X線断面図である。吸収性物品 1 0は、まず、液透過性の表面シート 1 1と液不透過性の裏面シ一ト 1 2との間に、シート状吸水層 1 A ( 1 Bでも良い）と繊維集合層 6 A ( 6 Bでも良い）を備える吸収マット 1 3を、シート状吸水層 1 Aが表面シート 1 1側となるようにして挟み込んだ後、該吸収マット 1 3の裾部から側部を覆うように液不透過性のサイドシート 1 4を設けてなるものである。

ここでサイドシート 1 4は、吸収マツト 1 3裾部の外方延出部に設けた固定領域 Aにおいて、表面シート 1 1および裏面シート 1 2と接合され、吸収マット 1 3上部（着用者側）では、該吸収マツト 1 3の幅方向端縁（基端接合部 1 5 ) で表面シート 1 1と接合されており、さらに、基端接合部 1 5から上方に立ち上がる立ち上がり領域 Bを有している。なお、サイドシート 1 4は、吸収性物品 1 0 の長さと略同等の長さを有しており、吸収性物品 1 0の前および後端部において伏せられて、表面シート 1 1の上面と接合されている（図示せず)。

上記立ち上がり領域 Bは、吸収マット 1 3の幅方向内側に折り返され（内方向端縁 1 6 )、該内方向端縁 1 6内部には弾性部材 1 7が伸張状態で添設されており、さらに折り返し接合部 1 8でサイドシート 1 4同士が接合されている。このような立ち上がり領域 Bは、吸収性物品 1 0着用時に、基端接合部 1 5を基端として、内方向端緣 1 6が着用者の肌に沿うように立ち上がり、股間部における体液の横漏れを防止する。

上記液透過性の表面シート 1 1としては、着用者からの体液（排泄物）を素早く捕捉し、吸収マツト 1 3へ移行させる必要があるため、透液性のシート材料を用いるのが好ましい。具体的には、セルロース、レーヨン、コットンなどの親水性繊維を用いた不織布、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミドなどの疎水性繊維を使用した不織布で、その表面を界面活性剤により処理し透液性としたもの、あるいは、開孔を有するブラスティックフィルム等、通常使い捨て吸収性物品に使用される透液性のシ一ト材料が挙げられる。

液不透過性の裏面シート 1 2としては、吸収マット 1 3で吸収された体液が、吸収性物品 1 0の外側へ染み出すのを防ぐため、撥水性あるいは液不透過性のシ —ト材料を用いるのが好ましい。より好ましくは、通常、使い捨ておむつに用いられる撥水性不織布材料 (例えば、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、 S M S不織布（スパンポンド一メルトブローン—スパンボンドの積層不織布）など）やプラスティックフィルム (好ましくは通気性プラスティックフィルム) やこれらの複合材料が挙げられる。

上記サイドシ一ト 1 4としては、撥水性若しくは液不透過性のシート材料を用いるのが好ましい。より好ましくは、上記撥水性不織布材料（スパンポンド不織布、メルトブローン不織布、 S M S不織布など）や通気性あるいは非通気性ブラスティックフィルム (より好ましくは通気性プラスティックフィルム) やこれらの複合材料が用いられる。

サイドシート 1 4と表面シート 1 1とを接合する基端接合部 1 5、サイドシート 1 4と裏面シート 1 2とを接合する固定領域 Aおよびサイドシート 1 4同士を接合する折り返し接合部 1 8は、ヒートシ一ル、ホットメルト接着剤接合、超音波接合などの方法で接合すればよい。

サイドシート 1 4の内方向端緣 1 6内部に添設する弹性部材 1 7としては、通常使い捨ておむつに用いられる弹性部材であればよく、例えばポリウレタンゃ天然ゴムなどが挙げられ、これらを糸条あるいはフィルム状として用いることができる。なお、これらの弾性部材 1 7は、伸張状態として、内方向端縁 1 6内部に、熱融着接合、ホットメルト接着剤接合、超音波接合などの方法で添設できる。図 1 1に示した使い捨て吸収性物品 1 0は、着用した際に着用者の臀部に当たる長さ方向後部 C 1が、臀部を包むことができるように幅方向に広がりをもつ形状となっている。また、長さ方向中間部 C 2は、着用者の股間に密着し易いように細幅に形成されて、着用者の動きに追随して括れやすくなつている。さらに長さ方向前部 C 3は、着用者に違和感を与えない程度の幅方向の広がりを有しており、全体として略ひようたん型の使い捨て吸収性物品となっている。もちろん、本発明の使い捨て吸収性物品の全体的形状は上記図 1 1に示した略ひょうたん型には限られず、矩形や砂時計型など任意の形状とすることができる。

また図 1 1では、吸収性物品 1 0の長手方向全域に亘つて吸収マツト 1 3を配置した例を示したが、シート状吸水層 1を適切な長さに切断して、所望の位置に部分的に配置することも可能であり、例えば股間部のみにシー卜状吸水層 1を備えた吸収性物品としてもよい。

次に、本発明の吸収性物品にかかる吸収マットの好ましい製造方法例について説明する。まず、前記シート状吸水層が長手方向に連続した連続シ一ト状吸水層を専用のシート状吸水層製造ラインで製造し、所定の幅にカットした後、ロール状に巻き取る。前記シート状吸水層製造ラインとは別の製造ライン（これを吸収性物品製造ラインとすることが好ましい）で、吸収マットの下層に該当する繊維集合層の連続体（連続繊維集合層）を製造する。ついで、前記ロールから連続シート状吸水層を繰り出しながら、該シ一ト状吸水層上の繊維集合層を走行させながら、その上に前記シート状吸水層との接合面にホットメルト接着剤を塗布する。連続繊維集合層を走行させながら、その上に前記シート状吸水層を載置し、接合' 一体化させる。得られた連続吸収マットを加圧プレスして、その形状を安定化させ、所望の大きさに切断することで個々の吸収マットが得られる。次いで、こうして得られた吸収マットを、従来公知の方法で、液体透過性の表面シートと液体不透過性の裏面シートとの間に配設して吸収性物品とする。なお、上記シート状吸水層が繊維集合層より小面積の場合には、予め所定の長さに切断したシート状吸水層にホットメルト接着剤を塗布し、これを繊維集合層上の適当な箇所（例えば、吸収性物品の股間部に相当する中央領域）に転写して吸収マットとしてから、吸収性物品製造ラインへと導入してもよい。

また、吸収性物品 1個ずつの繊維集合層を、ライン上で間欠的に製造する場合も、上述の場合と同様にして、予め所定の長さに切断したシ一ト状吸水層と繊維集合層とを一体化させ、吸収マツ卜としてから、吸収性物品製造ラインへと導入し、吸収性物品を製造することができる。

連続または個々の繊維集合層を製造するには、公知の吸収性物品と同様の製造方法を採用することができる。例えば、所望の繊維集合体形状に相当する凹部（吸引領域）が設けられている吸引ドラム周面に、解繊パルプ繊維および吸収性樹脂粉末を吸引堆積すればよい。なお、開口部 6 3がある上側繊維集合体 6 1を有する繊維集合層 6 Bを製造する場合には、上記吸引ドラムの周面の凹部に、開口部 6 3の形状に相当する非吸引領域を形成しておき、ここに解繊パルプ繊維および吸収性樹脂粉末を吸引堆積させればよい。

また、開口部 6 3が図 9 ( c ) に示すようなリング状である場合には、まず、上側繊維集合体 6 1に、上側繊維集合体 6 1の中央部がない大きな開口のみを先に設け、これを別の吸引ドラムで形成した下側繊維集合体 6 2上に載置した後、さらに下流側に設けた他の吸引ドラムで上側繊維集合体 6 1の中央部を形成し、これを前記した上側繊維集合体 6 1の大きな開口の中央に載置すればよい。

以下、実験例によって本発明をさらに詳述するが、下記実験例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することはすべて本発明の技術範囲に包含される。

〔比較例（従来例）〕

表面シートと裏面シートの間に、上側繊維集合体と下側繊維集合体とからなる繊維集合層を備えた吸収マットが介装された吸収性物品を作製した。表面シートには、ポリエチレンを鞘、ポリエステルを芯とする複合繊維を界面活性剤で親水化させ、カットし、これをカーデイングした後、熱風によって繊維同士を結合させたエアースルー不織布（目付： 20 g/m²) を使用し、裏面シ —トには、厚み 25 mの液不透過性のポリエチレンフィルムを用いた。

ティッシュペーパー（目付： 1 8 g/m², サイズ：幅 41 OmmX長さ 54 Omm) 上に、約 1〜2 g/m²のホットメルト接着剤（日本ェヌエスシー株式会社製、商品名「MQ— 24E」、ゴム系ホットメルト接着剤）を網状に塗布し、ここへ、吸引して成形した解繊パルプ繊維コア（目付：約 1 8 5 gZm²) を載せ、さらにこの上に吸水性樹脂（株式会社日本触媒製、商品名「CAS 601」、ポリアクリル酸系吸水性樹脂）を均一に散布した後 (散布量： 50 gZm²)、解繊パルプ繊維コアの幅方向端縁から延出しているティッシュぺ一パーで、解繊パルプ繊維コアおよび吸水性樹脂を包み込み、下側繊維集合体とした。

この下側繊維集合体の上面に、直接、約 1〜2 gZm²のホットメルト接着剤 (下側繊維集合体で用いたのと同じもの) を網状に塗布し、ティッシュペーパー (目付： 1 8 g/m サイズ：幅 1 8 OmmX長さ 54 Omm) を載せて、さらにその上に、約 1〜2 g m ²の上記ホットメルト接着剤を網状に塗布した。ここへ、約 7 8 gZm²の吸水性樹脂 (下側繊維集合体で用いたのと同じもの) と解繊パルプ繊維（1 80〜1 85 g/m²) を混合しながら吸引して成型した解繊パルプ繊維コアを載せ、上側繊維集合体とした。

この上側繊維集合体の上に、さらに、約 1 0〜1 5 gZm²のホットメルト接着剤を網状に塗布した後、上側繊維集合体の面積に対して約 83 gZm²となるように吸水性樹脂を散布した。

得られた吸収マツトを、前記表面シートおよび裏面シートの間に設置した後、これらのシート間において、吸収マットが存在しない領域をホットメルト接着剤により接合し、比較例の吸収性物品を作成した。

〔実施例（本発明例)〕

実施例では、比較例における上側繊維集合体と表面シートとの間に散布した吸水性樹脂に替えて、本発明のシート状吸水層を用いて吸収性物品を作製した。シート状吸水層は、第 1 (表面側）不織布と第 2 (裏面側）不織布の内面に前出のホットメルト接着剤（塗布量：表面、裏面いずれも 1 0 g Zm²) を網状に塗布し、ここに吸水性樹脂を付着させて作成した。

第 1不織布としては、レーヨン繊維とポリエステル繊維をほぼ 7 ： 3の質量比となるように混綿した繊維を、カーデイングし、水流絡合したいわゆるスパンレース不織布を使用し（目付： 4 0 g /m²)、第 2不織布としては、ポリエチレンを鞘、ポリエステルを芯とする複合繊維を界面活性剤で親水化させ、カットし、これをカーディングした後、熱風によって繊維同士を結合させたエアースルー不織布を使用した（目付： 2 0 g /m²)。

上記ホットメルト接着剤は、不織布上において吸水性樹脂粉末存在領域の幅が約 1 5〜1 8 mmとなるように塗布し、各吸水性樹脂粉末存在領域間を隔てる吸水性樹脂粉末非存在領域の幅が約 7〜 1 0 mmとなるように調整した。なお、このときの吸水性樹脂粉末存在領域における吸水性樹脂の散布量は、約 1 8 0 g / m²であった。

第 1不織布と第 2不織布とを接合した後、上記吸水性樹脂粉末非存在領域をヒ —トシールすることによって封止部 (封止部幅：約 5 mm) を形成して、シート状吸水層を作成した。

なお、比較例と実施例における吸水性物品の総吸収量は、ほぼ同等となるように調整した。

上述のようにして得られた各吸収性物品を用いて、以下の逆戻り性測定を行つた。

逆戻り性測定

3 0 0 c cのガラス製分液ロートを用いて、人口尿（1 %の塩化ナトリウム水溶液) 1 0 0 c cを、実施例および比較例で得られた吸収性物品の中央部付近に垂直に一気に流入した。このときの分液ロートの滴下部先端から吸収性物品の表面シートまでの垂直距離は 3 c mとした。流入開始と同時に時間を計測し始め、 5分経過した後、流入部分の上に直径 1 5 0 mmのろ紙（東洋濾紙株式会社製）を 1 0枚乗せ、さらにその上に、直径 1 5 0 mmで総質量 7 k gの円筒状の錘をのせた。流入開始から 6分経過後のろ紙質量を測定し、測定前のろ紙質量（g ) から測定後のろ紙質量（g ) を引き、得られた数値（g ) を逆戻り量として、逆戻り性の評価をした（1回目の測定)。続いて、 1回目の流入開始から 1 0分経過した後、 1回目の測定と同じ部分に新たな人口尿 1 0 0 c cを一気に流入し、 2回目の流入開始から 5分後（1回目の流入開始から 1 5分後)、新たなろ紙を 1 0枚乗せ、 2回目の流入開始から 6分後（1回目の流入開始から 1 6分後)、 1回目の測定と同様にして、逆戻り量（g ) を測定した（2回目の測定）。

1、 2回目と同様にして、 3〜5回目までの逆戻り量を測定した。なお、 5回目までの人工尿の総流入量は 5 0 0 c cである。結果を表 1および図 1 3に示す。表 1

表 1より、実施例の吸収性物品は繰り返し人口尿を流入しても、逆戻り量が小さぐその量の増え方も小さいものであった。これに対して、比較例の吸収性物品は、その吸収量が増加すると共に、逆戻り量が増加しており、吸収性物品表面に染み出す人口尿量が増加していることがわかる。産業上の利用可能性

本発明の吸収性物品は、高い吸収性能を有しているため、長時間使用することができ、逆戻りを低レベルに抑制したので、長時間使用しても着用者の肌を汚染することなく、清潔に保つことができた。また、尿等の体液を速やかに吸収し、体液を吸収しても型崩れを起こしにくい快適な着用感を有するものであり、使い捨てォムッや使い捨てパンツとして、有用である。

Claims

請求の範囲

1 . 液体透過性の表面シ一トと液体不透過性の裏面シートとの間に、吸収マットを具備する使い捨て吸収性物品であって、

前記吸収マットは、吸水性樹脂粉末を含み、パルプ繊維を含まないシート状吸水層と、吸水性樹脂粉末とパルプ繊維とを含む繊維集合層とを、表面シート側から順に有しており、かつ、

前記シート状吸水層は、吸水性樹脂粉末を内包した複数の吸水性樹脂粉末存在領域と、隣接する吸水性樹脂粉末存在領域の間に形成される吸水性樹脂粉末非存在領域とを有することを特徴とする使い捨て吸収性物品。

2 . 前記シート状吸水層中の吸水性樹脂粉末は、複数枚の不織布間に内包されているものである請求項 1に記載の使い捨て吸収性物品。

3 . 前記シ一ト状吸水層の不織布が、吸水性樹脂粉末非存在領域において溶着されている請求項 2に記載の使い捨て吸収性物品。

4 . 前記シート状吸水層が 2層以上積層されていて、各シート状吸水層の吸水性樹脂粉末存在領域は、厚み方向においてほぼ重なるように積層されている請求項 1〜 3のいずれかに記載の使い捨て吸収性物品。

5 . 前記シート状吸水層における不織布が長手方向と幅方向を有する矩形状であつて、吸水性樹脂粉末存在領域が、不織布長手方向には連続して、幅方向には、吸水性樹脂粉末非存在領域により隔てられて複数存在するものである請求項 2〜 4のいずれかに記載の使い捨て吸収性物品。

6 . 上記繊維集合層は上側繊維集合体と下側繊維集合体とから構成されており、上側繊維集合体には開口部が少なくとも 1つ設けられており、該開口部の下側には必ず下側繊維集合体が存在するように構成されている請求項 1〜 5のいずれかに記載の使い捨て吸収性物品。

7 . 上記開口部は、上側繊維集合体の中央部以外の部分に設けられるものである請求項 6に記載の使い捨て吸収性物品。

8 . 上記開口部は、吸収性物品の長手方向に連続的または断続的に延びるものである請求項 6または 7に記載の使い捨て吸収性物品。

9 . 上記開口部は、上側繊維集合体の長手方向中心線に対して、左右に略対称な位置に存在するものである請求項 6〜 8のいずれかに記載の吸収性物品。