明 細 書
偶高調波ダイレクトコンバ一ジョン受信装置及びこれを用いた送受信装置 技術分野
この発明は、 無線通信システムにおける受信装置に関するもので、 特に偶高調 波形直交ミクサを使用した偶高調波ダイレクトコンパ一ジョン受信装置に関する ものである。 背景技術
無線通信システムにおける受信装置の小型化、 軽量化を実現する受信方式の一 つとしてダイレクトコンバ一ジョン方式と呼ばれる方式がある。 ダイレクトコン バ一ジョン受信方式とは、 受信した高周波信号を中間周波数への変換を経ずに直 接ベースバンド信号に周波数変換して復調する受信方式をいう。 この方式におい て、 受信感度劣化改善を行う構成の一つとして偶高調波形直交ミクサを使った偶 高調波ダイレクトコンバージョン受信装置がある。 第 1 2図は従来の偶高調波ダ ィレクトコンバージョン受信装置の一例を示すプロック図である。
第 1 2図において、 1はアンテナ、 2はアンテナが受信した受信信号、 つまり 高周波信号を増幅する低雑音増幅器、 3は帯域通過フィル夕、 4は 2つの単位偶 高調波ミクザで構成される偶高調波形直交ミクサで、 局部発振器 5から出力され る局部発振波と帯域通過フィルタ 3を通過した受信信号 (周波数: が入力 される。 ここで、 局部発振器 5から出力される局部発振波は、 受信信号の約 2分 の 1の周波数 (f p ) であり、 偶高調波形直交ミクサでは、 受信波と局部発振波 を混合することでベースバンド信号 (周波数 I f r f一 2 f p を出力する。 6 は低域通過フィル夕、 7は複数のベースバンド信号増幅器で構成されたべ一スバ ンド信号増幅回路であり、 ベースバンド信号を増幅するものである。 1 1は信号 処理回路であり、 A/D変換器 8、 ディジタルフィルタ 9、 ディジタル演算回路
1 0で構成されている。
次に、 動作について説明する。 第 1 2図において、 アンテナ 1で受信した受信 信号は低雑音増幅器 2で増幅され、 帯域通過フィル夕 3で受信帯域以外の周波数 の雑音成分を強く抑制する。 帯域通過フィルタ 3を通過した受信信号は、 2つの 単位偶高調波ミクサで構成された偶高調波形直交ミクサ 4 (第 1 4図参照) で局 部発振器 5の出力信号と混合され、 Iチャンネル、 Qチャンネルのベースバンド 信号を出力する。 局部発振器 5の出力する局部発振波は、 アンテナ 1で受信した 受信信号の周波数の約 2分の 1の周波数である。
偶高調波形直交ミクサ 4から出力された各チャンネルのべ一スパンド信号は、 低域通過フィル夕 6でベースバンド信号以外の不要な信号を除去する。 低域通過 フィル夕 6でろ波されたベースバンド信号は複数のベースバンド増幅器で構成さ れるベースバンド信号増幅回路 7で、 後段に接続された A/D変換器 8の入力に 適正なレベルまで増幅される。 増幅されたベースバンド信号は A/D変換器 8で ディジ夕ル信号に変換され、 ディジタルフィルタ 9を通過した後、 ディジ夕ル演 算回路 1 0にて復調データを得る。
以上説明した偶高調波ダイレクトコンバージョン方式の受信装置では、 偶高調 波形直交ミクサを使用することで 2次の相互変調歪や局部発振波の自己検波など 偶数次の混合に起因する受信感度劣化を抑制している。 したがって、 ダイレクト コンバージョン方式の適用による受信装置の小型化に加え、 偶高調波形直交ミク サを使用したことにより受信感度の改善をすることができる。
ところで、 局部発振器 5は、 受信信号の約 2分の 1の周波数の局部発振波を偶 高調波形直交ミクサ 4に出力する。 同時に局部発振波とほぼ同じ周波数の放射波 も局部発振器 5より放射される。 これを放射波という。 この放射波がアンテナ 1 や低雑音増幅器 2の入力端子から入力された場合、 低雑音増幅器 2には受信信号 の他に局部発振器 5の放射波も入力されることになる。 すると、 低雑音増幅器 2 は、 増幅器の非線形性により受信信号と放射波のほかに、 それぞれの信号の高調 波成分を出力する。 この高調波のうち放射波の 2倍波は受信信号とほぼ同じ周波
数となる。 従って、 後段に設けた帯域通過フィル夕 3では除去することができず 、 偶高調波形直交ミクサ 4に入力される。 これにより、 偶高調波形直交ミクサ 4 から出力されるべ一スパンド信号には放射波が原因で発生した D Cオフセット電 圧が含まれることになる。
偶高調波形直交ミクサ 4より出力されるべ一スパンド信号に含まれる D Cオフ セット電圧は比較的僅かな量であるが、 ベースバンド信号増幅回路 7で非常に大 きな利得を得る場合、 A/D変換器 8に入力される D Cオフセット電圧が非常に 大きな量になる。 これにより、 後段のディジタル演算回路 1 0におけるデ一夕判 別の際にデータ誤判定の原因となり、 ビット誤り率特性が劣化する。
続いて従来例 2として、 第 1 3図に偶高調波形直交ミクサを使った、 偶高調波 ダイレクトコンバ一ジョン方式の他の受信装置を示す。 第 1 3図において、 第 1 2図のものと同一の符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。 第 1 3図において、 2 aは第一の低雑音増幅器であり、 2 bは第一の低雑音増 幅器 2 aと帯域通過フィル夕 3の間に設けられた第二の低雑音増幅器である。 ァ ンテナ 1より受信した受信信号は、 第一の低雑音増幅器 2 aと第二の低雑音増幅 器 2 bにおいて増幅される。 増幅された信号は、 偶高調波形直交ミクサ 4に入力 され、 後段に設けられた信号処理回路 1 1でもとのデータに復調する。
このようにアンテナから受信した信号を複数の低雑音増幅器で増幅し、 偶高調 波形直交ミクサに入力するような構成の受信装置は、 移動体通信基地局装置など に用いられ、 非常に微弱な受信波について十分な N F値を保ちなおかつ後段に設 けられた偶高調波形直交ミクサへ適切な入力レベルに信号を増幅する際に用いら
4しる
第 1 3図に示した構成の場合、 アンテナ 1や第一の低雑音増幅器 2 a、 第二の 低雑音増幅器 2 bの入力端子から放射波が入力される可能性がある。 第二の低雑 音増幅器 2 bから放射波が入力された場合、 従来例 1と同様の受信感度劣化が予 想される。 第一の低雑音増幅器 2 aより前段で放射波が入力された場合、 第一の 低雑音増幅器 2 aで増幅された受信信号の成分には局部発振波 (放射波) の 2倍
波成分が含まれる。 これにより後段に接続される第二の低雑音増幅器 2 b、 ベー スバンド増幅器 7でそれぞれ信号が増幅される際、 D Cオフセット電圧の割合が 大きくなる。 これが後段に設けられた信号処理回路 1 1でデ一夕判別を行う際に データ誤判定の原因となり、 ビッ ト誤り率特性を劣化させる原因となっていた。 また、 複数の低雑音増幅器で微弱な受信信号を所望の信号レベルにまで増幅す る際、 N F値を満足させるために第一の低雑音増幅器 2 aではあまり大きな利得 をとらずに、 後段の第二の低雑音増幅器 2 bで大きな利得量を得るのが一般的で ある。 この場合、 第一の低雑音増幅器 2 aに非常に大きな放射波が入力された場 合、 増幅器の出力端子では受信信号が局部発振波 (放射波) の 2倍波成分でマス クされてしまう可能性があり、 受信感度は大きく劣化する場合がある。
以上のように、 従来の偶高調波ダイレクトコンパージョン受信装置は、 低雑音 増幅器の入力端子から放射波が入力されるのを防止する手段を備えていなかった ため、 この低雑音増幅器の入力端子から入力された放射波が D Cオフセット電圧 を発生させ、 受信感度の劣化を招く原因となっていた。
また、 複数の低雑音増幅器を有する偶高調波ダイレクトコンバ一ジョン受信装 置においても、 低雑音増幅器の入力端子から入力された放射波を除去する手段を 備えていなかった。 そのため、 初段の低雑音増幅器に入力された放射波が受信信 号とともに増幅されると、 後段の低雑音増幅器ではこの局部発振波 (放射波) の 2倍波成分を受信信号より除去することが不可能となる。 これが受信感度劣化を 招く原因となっていた。
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、 放射波が低 雑音増幅器に入力されるのを防止する手段を備えた偶高調波ダイレクトコンバー ジョン受信装置を提供することを第一の目的とする。 これに加えて、 低雑音増幅 器に入力された放射波を除去する手段を備えた偶高調波ダイレクトコンバージョ ン受信装置を提供することを第二の目的とする。 さらに、 上記ダイレクトコンパ 一ジョン受信装置を設けた携帯通信端末及び移動通信基地局等の通信システムを
提供することを第三の目的とする。 発明の開示
この発明にかかる偶高調波ダイレクトコンバージョン受信装置は、 アンテナと 、 このアンテナが受信した受信波を増幅する増幅器と、 前記受信波の約 2分の 1 の周波数で局部発振波を生成する局部発振器と、 前記増幅器より出力された受信 信号と前記局部発振器より出力された局部発振波を混合してベースバンド信号を 生成する偶高調波形直交ミクサと、 この偶高調波形直交ミクサより出力されたべ ースバンド信号を復調する信号処理回路と、 前記増幅器の前段に設けられ、 前記 アンテナが受信した受信波を通過させ、 前記受信波の約 2分の 1の周波数帯を抑 制することにより、 前記局部発振器から放射された放射波が前記増幅器に入力さ れるのを防止するフィル夕手段とを設けたものである。
また、 この発明にかかる偶高調波ダイレクトコンバージョン受信装置は、 フィ ル夕手段として、 帯域通過フィル夕を用いたものである。
また、 この発明にかかる偶高調波ダイレクトコンバージョン受信装置は、 フィ ル夕手段として、 帯域阻止フィル夕を用いたものである。
また、 この発明にかかる偶高調波ダイレクトコンバージョン受信装置は、 フィ ル夕手段として、 高域通過フィル夕を用いたものである。
また、 この発明にかかる偶高調波ダイレクトコンバージョン受信装置は、 局部 発振器から放射されて増幅器に入力された局部発振波を受信信号より除去するフ ィル夕回路を有する増幅器を備えたものである。
この発明にかかる偶高調波ダイレクトコンバージョン受信装置は、 アンテナと 、 このアンテナが受信した受信波を増幅する第一の増幅器と、 この第一の増幅器 の出力を増幅する第二の増幅器と、 前記受信波の約 2分の 1の周波数で局部発振 波を生成する局部発振器と、 前記第二の増幅器より出力された受信信号と前記局 部発振器より出力された局部発振波を混合してベ一スパンド信号を生成する偶高
調波形直交ミクサと、 この偶高調波形直交ミクサより出力されたベースバンド信 号を復調する信号処理回路と、 前記第一の増幅器又は前記第二の増幅器の前段に 設けられ、 前記アンテナが受信した受信波を通過させ、 前記受信波の約 2分の 1 の周波数帯を抑制することにより、 前記局部発振器から放射された放射波が前記 第一の増幅器又は前記第二の増幅器に入力されるのを防止するフィル夕手段とを 設けたものである。
また、 この発明にかかる偶高調波ダイレクトコンバージョン受信装置は、 フィ ル夕手段として、 帯域通過フィル夕を用いたものである。
また、 この発明にかかる偶高調波ダイレクトコンバージョン受信装置は、 フィ ル夕手段として、 帯域阻止フィルタを用いたものである。
また、 この発明にかかる偶高調波ダイレクトコンバージョン受信装置は、 フィ ル夕手段として、 高域通過フィル夕を用いたものである。
また、 この発明にかかる偶高調波ダイレクトコンバージョン受信装置は、 局部 発振器から放射されて増幅器に入力された局部発振波を受信信号より除去するフ ィル夕回路を有する第一または第二の増幅器を備えたものである。
この発明にかかる送受信装置は、 アンテナと、 アンテナが受信した受信波を増 幅する増幅器、 前記受信波の約 2分の 1の周波数で局部発振波を生成する局部発 振器、 前記増幅器より出力された受信信号と前記局部発振器より出力された局部 発振波を混合してベースバンド信号を生成する偶高調波形直交ミクサ、 この偶高 調波形直交ミクサより出力されたベースバンド信号を復調する信号処理回路、 前 記増幅器の前段に設けられ、 前記アンテナが受信した受信波を通過させ、 前記受 信波の約 2分の 1の周波数帯を抑制することにより、 前記局部発振器から放射さ れた放射波が前記増幅器に入力されるのを防止するフィル夕手段を備えた偶高調 波ダイレクトコンバ一ジョン受信装置と、 この偶高調波ダイレクトコンバージョ ン受信装置より出力された信号を処理するとともに、 送信用べ一スバンド信号を 出力する信号処理部と、 この信号処理部より出力された送信用ベースバンド信号
を変調する信号処理回路、 送信信号周波数の約 2分の 1の周波数で局部発振波を 生成する局部発振器、 この局部発振器が出力した局部発振波と前記信号処理回路 にて変調された送信用ベースバンド信号を混合し、 送信信号を出力する偶高調波 形直交ミクサを備えた送信装置とを設けたものである。
また、 この発明にかかる送受信装置は、 アンテナが受信した受信波を増幅する 第一の増幅器、 この第一の増幅器の出力を増幅する第二の増幅器、 前記受信波の 約 2分の 1の周波数で局部発振波を生成する局部発振器、 前記第二の増幅器より 出力された受信信号と前記局部発振器より出力された局部発振波を混合してベー スパンド信号を生成する偶高調波形直交ミクサ、 この偶高調波形直交ミクサより 出力されたべ一スバンド信号を復調する信号処理回路、 前記第一の増幅器又は前 記第二の増幅器の前段に設けられ、 前記アンテナが受信した受信波を通過させ、 前記受信波の約 2分の 1の周波数の局部発振波を抑制することにより、 前記局部 発振器から放射された放射波が前記第一の増幅器又は前記第二の増幅器に入力さ れるのを防止するフィル夕手段を設けた偶高調波ダイレクトコンバージョン受信 装置を設けたものである。 図面の簡単な説明
第 1図は本発明の実施の形態 1にかかる偶高調波ダイレクトコンパージョン受 信装置を示すプロック図である。 第 2図は本発明の実施の形態 1にかかる偶高調 波ダイレクトコンバージョン受信装置を設けた携帯通信端末等に用いられる送受 信装置を示すプロツク図である。 第 3図は本発明の実施の形態 2にかかる偶高調 波ダイレクトコンバージョン受信装置を示すプロヅク図である。 第 4図は本発明 の実施の形態 3にかかる偶高調波ダイレクトコンパ一ジョン受信装置を示すプロ ック図である。 第 5図は本発明の実施の形態 4にかかる偶高調波ダイレクトコン バージョン受信装置を示すブロック図である。 第 6図は本発明の実施の形態 4に かかる偶高調波ダイレクトコンバージョン受信装置を設けた移動通信基地局等に
用いられる送受信装置を示すプロック図である。 第 7図は本発明の実施の形態 5 にかかる偶高調波ダイレクトコンバージョン受信装置を示すブロック図である。 第 8図は本発明の実施の形態 6にかかる偶高調波ダイレクトコンバージョン受信 装置を示すプロック図である。 第 9図は本発明の実施の形態 7にかかる偶高調波 ダイレクトコンバージョン受信装置を示すブロック図である。 第 1 0図は本発明 の実施の形態 8にかかる偶高調波ダイレクトコンパージョン受信装置を示すプロ ック図である。 第 1 1図は本発明の実施の形態 9にかかる偶高調波ダイレクトコ ンバ一ジョン受信装置を示すブロック図である。 第 1 2図は従来の偶高調波ダイ レクトコンパ一ジョン受信装置の一例を従来技術 1として示すプロック図である 。 第 1 3図は従来の偶高調波ダイレクトコンバージョン受信装置の一例を従来技 術 2として示すプロック図である。 第 1 4図は偶高調波形直交ミクサを示す説明 図である。 発明を実施するための最良の形態
実施の形態 1 .
第 1図は、 本発明にかかる偶高調波ダイレクトコンバージョン受信装置の構成 を示すブロック図である。 第 2図は、 本発明にかかる偶高調波ダイレクトコンパ —ジョン受信装置を設けた携帯通信端末等に用いられる送受信装置の構成を示す ブロック図である。 第 1図において、 1はアンテナ、 2は低雑音増幅器、 3は低 雑音増幅器 2の後段に設けられた帯域通過フィル夕、 1 2は低雑音増幅器 2の前 段に設けられた帯域通過フィル夕、 4は 2つの単位偶高調波ミクサによって構成 される偶高調波形直交ミクサで、 局部発振器 5が発振する局部発振波とアンテナ 1が受信した受信信号を混合し、 Iチャンネル、 Qチャンネルのベースバンド信 号を出力する。 偶高調波形直交ミクサ 4の詳しい構成は第 1 4図に示す。 6は低 域通過フィル夕、 7は複数のベースバンド信号増幅器からなるベースバンド信号 増幅回路、 1 1は A/D変換器 8、 ディジタルフィルタ 9、 ディジタル演算回路
1 0を含む信号処理回路であり、 ベースバンド信号はデジタル信号に復調された 後 C D MA処理部 (図示せず) に出力されて C D MA処理が施される。
次に動作について説明する。 アンテナ 1より受信した受信信号は、 帯域通過フ ィル夕 1 2を通過し、 低雑音増幅器 2に入力される。 低雑音増幅器 2で増幅され た受信信号は、 帯域通過フィル夕 3を通過した後、 偶高調波形直交ミクサに入力 される。 従来例 1で示したように偶高調波形直交ミクサ 4は受信信号と局部発振 波を混合することにより、 Iチャンネル、 Qチャンネルのベースバンド信号を出 力する。 このべ一スバンド信号は信号処理回路 1 1において、 もとのデ一夕に復 調される。
アンテナ 1と低雑音増幅器 2の間に挿入された帯域通過フィルタ 1 2は、 局部 発振器 5から放射される放射波の周波数成分 (受信信号周波数の約 2分の 1 ) を 強く抑制するものである。 帯域通過フィルタ 1 2をアンテナ 1と低雑音増幅器 2 の間に設けたことで、 低雑音増幅器 2の前段から放射波が入力されても、 この放 射波を帯域通過フィル夕 1 2で強く抑制することが可能になる。 つまり、 低雑音 増幅器 2から出力される受信信号には低雑音増幅器 2の非線形性により発生する 局部発振波 (放射波) の 2倍波成分が発生しないため、 偶高調波形直交ミクサ 4 から出力される各チャンネルのベースバンド信号に D Cオフセット電圧が重畳さ れるのを抑制することができる。 このように、 局部発振器 5から放射されて局部 発振波とほぼ同じ周波数を持つ放射波が低雑音増幅器 2に入力されるのを防止す るために、 帯域通過フィル夕 1 2をアンテナ 1と低雑音増幅器 2の間に設けるこ とにより、 ベースバンド信号を復調する際に発生する誤判定の回数が減少する。 従って、 ビット誤り率特性の劣化を防止することができ、 実用に耐え得る受信性 能を確保することが可能になった。
実施の形態 1にかかる偶高調波ダイレクトコンバージョン受信装置は携帯電話 等携帯通信端末の送受信装置に適用できる。 第 2図は本発明にかかる偶高調波ダ ィレクトコンバージョン受信装置を用いた携帯電話等の携帯通信端末の送受信装
置の構成を示すブロック図である。 第 2図に示す送受信装置は、 送信装置 2 2と 受信装置 2 1を有する送受信装置 2 3、 C D MA処理部 1 6から構成されている 。 以下、 第 2図に基づいて受信装置 2 1及び送信装置 2 2の構成と動作について 説明する。
まず受信装置 2 1について説明する。 アンテナ 1より受信した受信信号は、 送 受共用器 1 7を経て、 帯域通過フィル夕 1 2を通過し、 低雑音増幅器 2に入力さ れる。 低雑音増幅器 2で増幅された受信信号は、 帯域通過フィル夕 3を通過した 後に偶高調波形直交ミクサ 4に入力される。 偶高調波形直交ミクサ 4は、 受信信 号と、 局部発振器 5から出力される局部発振波 (受信信号周波数の約 2分の 1 ) を混合し、 Iチャンネル、 Qチャンネルのベースバンド信号を出力する。 偶高調 波形直交ミクサ 4から出力されたべ一スパンド信号は低域通過フィルタ 6、 帯域 通過フィル夕 7を経て信号処理回路 1 1でもとのデータに復調され、 C D MA処 理部 1 6にて C D MA処理が施される。
次に送信装置 2 2について説明する。 C D M A処理部 1 6より出力されたデー 夕は、 信号処理回路 1 1にて変調されて Iチャンネル、 Qチャンネルのベースバ ンド信号に変換される。 それぞれのベースバンド信号は低域通過フィル夕 6にて ノイズ成分が除去された後、 偶高調波形直交ミクサ 4に入力される。 偶高調波形 直交ミクサ 4はべ一スパンド信号と、 局部発振器 5にて生成された送信信号の約 2分の 1の周波数の局部発振波を混合して、 送信信号を低雑音増幅器 2に出力す る。 低雑音増幅器 2に入力された送信信号は増幅されて帯域通過フィル夕 3に出 力される。 帯域通過フィル夕 3に出力された送信信号はノィズ成分が除去された 後、 第一の高出力増幅器 1 8に出力される。 第一の高出力増幅器 1 8は、 帯域通 過フィルタ 3でノィズ成分が除去された送信信号を、 アンテナ 1から送信する送 信レベルまで増幅する。 第一の高出力増幅器 1 8で送信信号レベルまで増幅され た送信信号は、 送受共用器 1 7を経てアンテナ 1より送信される。
受信装置 2 1に設けられた偶高調波形直交ミクサ 4と送信装置 2 2に設けられ
た偶高調波形直交ミクサ 4は、 局部発振器 5が生成する受信信号 (又は送信信号 ) の約 2分の 1の周波数の局部発振波と、 受信信号 (又は送信信号) を混合する ものであり、 その詳細な構造は第 1 4図に示すとおりである。 実施の形態 1にか かる偶高調波ダイレクトコンバージョン受信装置を携帯電話等の携帯通信端末の 送受信装置に適用することにより、 送信側の局部発振器 5より放射された放射波 が受信側の低雑音増幅器 2に入力されるのを抑制することができる。 実施の形態 2 .
第 3図は、 実施の形態 2にかかる偶高調波形ダイレクトコンパージョン受信装 置を示すブロック図である。 第 3図において、 第 1図のものと同一の符号は同一 または相当部分を示すので説明を省略する。 実施の形態 2にかかる偶高調波ダイ レクトコンバージョン受信装置は、 低雑音増幅器 2の前段に帯域阻止フィル夕 1 3を揷入したものである。 この帯域阻止フィル夕 1 3の阻止周波数は局部発振器 5より放射された放射波の周波数である。 従って、 アンテナ 1から入力される局 部発振器 5より放射された放射波は帯域阻止フィル夕 1 3で遮断され、 受信感度 劣化を改善することができる。 実施の形態 3 .
第 4図は、 実施の形態 3にかかる偶高調波形ダイレクトコンバージョン受信装 置を示すブロック図である。 第 4図において、 第 1図のものと同一の符号は同一 または相当部分を示すので説明を省略する。 実施の形態 3にかかる偶高調波ダイ レクトコンバージョン受信装置は、 低雑音増幅器 2の前段に高域通過フィルタ 1 4を挿入したものである。 この高域通過フィル夕 1 4の阻止周波数は局部発振器 5より放射された放射波の周波数である。 アンテナ 1から入力された放射波は高 域通過フィル夕 1 4で遮断されるため、 受信感度劣化を抑制することができる。
実施の形態 4 .
実施の形態 1から実施の形態 3において、 アンテナが受信した受信信号をひと つの低雑音増幅器で増幅する偶高調波ダイレクトコンバージョン受信装置につい て説明した。 実施の形態 4では、 アンテナ 1から受信した受信信号を、 2つの低 雑音増幅器 2 a、 2 bで増幅する偶高調波ダイレクトコンバージョン受信装置に ついて説明する。 第 5図は実施の形態 4にかかる偶高調波ダイレクトコンバ一ジ ヨン受信装置を示すブロック図である。 第 6図は、 実施の形態 4にかかる偶高調 波ダイレクトコンバージョン受信装置を用いたダイバーシチ受信方式の送受信装 置の構成を示すブロック図で、 この構成は移動通信基地局等に用いられる。 第 5 図、 第 6図において、 第 1図のものと同一の符号は同一または相当部分を示すの で説明を省略する。
実施の形態 4にかかる偶高調波ダイレクトコンバ一ジョン受信装置は第一の低 雑音増幅器 2 aと第二の低雑音増幅器 2 bの間に帯域通過フィルタ 1 2を挿入し たものである。 アンテナ 1が受信した受信信号は第一の低雑音増幅器 2 aで増幅 され、 帯域通過フィル夕 1 2を通過し、 第二の低雑音増幅器 2 bに入力される。 第二の低雑音増幅器 2 bで増幅された受信信号は帯域通過フィル夕 3にてろ波さ れ、 偶高調波形直交ミクサ 4に入力される。 偶高調波形直交ミクサ 4にて、 受信 信号は局部発振器 5から出力された局部発振波と混合され、 Iチャンネル、 Qチ ヤンネルのベ一スパンド信号に変換される。
第一の低雑音増幅器 2 aと第二の低雑音増幅器 2 bの間に挿入された帯域通過 フィル夕 1 2は、 第一の低雑音増幅器 2 aと第二の低雑音増幅器 2 bの間から入 力される放射波を強く抑制するものである。 従って、 第二の低雑音増幅器 2 bに て D Cオフセット電圧が受信信号に重畳されるのを防止することができ、 実用に 耐え得る受信性能を確保する事が可能になった。
実施の形態 4にかかる偶高調波ダイレクトコンバージョン受信装置は移動通信 基地局等の通信システムにも適用できる。 第 6図に示すダイバーシチ受信方式の
送受信装置は、 送信装置 2 2と 2系統設けられた受信装置 2 1を有する送受信装 置 2 3、 受信装置 2 1のうち受信レベルが高いほうの受信装置 2 1に切り換える 切替え S W 2 0、 C D M A処理部 1 6から構成されている。 第 6図に基づいて受 信装置 2 1及び送信装置 2 2の構成と動作を説明する。
まず受信装置 2 1について説明する。 アンテナ 1より受信した受信信号は、 送 受共用器 1 7を経て、 第一の低雑音増幅器 2 aにて増幅される。 第一の低雑音増 幅器 2 aで増幅された受信信号は帯域通過フィルタ 1 2を通過し、 第二の低雑音 増幅器 2 bに入力される。 第二の低雑音増幅器 2 bで増幅された受信信号は、 帯 域通過フィルタ 3を通過した後に偶高調波形直交ミクサ 4に入力される。 偶高調 波形直交ミクサ 4は受信信号と局部発振器 5から出力される受信波の約 2分の 1 の周波数を持つ局部発振波を混合し、 Iチャンネル、 Qチャンネルのベースバン ド信号を出力する。 偶高調波形直交ミクサ 4から出力されたベースバンド信号は 低域通過フィル夕 6、 帯域通過フィル夕 7を経て信号処理回路 1 1でもとのデー 夕に復調され、 C D MA処理部 1 6にて C D MA処理が施される。
次に送信装置 2 2について説明する。 C D MA処理部 1 6より出力されたデー 夕は、 信号処理回路 1 1にて変調されてェチャンネル、 Qチャンネルのベースバ ンド信号に変換される。 それぞれのベースバンド信号は低域通過フィル夕 6にて ノイズ成分が除去された後、 偶高調波形直交ミクサ 4に入力される。 偶高調波形 直交ミクサ 4はベースバンド信号と、 局部発振器 5にて生成された送信信号の約 2分の 1の周波数の局部発振波を混合して送信信号を低雑音増幅器 2に出力する 。 低雑音増幅器 2に入力された送信信号は増幅されて帯域通過フィル夕 3に出力 される。 帯域通過フィル夕 3に出力された送信信号はノィズ成分が除去された後 、 パワー増幅器等の第一の高出力増幅器 1 8に出力される。 第一の高出力増幅器 1 8は、 帯域通過フィル夕 3でノイズ成分が除去された送信信号を、 アンテナ 1 から送信する送信レベルまで増幅する。 第一の高出力増幅器 1 8で送信信号レべ ルまで増幅された送信信号は、 切替え S W 2 0、 第二の高出力増幅器 1 9、 送受
共用器 1 7を経てアンテナ 1より送信される。
受信装置 2 1に設けられた偶高調波形直交ミクサと送信装置 2 2に設けられた 偶高調波形直交ミクサは、 局部発振器 5が生成する受信信号 (又は送信信号) の 約 2分の 1の周波数の局部発振波と、 受信信号 (又は送信信号) を混合するもの であり、 その詳細な構造は第 1 4図に示すとおりである。 実施の形態 4にかかる 偶高調波ダイレクトコンバージョン受信装置を移動通信基地局等の通信システム に適用することにより、 送信側の局部発振器より放射された放射波が受信側の低 雑音増幅器に入力されるのを抑制することができる。
なお、 偶高調波ダイレクトコンバージョン受信装置は、 スーパ一ヘテロダイン 方式の受信装置に較べて回路構成が簡単であるので、 基地局の小型、 軽量化を図 ることができる。 また、 受信信号が非常に微弱であっても十分な N F値を保ちな がら、 後段に設けられた偶高調波形直交ミクザへ入力するのに適したレベルまで 信号を増幅することが可能であり、 実用に耐える受信感度を得ることができる。 実施の形態 5 .
第 7図は、 実施の形態 5にかかる偶高調波ダイレクトコンバージョン受信装置 を示すブロック図である。 第 7図において、 第 5図のものと同一の符号は同一ま たは相当部分を示すので説明を省略する。 実施の形態 5にかかる偶高調波ダイレ クトコンバージョン受信装置は、 第一の低雑音増幅器 2 aと第二の低雑音増幅器 2 bの間に放射波を遮断する帯域阻止フィルタ 1 3を挿入したものである。 帯域 阻止フィル夕 1 3を第二の低雑音増幅器 2 bの前段に挿入することで、 放射波が 第二の低雑音増幅器 2 bから入力されるのを防止し、 受信感度を改善することが できる。 実施の形態 6 .
第 8図は実施の形態 6にかかる偶高調波ダイレクトコンバ一ジョン受信装置を
示すブロック図である。 第 8図において、 第 5図のものと同一の符号は同一また は相当部分を示すので説明を省略する。 実施の形態 6にかかる偶高調波ダイレク トコンバージョン受信装置は、 第一の低雑音増幅器 2 aと第二の低雑音増幅器 2 bの間から入力された局部発振波を抑制する高域通過フィル夕 1 4を挿入したも のである。 高域通過フィル夕 1 4を第二の低雑音増幅器 2 bの前段に挿入する'こ とにより、 放射波が第二の低雑音増幅器 2 bに入力されるのを抑制するので、 受 信感度劣を改善することができる。 実施の形態 7 .
第 9図は、 実施の形態 7にかかる偶高調波ダイレクトコンバージョン受信装置 を示すブロック図である。 第 9図において、 第 5図のものと同一の符号は同一ま たは相当部分を示すので説明を省略する。 実施の形態 7にかかる偶高調波ダイレ クトコンバージョン受信装置は、 第一の低雑音増幅器 2 aの前段に、 放射波を強 く抑制する帯域通過フィル夕 1 2を挿入したものである。 帯域通過フィル夕 1 2 を第一の低雑音増幅器 2 aの前段に挿入することにより、 放射波が第一の低雑音 増幅器 2 aに入力されるのを阻止するので、 受信感度を改善することができる。 また、 帯域通過フィルタ 1 2に替えて帯域阻止フィルタ 1 3または高域通過フィ ル夕 1 4を用いても同様の効果を得ることができる。 実施の形態 8 .
第 1 0図は、 実施の形態 8にかかる偶高調波ダイレクトコンバージョン受信装 置を示すブロック図である。 第 1 0図において、 第 5図のものと同一の符号は同 一または相当部分を示すので説明を省略する。 実施の形態 8にかかる偶高調波ダ ィレクトコンバージョン受信装置は、 第一の低雑音増幅器 2 aと第二の低雑音増 幅器 2 bの前段に、 放射波を遮断する帯域通過フィル夕 1 2 a、 1 2 bを挿入し たものである。 帯域通過フィル夕を第一の低雑音増幅器 2 a、 第二の低雑音増幅
器 2 bの前段に挿入することで、 局部発振器 5より放射され、 第一の低雑音増幅 器 2 a又は第二の低雑音増幅器 2 bに入力される放射波を除去できるので、 受信 感度を改善することができる。 この場合において、 第一の低雑音増幅器 2 a、 第 二の低雑音増幅器 2 bの前段に挿入される帯域通過フィル夕 1 2 a、 1 2 bを帯 域阻止フィル夕 1 3、 高域通過フィル夕 1 4に換えても受信感度は改善される。 以上、 実施の形態 1から実施の形態 8において説明したように、 本発明にかか る偶高調波ダイレクトコンバージョン受信装置は、 帯域通過フィル夕、 帯域阻止 フィル夕、 高域通過フィル夕を低雑音増幅器の前段に設けたものである。 従って 、 低雑音増幅器に局部発振器より放射された放射波が入力されるのを防止するこ とが可能になり、 低雑音増幅器の非線形性に起因する D Cオフセット電圧の発生 を抑制し、 実用に耐え得る受信感度を確保することができる。 実施の形態 9 .
実施の形態 1から実施の形態 8にて説明した偶高調波ダイレクトコンパージョ ン受信装置は、 フィルタ手段を低雑音増幅器の前段に挿入することによって、 局 部発振器より放射された放射波が低雑音増幅器に入力されるのを遮断するもので あった。 言い換えれば、 受信信号を通過させ、 局部発振器が放射した、 受信信号 の約 2分の 1の周波数を持つ放射波を抑制するフィル夕手段を設け、 放射波が低 雑音増幅器に入力されることを事前に防止することにより受信感度の改善を図る ものであった。 しかし、 放射波が低雑音増幅器に入力されるのを完全に遮断する のは困難であり、 低雑音増幅器自体が入力された放射波を除去する手段を備えて いるのが望ましい。 そこで、 この問題を解決する構成を第 1 1図に基づいて説明 する。
第 1 1図は実施の形態 9にかかる偶高調波ダイレクトコンバージョン受信装置 を示すブロック図である。 実施の形態 9にかかる偶高調波ダイレクトコンパージ ヨン受信装置は、 低雑音増幅器 2に設けられた入力整合回路上に、 放射波を除去
する帯域通過フィル夕回路 1 5を備えたことを特徴としている。 受信信号を増幅 する低雑音増幅器 2の入力側整合回路上に帯域通過フィル夕回路 1 5を付加する ことで、 低雑音増幅器 2の比較的近傍から入力された放射波を帯域通過フィル夕 回路 1 5が除去することが可能になり、 受信感度を改善することができる。 また、 低雑音増幅器 2の入力側整合回路に付加した帯域通過フィルタ回路 1 5 に換えて、 帯域阻止フィル夕回路、 高域通過フィルタ回路を適用しても同様の効 果を得ることができる。
以上、 実施の形態 9にて説明したように、 入力された放射波を除去する帯域通 過フィル夕回路 1 5を低雑音増幅器 2に設けたので、 低雑音増幅器 2の前段に入 力された放射波を低雑音増幅器 2にて除去することが可能になり、 受信感度の劣 化を抑制することができる。
また、 実施の形態 1から実施の形態 9にて説明した偶高調波ダイレクトコンバ 一ジョン受信装置を、 携帯通信端末や移動通信基地局等の送受信装置に適用する ことにより、 小型、 計量でありながら受信感度の優れた携帯通信端末、 移動通信 基地局を提供することが可能になる。