明細書
リ二アコンプレッサ 技術分野
この発明は、 シリンダ内に嵌装されたピス トンをリニアモータによって往復運 動させることにより、 ガスを圧縮して外部に供給するリニアコンプレッサに関す るものである。 背景技術
近年、 冷凍システムにおいて、 冷媒ガスを圧縮して供給する機構として、 リニ アコンプレッサが開発されている。 たとえば図 2 6に示すように、 有底円筒体の ハウジング 1 0 1 と、 このハウジング 1 0 1の上端開口部に形成された低炭素鋼 からなる磁気枠 1 0 2と、 この磁気枠 1 0 2の中心部に形成されたシリンダ 1 0 3と、 シリンダ 1 0 3内に往復可能に嵌装され、 シリンダ 1 0 3内空間に圧縮室 1 0 4を区画形成するピス トン 1 0 5と、 このピス トン 1 0 5を往復駆動する駆 動源としてのリニアモータ 1 0 6を備えている。
リニァモータ 1 0 6には、 環状の永久磁石 1 0 7がシリンダ 1 0 3の同心外方 に配置され、 ハウジング 1 0 1に固着されている。 この磁石 1 0 7および磁気枠 1 0 2からなる磁気回路によって、 シリンダ 1 0 3の中心と同心の円筒状の問隙 1 0 8に磁界 Bを発生させる。 間隙 1 0 8には中心部にてピス トン 1 0 5に一体 固定された樹脂からなる有底円筒状の可動体 1 0 9が配設され、 可動体 1 0 9お よびビストン 1 0 5を往復可能に弾性支持するためのコイルスプリング 1 1 0が ハウジング 1 ◦ 1 に固定されている。
この可動体 1 0 9の外周には、 磁石 1 0 7と対向する位置に電磁コイル 1 1 1 が巻回されており、 リード線 (図示せず) を介して所定周波数の交流電流を通電 することで、 間隙 1 0 8を通る磁界との作用によりコイル 1 1 1および可動体 1 0 9を駆動してビス トン 1 0 5をシリンダ 1 0 3內で往復移動させ、 圧縮室 1 0 4で所定周期のガス圧を発生させるように構成されている。
一方、 代表的な冷凍システムとして、 図 2 7に示すように、 リニアコンプレツ
サ 1 2 1 (圧縮機) 、 凝縮器 1 2 2、 膨張弁 1 2 3および蒸発器 1 2 4をガス流 路配管 1 2 5にて接続した密閉式の冷凍システムが知られており、 リニアコンプ レッサ 1 2 1は、 蒸発器 1 2 4で気化した冷媒ガスを、 ガス流路配管 1 2 5を通 じて吸入して高圧に圧縮し、 高圧となった冷媒ガスをガス流路配管 1 2 5を経て 凝縮器 1 2 2に吐出する装置として使用されている。
このため、 図 2 6に示すように、 圧縮室 1 0 4には、 シリンダ 1 ◦ 3の上端部 に設けられた弁機構 1 1 2を介してハウジング 1 0 1外部のガス流路配管 1 2 5 が接続されている。 弁機構 1 1 2は、 ガス流路配管 1 2 5を介して蒸発器 1 2 4 からの冷媒ガスの吸入のみを許容する吸入弁 1 1 2 aと、 ガス流路配管 1 2 5を 介して凝縮器 1 2 2への冷媒ガスの吐出のみを許容する吐出弁 1 1 2 bとから構 成される。 吸入弁 1 〗 2 aは、 低圧側のガス流路配管 1 2 5と圧縮室 1 0 4との 冷媒ガスの圧力差によって、 圧縮室 1 0 4方向にガスを流入させる弁である。 また、 吐出弁 1 1 2 bは、 圧縮室 1 0 4内の冷媒ガス圧力が一定圧力以上とな ると開放するように、 圧縮室 1 0 4と高圧側のガス流路配管 1 2 5との冷媒ガス の圧力差によって、 高圧側のガス流路配管 1 2 5方向にガスを流出させる弁であ る。 なお、 吸入弁 1 1 2 aおよび吐出弁 1 1 2 bは、 ともに板ばねによって付勢 される弁である。
以上の構成により、 従来装置では吸入弁 1 1 2 aから吸入された冷媒ガスを圧 縮室 1 0 4で高圧に圧縮した後、 吐出弁 1 1 2 bを介して凝縮器 1 2 2に供給し ている。
また、 最近では、 特開平 2 _ 1 5 4 9 5 0号公報などに開示されるように、 1 個のリニアモータによって、 ハウジング内の両側に圧縮室を設け、 交互に 2個の ビストンを動作させて効率を向上させるものが提案されている。
また、 リニアコンプレッサには、 特願平 8— 1 7 9 4 9 2号公報に開示される ようなコイル可動型のリニアコンプレッサと、 特願平 8— 1 ◦ 8 9 0 8号に開示 されるようなマグネット可動型のリニアコンプレッサとがある。 いずれも、 リニ ァモータから得られる駆動力を用いて、 ビス トンを往復運動させることにより、 圧縮室において圧縮ガスを生成するものである。
しかしながら、 上述したリニアコンプレッサにおいては、 以下に示すようにさ
まざまな問題点を有している。
(第 1の問題点)
従来の 1 ビス トン型のリニアコンプレッサでは、 ガスの吸込 '圧縮 '吐出に伴 つて圧縮室内で発生する非線形な力の影響を大きく受け、 モータ推力の線形化を 図ることができなかったので、 効率の向上が困難であった。
また、 起動時などの負荷変動に伴ってピストンの中立点が変動するため、 ビス トンのストロ一ク制御が容易でなかった。
(第 2の問題点)
また、 従来のリニアコンプレッサ 1 2 1では、 リニアモータ 1 0 6の駆動によ りシリンダ 1 0 3内をピス トン 1 0 5が上下動する力';、 同様に可動体 1 0 9も上 下動することになるため、 磁気回路を形成する磁気枠 1 0 2、 永久磁石 1 0 7お よび可動体 1 0 9によって形成される磁気回路空間部分や、 可動体〗 0 9の内面 部分によって囲まれたビス トン 1 0 5の背面側の可動体内面空問部分におけるガ スが可動体 1 0 9の上下動に伴って圧縮 .膨張仕事を行ない、 この結果、 リニア コンプレッサ 1 2 1において不可逆圧縮ロスが発生するおそれがある。
この対策として、 間隙 1 0 8を大きく設定して、 磁気枠 1 0 2および可動体 1 0 9の間隙、 ならびに永久磁石 1 0 7および電磁コイル 1 1 1の間隙が十分得ら れるようにすることが考えられる力 この場合には、 リニアモータ 1 0 6の推力 が小さくなり、 リニアコンプレッサ 1 2 1としての運転効率が低下することにな る。
(第 3の問題点)
また、 上述のリニアコンプレッサ 1 2 1では、 リニアモータ 1 0 6の駆動によ りシリンダ 1 0 3内をピストン 1 0 5が摺接しながら上下動することになり、 ピ ス トン—シリンダ間で一種の滑り軸受が構成されている。
しかしながら、 上述した従来の構成では、 加工精度の問題や電磁コイル 1 1 1 の電磁力の歪みにより、 ピス トン可動方向と垂直な方向への力 (ラジカル力) が 発生し、 そのラジカル力が大きい場合には摩擦損失による運転効率の低下や、 ピ ストン 1 0 5に設けられたガスシール部の摩耗による装置寿命の低下、 摩耗粉に よる冷媒の汚染などを引起こすおそれがあつた。
(第 4の問題点)
また、 上記特開平 2— 1 5 4 9 5 0号公報に開示されたリニアコンプレッサは、 先に説明した図 2 6に示すコイル可動型ではなく、 磁石可動型のリニアモータ駆 動方式を採用しているため、 ビス トン可動方向と垂直な方向に磁力による力がピ ストンに加わるため、 ピス トン部分の摩耗が起こりやすく上記使用には不向きで あるという欠点を有している。
このため、 長期使用のリニアコンプレッサにおいては、 リニアモ一タの駆動方 式を、 ビス トンの可動方向と同一方向にしかリニアモータの磁界による力が作用 しないコイル可動型に変更することが考えられる。
また、 ピス トンの背面空間部におけるガスがピス トンの往復動に伴って圧縮 ' 膨張仕事を行ない、 その結果、 リニアコンプレッサ 1 2 1において不可逆圧縮口 スが発生するおそれがあった。
さらに、 従来のリニアコンプレッサでは、 ピストンのストローク中心位置を一 定に制御することが難しく、 高効率な運転ができないとレ、う問題がある。
(第 5の問題点)
また、 上述した冷凍システムにおいては、 リニアコンプレッサの圧縮室で得ら れた圧縮ガスが吐出弁 1 1 2 bからガス流路配管 1 2 5を介して凝縮器 1 2 2に 供給されているが、 吐出弁 1 1 2 bの開閉時においてガス脈動による配管での振 動音や弁操作音が発生するため、 吐出弁 1 1 2 bの下流側の配管途中に防音用の 吐出マフラ 1 3 1を設ける必要があった。
このため、 上述の 2ピス トンタイプのリニアコンプレッサの場合には、 防音用 の吐出マフラを 2個設けなければならず、 さらに、 2本の吐出配管を凝縮器 1 2 2の手前で連結する必要があり、 装置全体が大型化するおそれがあった。
(第 6の問題点)
また、 上述した冷凍システムにおいては、 ピストンをシリンダ内で往復動可能 にするため、 ハウジングに対して弾性支持する部材としてコイルスプリングを用 いる場合が多いが、 近年、 その耐久性や可動方向の位置規制などの点で従来のコ ィルスプリングに比べて優れた板状ビス トンスプリングが提案され、 その改良に ついて種々の検討が行なわれている (春山富義他、 第 4 8回、 1 9 9 2年度秋季
低温工学 ·超伝導学会講演概要集 B 2— 4、 P 1 6 6 ) 。
この板状ビス トンスプリングは、 一般にサスペンションスプリングと呼ばれて おり、 その形状は図 2 8に示すように、 円板状の板ばね 9 2 0 aに、 中心部に向 かって複数の螺旋状の切欠部 9 2 0 bが均等に設けられた構成となっている。 この板状のサスペンションスプリング 1 2 0を上述のビス トンスプリングとし て用いることにより、 簡易な構成でビス トンのストローク中心位置を一定にする ことが可能である。
しかしながら、 この板状のサスペンションスプリング 9 2 0の場合には、 スプ リングが伸びきるビストンの上下支点近傍では、 ビストンの軸振れを制限するこ とはできず、 その結果、 何らかの原因でビストンがシリンダに片当りしてビスト ン部分の摩耗を引起こすおそれがあった。
(第 7の問題点)
一方、 特願平 8— 1 0 8 9 0 8号公報に開示されるようなマグネット可動型の リニアコンプレッサの場合、 全体形状をコンパク 卜に形成することができる利点 はあるものの、 リニアモータの駆動力として磁力の吸引力を用いて、 ピストンに 上下動を与えているため、 ビス トンの上下動に対して垂直方向の力が生じやすい。 そのためビストンとシリンダとの問の摩擦およびビストンを支持するシャフトの 軸受部の摩擦により駆動力が損失し、 効率が悪くなるという問題があった。 その ため、 ピス トンを支持するシャフ トの軸受部には、 高価なガスベアリングなどを 用いる必要があった。
一方、 特願平 8— 1 7 9 4 9 2号公報に開示されるコイル可動型のリニアコン プレッサの場合は、 リニアモータの駆動力としてローレンツ力を用いているため、 マグネット可動型のリニアコンプレッサに比べると、 軸振れが生じにくいものの、 マグネット可動型のリニアコンプレッサと同じような出力を得ようとすると、 一 般的に装匱が大型化してしまうという問題点がある。
したがって、 この発明の第 1の目的は、 ピス トンのス トローク制御が容易で高 効率のリ二アコンプレッサを提供することにある。
次に、 この発明の第 2の目的は、 可動体が往復移動する際の磁気回路内での間 隙を極力小さく し、 かつ、 不可逆圧縮ロスの発生を防止して、 装置の高効率化を
実現したリニアコンプレッサを提供することにある。
次に、 この発明の第 3の目的は、 装置の高効率化および長寿命化を実現したリ 二アコンプレッサを提供することにある。
次に、 この発明の第 4の目的は、 ハウジング内の両側に圧縮室を有し、 コイル 可動型リニアモータの駆動によりガスを圧縮して外部に供給するリニアコンプレ ッサにおいて、 簡易な構成でビス トン背面空間での不可逆圧縮ロスの発生を防止 するとともに、 ビス トンのストローク中心位置を一定としたリ二アコンプレッサ を提供することにある。
次に、 この発明の第 5の目的は、 ハウジング内の両側に圧縮室を有し、 コイル 可動型リニアモータの駆動によりガスを圧縮して外部に供給するリニアコンプレ ッサにおいて、 簡易な構成でビス トンのストロ一ク中心位置を一定にするととも に、 ビス トンの往復動駆動時におけるビス トンの軸振れを制限してビス トン部分 の摩耗を防止し、 装置の長寿命化を可能にしたリニアコンプレッサを提供するこ とにある。
次に、 この発明の第 6の目的は、 ピストンとシリンダとの間の摩擦およびビス トンを支持するシャフトの軸受部の摩擦による駆動力の損失を回避するとともに、 装置の小型化を可能にするリニアコンプレッサを提供することにある。
発明の開示
この発明に係るリ二アコンプレッサの第 1の局面においては、 圧縮ガスを生成 するためのリニアコンプレッサであって、 互いに反対方向を向いて同軸状に設け られた 2組のビストンおよびシリンダ、 その両端の各々にビストンが設けられた シャフ ト、 シャフ トに結合され、 中立点から離れたピス トン中立点に復帰させる ための弾性部材、 およびシャフトを軸方向に往復運動させて圧縮ガスを 2組のピ ストンおよびシリンダで交互に生成するためのリ二ァモ一タを備えている。
この構成により、 圧縮ガスがビス トンに作用する非線形な力を二分化 ·逆位相 化させることができる。 その結果、 ピス トンが 1つだけ設けられていた従来の構 造に比べて、 モータ推力を小さくしかつ線形化させて高効率化を図ることができ る。 さらに、 装匱の小型化、 振動 '騒音の低减化を図ることができる。 また、 負 荷変動が生じてもビストンの中立点の位置は変動しないので、 リニアモータの駆
動電流を制御するだけでビス トンのストロ一クを容易に制御できる。
また、 具体的には、 2つのピストン、 シャフトおよび弾性部材を含む振動部は 予め定める共振周波数を有し、 リニアモータは共振周波数でシャフ卜を往復運動 させている。
これにより、 リニアモ一タは共振部の共振周波数でシャフ トを往復運動させる ことができ、 一層の高効率化を図ることができる。
また、 より具体的には、 中立点から離れたピス トンを中立点に復帰させる弾性 部材の復元力は、 圧縮ガスがビストンに作用する力よりも大きく設定されている。 これにより、 圧縮ガスがビス トンに作用する非線形な力の影響を小さく抑える ことができ、 モータ推力の線形性をさらに向上させることができる。
この発明に係るリ二アコンプレッサの第 2の局面においては、 ハウジング内に 設けられたシリンダと、 このシリンダ内に往復可能に嵌装され、 シリンダ内に圧 縮室を区画形成するピストンと、 中心部において、 ピス トンに一体固定された有 底円筒状の可動体が、 磁石および磁気枠からなる磁気回路の一部に形成した間隙 に配設され、 上記可動体の外周に卷回された電磁コイルへの所定周波数の交流の 供給によりビス トンを往復駆動するリニアモータとを有し、 圧縮室内でガスを圧 縮して外部に供給するリニアコンプレッサにおいて、 可動体および Zまたは磁気 枠にガス漏出装置を設けている。
このように、 可動体および/または磁気枠にガス漏出装置を設けることにより、 可動体の往復運動に伴う不可逆圧縮ロスの発生を防止することができる。
その具体的構成として、 ガス漏出装置は、 磁気枠に設けられたガス漏出用の第 1 リーク孔と、 この第 1 リーク孔に連通されたバッファ空間部と、 可動体に設け られたガス漏出用の第 2 リーク孔とを備えている。
この構成を用いることにより、 可動体の往復移動に伴って、 磁気枠、 永久磁石 および可動体によって形成される磁気回路空間部分と、 ピス トンの背面側と可動 体の内面部分によって囲まれた可動体內面空間部分でのガスの圧縮 ·膨張仕事が 行なわれることがない。
さらに、 上記局面において、 好ましくは、 ピストンおよび可動体間に設けられ たピス トンシャフ トと、 このピストンシャフ トが往復移動可能に嵌装され、 ビス
トン背面側のシリンダに設けられたスプリング受部と、 ビストンシャフトに嵌装 され、 スプリング受部および可動体間に設けられた第 1 コイルスプリングと、 ノ、 ウジング底面および可動体問に設けられた第 2コイルスプリングと、 ビス トンの 背面空問部分と、 第 1 コイルスプリングが卷装された可動体内面空間部分とを連 通させるガス漏出用の第 3 リーク孔とを備えている。
この構成を用いることにより、 可動体を介して両側に第 1および第 2コイルス プリングを配設することにより、 ビストンのストロ一ク中心位置を一定制御する ことが容易となるとともに、 同一装置寸法内でのばね定数設定を従来より大きく することができる。 また、 ピス トンの上下動に伴いピス トン背面空問でガスの圧 縮 ·膨張が行なわれることがない。
次に、 この発明に係るリニアコンプレッサの第 3の局面においては、 ハウジン グ内に設けられたシリンダと、 このシリンダ内に微小間隙を介して往復可能に遊 挿され、 シリンダ内に圧縮室を区画形成するピス トンと、 一端部がこのピス トン に固着されているビス トンシャフトと、 このビス トンシャフ 卜に一体固定された 有底円筒状の可動体が、 磁石および磁気枠からなる磁気回路の一部に形成した間 隙に配設され、 上記可動体の外周に巻回された電磁コイルへの所定周波数の交流 の供給によりビストンを往復駆動するリニアモータと、 内周面に転がり軸受を有 し、 この転がり軸受に上記ビス トンシャフ 卜を摺動自在に保持する案内部とを備 えている。
この構成を用いることにより、 ピス トンシャフ トが転がり軸受で直接支持され、 ビス トンの直動方向が規定されるため、 ビス トンーシリンダ間にクリアランスシ —ルを実現することができる。
その具体的構成として、 上記微小間隙は、 ピス トンの往復運動に ί半いシリンダ との間にガスシールが形成される範囲であり、 好ましくは、 5 /i m以下に設定さ れている。
また、 上記案内部は、 ピス トンの背面側のシリンダに設けられた第 1案内部と、 ハゥジング底面に設けられた第 2案内部とから構成され、 上記第 1案内部および 可動体間に設けられた第 1 コイルスプリングと、 上記第 2案内部および可動体間 に設けられた第 2コイルスプリングとを備えている。
この構成を用いることにより、 ビス卜ンのストロ一ク中心位匱を一定制御する ことが容易となるとともに、 同一装置寸法内でのばね定数設定を従来より大きく することができる。
次に、 この発明に係るリニアコンプレッサの第 4の局面においては、 ハウジン グ内に設けられたシリンダと、 このシリンダ内に往復可能に嵌装され、 シリンダ 内に圧縮室を区画形成するビストンと、 一端部がビス トンに固着されているビス トンシャフトと、 このビストンシャフ卜に一体固定された有底円筒状の可動体が、 磁石および磁気枠からなる磁気回路の一部に形成した間隙に配設され、 この可動 体の外周に巻回された電磁コイルへの所定周波数の交流の供給によりピス トンを 往復駆動するリニアモ一タとを有し、 圧縮室内でガスを圧縮して外部に供給する リ二アコンプレッサにおいて、 シリンダもしくはビストンに転がり軸受を設け、 この転がり軸受を介してビス トンをシリンダに沿って往復移動させている。
この構成を用いることにより、 転がり軸受を介してビストンをシリンダに沿つ て摺動させることができ、 ピス トンにガスシ一ル部材を設ける必要がなく、 ビス トンの往復運動時のビス トンーシリンダ間の摩擦損失による運転効率の低下等を 防止することができる。
その具体的構成として、 上記ビス トンシャフトが往復移動可能に遊挿され、 ピ ス トンの背面側のシリンダに設けられたスプリング受部と、 このスプリング受部 および可動体間に設けられた第 1 コイルスプリングと、 ハウジング底面および可 動体間に設けられた第 2コイルスプリングとを備えている。
この構成を用いることにより、 ビス トンのス トロ一ク中心位置を一定制御する ことが容易となるとともに、 同一装置寸法内でのばね定数設定を従来より大きく することができる。
次に、 この発明に係るリニアコンプレッサの第 5の局面においては、 圧縮室内 でガスを圧縮して外部に供給するリニアコンプレッサにおいて、 ハウジング内の 両側に設けられた第 1および第 2シリンダと、 この第 1および第 2シリンダ内に 往復可能に嵌装され、 第 1および第 2シリンダ内に圧縮室をそれぞれ区画形成す る第 1および第 2ビス トンと、 両端部が上記第 1および第 2ビス トンに固着され ているビス トンシャフ卜と、 このビス トンシャフ卜に一体固定された有底円筒状
の可動体が、 磁石および磁気枠からなる磁気回路の一部に形成した間隙に配設さ れ、 この可動体の外周に卷回された電磁コイルへの所定周波数の交流の供給によ りピス トンを往復駆動するリニアモータと、 可動体を挟んで設けられ、 第 1およ び第 2ビス卜ンがそれぞれ第 1および第 2シリンダ内で往復動可能に弾性支持す るコイルスプリングとを備え、 上記第 1 ピス トン、 ピス トンシャフ トおよび第 2 ビス トンの内部を中空連通状態とし、 第 1 ビス トンの背面空間と第 2ビス トンの 背面空間とが連通するように構成したものである。
この構成を用いることにより、 第 1 ビストンおよび第 2ビストンの往復移動に 伴って背面空間部のガスが第 1 ピス トン、 ピス トンシャフ トおよび第 2ピス トン を介して連通状態となるため、 圧縮 .膨張仕事が行なわれることなく、 不可逆圧 縮ロスを発生することがない。 また、 ハウジング両側に圧縮室を有するリニアコ ンプレッサにおいて、 可動体を介して両側にコイルスプリングを配設することに より、 第 1および第 2ビストンのストロ一ク中心位置を一定制御することが容易 となるとともに、 所定のばね定数を得ることができる。
さらに、 具体的には、 第 1 ピス トンの背面空間と第 1 ピス トンの中空内部とを 連通させる第 1 リーク孔を第 1 ビス トンに設けるとともに、 第 2ビス トンの背面 空間と第 2ピストンの中空内部とを連通させる第 2リーク孔を第 2ビス トンに設 け、 第 1 ビス トンの背面空間と第 2ビス トンの背面空間とを連通状態としたもの である。
この構成を用いることにより、 簡易な構成で不可逆圧縮ロスの発生を防止する ことができる。
次に、 この発明に係るリニアコンプレッサの第 6の局面においては、 ハウジン グ内の両側に設けられた第 1および第 2シリンダと、 この第 1および第 2シリン ダ内に往復可能に嵌装され、 第 1および第 2シリンダ内に圧縮室をそれぞれ区画 形成する第 1および第 2ピストンと、 両端部が第 1および第 2ピストンに固着さ れているビストンシャフ卜と、 このビス トンシャフトに一体固定された有底円筒 状の可動体が、 磁石および磁気枠からなる磁気回路の一部に形成した間隙に配設 され、 この可動体の外周に巻回された電磁コイルへの所定周波数の交流の供給に よりピス トンを往復駆動するリニアモータと、 可動体を挟んで設けられ、 第 1お
よび第 2ビストンがそれぞれ第 1および第 2シリンダ内で往復動可能に弾性支持 するコイルスプリングとを備え、 第 1 ピス トン、 ピス トンシャフトおよび第 2ピ ス トンの内部を中空連通状態とし、 第 1シリンダ內の圧縮室からの圧縮ガスを第 1 ビストンおよびビス トンシャフ 卜の中空部を介して外部に供給するとともに、 第 2シリンダ内の圧縮室からの圧縮ガスを第 2ビストンおよびビストンシャフト の中空部を介して外部に供給するようにしたものである。
この構成を用!/、ることにより、 可動体を介して両側にコイルスプリングが配設 されることになり、 第 1および第 2ビス トンのス トローク中心位置を一定制御す ることが容易となるとともに、 所定のばね定数を得ることができる。
また、 圧縮ガス吐出の際に発生するガス脈動による振動音等の騒音がハウジン グ内に遮音されることになり、 防音用の吐出マフラを新たに設ける必要がない。 さらに具体的には、 圧縮ガスを第 1および第 2ビス トン内の中空部へ吐出する 第 1および第 2吐出弁が第 1および第 2ビストンにそれぞれ設けられており、 圧 縮室からの圧縮ガスを第 1または第 2ビス トンの中空部、 ビス トンシャフ 卜の中 空部、 可動体内に形成された中空の可動体空間部およびこの可動体空間部の端側 および本体ハゥジング間に設けられた伸縮性を有する連通管を介して外部に供給 するようにしたものである。 そして、 連通管は、 ベロ一ズ状管またはコイル状管 で構成されている。
この構成を用いることにより、 簡易な構成により騒音がハウジング内に遮音さ れ、 一層装置全体を小型化できる。
次に、 この発明に係るリニアコンプレッサの第 7の局面においては、 ハウジン グ内の両側に設けられた第 1および第 2シリンダと、 第 1および第 2シリンダ内 に往復可能に嵌装され、 第 1および第 2シリンダ内に圧縮室をそれぞれ区画形成 する第 1および第 2ビストンと、 両端部が第 1および第 2ピストンに固着されて いるピス トンシャフ トと、 このピストンシャフトに一体固定された有底円筒状の 可動体が、 磁石および磁気枠からなる磁気回路の一部に形成した間隙に配設され、 この可動体の外周に卷回された電磁コイルへの所定周波数の交流の供給によりピ ス トンを往復駆動するリニアモータと、 ハウジングおよびビス トンシャフ ト間に 設けられ、 第 1および第 2ビストンをそれぞれ第 1および第 2シリンダ内で往復
動可能に弾性支持する板状ビス トンスプリングと、 第 1および第 2シリンダ内の 圧縮室からの圧縮ガスの一部を噴出せしめ、 第 1および第 2ビス トンの軸方向の 位匱規制を行なう気体軸受部とを備えている。
この構成を用いることにより、 第 1および第 2ピストンが中立点付近に位置し ているときには、 板状ピス トンスプリングによって第 1および第 2ピス トンの軸 方向の位置規制が行なわれ、 一方、 第 1および第 2ピス トンが上下支点近傍に位 置しているときには、 気体軸受部によって第 1および第 2ビストンの軸方向の位 置規制が行なわれる。 したがって、 簡易な構成で第 1および第 2ビス トンのスト ローク中心位置を一定にするとともに、 第 1および第 2ビス トンの往復動駆動時 におけるピス トンの軸振れを制限してピス トン部分の摩耗を防止し、 装置の長寿 命化を図ることができる。
その具体的構成として、 第 1シリンダ内の圧縮室からの圧縮ガスを気体軸受部 に供給するための第 1連通路と、 第 2シリンダ内の圧縮室からの圧縮ガスを気体 軸受部に供給するための第 2連通路とを備えている。
この構成を用いることにより、 圧縮室からの圧縮ガスの一部を利用して気体軸 受部へのガス供給がなされるため、 新たにガス供給のための手段を設ける必要は なく、 装置の小型化を図ることができる。
さらに好ましくは、 第 1連通路は第 1 ビストンおよびビストンシャフト内に形 成され、 第 2連通路は第 2ビストンおよびビストンシャフ卜内に形成されている。 この構成を用いることにより、 ピストンシャフト側から軸受側にガスを吹付け るので、 その逆の場合に比べて装置全体の構造を簡略化することができる。
また気体軸受部を、 第 1 ピストンの背面側の第 1シリンダに設けられ、 この第 1 ビス トンの軸方向の位置規制を行なう第 1気体軸受部と、 第 2ビス トンの背面 側の第 2シリンダに設けられ、 この第 2ビス トンの軸方向の位置規制を行なう第 2気体軸受部とから構成してもよレ、
この構成を用いることにより、 第 1気体軸受部によって第 1 ビス トンが上下支 点近傍に位置している場合の軸振れが制限され、 第 2気体軸受部によって第 2ピ ストンが上下支点近傍に位置している場合の軸振れが制限されることになる。 さらに、 第 1および第 2ピストンは、 それぞれ第 1および第 2シリンダ内に微
小間隙、 具体的には 1 0 μ m以下に設定した微小間隙を介して往復可能に遊挿さ れる構成にしてもよレ、。
この構成を用いることにより、 ビス トンの往復動に伴いシリンダとの間にガス シールが形成され、 別途ガスシ一ル部材をビス トン周側面に設ける必要はない。 したがって、 ピス トンーシリンダ間に片当りのないク リアランスシールを実現 することができ、 ビス トンの往復運動時のビス トンーシリンダ問の摩擦損失によ る運転効率の低下等を防止することができる。
次に、 この発明に係るリニアコンプレッサの第 8の局面においては、 ピストン を備えたシャフ トと、 このピス トンを収容する圧縮室を有するシリンダと、 この シリンダと一体的に設けられ、 上記シャフ トを収容するためのケ一シングと、 ピ ス トンに往復運動を与え、 上記圧縮室において上記圧縮ガスを生成するため、 上 記シャフトと上記ケーシングとに結合されるリニアモータと、 上記シャフ卜に結 合され、 中立点から離れたビス トンを中立点に復帰させるための第 1弾性部材と、 上記シャフトに結合され、 上記シャフトの軸振れを防止するための第 2弾性部材 とを備えている。
また、 好ましくは、 上記ピス トン、 上記シャフト、 上記第 1弾性部材、 上記第 2弾性部材および上記圧縮ガスを含む振動部は、 所定の共振周波数を有し、 上記 リニアモータは上記共振周波数で上記シャフ トを往復運動させている。
また、 さらに好ましくは、 上記リニアモータは、 上記ケーシングに設けられる コイルと、 上記シャフトに設けられる永久磁石とを備え、 上記第 1弾性部材は上 記永久磁石に設けられた内部空間に収容されるように設けられている。
また、 さらに好ましくは、 上記第 1弾性部材はコイルスプリングであり、 上記 第 2弾性部材はサスペンションスプリングが用いられる。
以上のように、 この第 8の局面におけるリニアコンプレッサにおいては、 ビス トンを中立点に復帰させるための第 1弾性部材と、 シャフトの軸振れを防止する ための第 2弾性部材とが用いられている。
その結果、 たとえばマグネット可動型のリニアコンプレッサに適用した場合、 ビストンの軸振れが第 2弾性部材によりその軸振れが防止され、 冷媒ガスの圧縮 を効率よく行なうことが可能となる。
また、 マグネット可動型のリニアコンプレッサに適用した場合において、 第 1 弾性部材をシャフ トに設けられた永久磁石に設けた内部空間内に収容させる構成 をとることにより、 リニアコンプレッサ内の内部空間が効率的に使用され、 リニ アコンプレッサの小型化を図ることが可能となる。
図面の簡単な説明
第 1図は、 この発明に係る実施例 1のリ二アコンプレッサの原理を説明するた めの波形図である。
第 2図は、 この発明に係る実施例 1のリニアコンプレツザの構成を示す断面図 である。
第 3図は、 第 2図に示したリニアコンプレッサの駆動装置の構成を示すブロッ ク図である。
第 4図は、 第 2図に示した制御装置 7 2 5の構成を示すプロック図である。 第 5図は、 第 2図に示した制御装置 7 2 5の動作を示すフローチヤ一トである。 第 6図は、 第 1図〜第 5図で示したリニアコンプレッサおよびその駆動装置の 効果を説明するための波形図である。
第 7図は、 第 1図〜第 5図で示したリニアコンプレッサおよびその駆動装置の 効果を説明するための他の波形図である。
第 8図は、 第 1図〜第 5図で示したリニアコンプレッサおよびその駆動装置の 効果を説明するためのさらに他の波形図である。
第 9図は、 この発明に係る実施例 2のリニアコンプレッサの断面図である。 第 1 0図は、 第 9図に示すリニアコンプレッサのガス吐出時の状態を示す断面 図である。
第 1 1図は、 第 9図に示すリニアコンプレッサのガス吸入時の状態を示す断面 図である。
第 1 2図は、 この発明に係る実施例 3のリニアコンプレッサの断面図である。 第 1 3図は、 この発明に係る実施例 4のリニアコンプレッサの断面図である。 第 1 4図は、 この発明に係る実施例 5のリニアコンプレッサの断面図である。 第 1 5図は、 第 1 4図のリニアコンプレッサの動作を説明するための断面図で ある。
第 1 6図は、 この発明に係る実施例 6のリニアコンプレッサの断面図である。 第 1 7図は、 第 1 6図のリニアコンプレッサの動作を説明するための断面図で ある。
第 1 8図は、 第 1 6図のリニアコンプレッサの動作を説明するための断面図で ある。
第 1 9図は、 この発明に係る実施例 7のリニアコンプレッサの断面図である。 第 2 0図は、 第 1 9図に示すリニアコンプレッサの第 1 ピス トン 4 0 7の上支 点近傍への移動による動作の内容を説明するための断面図である。
第 2 1図は、 第 1 9図に示すリニアコンプレッサの第 2ビス トン 4 1 0の上支 点近傍への移動による動作の内容を説明するための断面図である。
第 2 2図は、 この発明に係る実施例 8におけるリニアコンプレッサの構成を示 す断面図である。
第 2 3図は、 この発明に係る実施例 8のリニアコンプレッサの再膨張 ·吸入行 程を示す断面図である。
第 2 4図は、 この発明に係る実施例 8のリニアコンプレッサの圧縮 '吐出行程 を示す断面図である。
第 2 5図は、 この発明に係る実施例 9のリニアコンプレッサの構造を示す縦断 面図である。
第 2 6図は、 従来のリニアコンプレッサの断面図である。
第 2 7図は、 密閉型の冷凍システムの構成を示す概念図である。
第 2 8図は、 サスペンションスプリングの形状を示す上面図である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 図面を参照して、 本発明のリニアコンプレッサの各実施例について説明 する。 なお、 図 2 6で説明した従来のリニアコンプレッサの構造と同じ構成につ いては、 同一符号を付して示しており、 これらの部分の詳細な説明は省略する。
(実施例 1 )
まず、 本実施例におけるリニアコンプレッサの構成を説明する前に、 この実施 例に係るリ二アコンプレッサの原理について説明する。
リニアコンプレッサモデルは、 推力定数 Aで電気系モデルと機械系モデルが結 合した次式で表現される。
Ε=Λ · d x/d t + ( L · d I / d t + R · I ) ··■ (1 )
A - I =m - d 2 x / d t 2 + c · d x / d t + k · x + F + S ( P w- P b) ·■· (2)
ただし、 Eは駆動電圧、 Aは推力定数 (発電定数) 、 Iは駆動電流、 Lはコィ ルインダクタンス、 Rはコイル抵抗、 mは可動部重量、 cは粘性减衰係数 (機械、 ガス) 、 kは機械ばね定数、 Fは固体摩擦减衰力、 Sはピス トン断面積、 Pwは ビス トン表側圧力、 P bはビス トン裏側圧力、 Xはビス トン位置である。
ここで固体摩擦滅衰カ Fおよび粘性滅衰カ c · d x/d tは他の力に比べて + 分小さいので、 式 (2) は次式のようになる。
A - I =m - d 2 x/d t 2+k - x + S (Pw-P b) … (2' )
この式 (2' ) は、 「モータ推力 A · Iは、 慣性力 m · d 2x/d t 2、 復元 力 k · xおよびガス圧縮に関する力 S (P w- P b) の総和で決定される。 」 こ とを表わしている。
また、 ビス 卜ン表側圧力 P wはシリンダ内部圧力を意味し、 ビス 卜ン裏側圧力 P bはコンプレッサ内部圧力 (リニアコンプレッサの場合は吸込み圧力) を意味 する。 圧縮 .吐出 ·再膨張 ·吸込みというガス圧縮工程では、 ピス トン裏側圧力 P bはほぼ一定であるが、 ピス トン表側圧力 Pwは非線形に変化するため、 ガス 圧縮に関する力 S (Pw— P b) は非線形となる。 この非線形性は式 (2' ) よ り、 モータ推力 A · Iの非線形性 (駆動電流 Iの歪み) につながる。
したがって、 リニアコンプレッサの高効率化には、 以下のことが必要となる。 ( i ) ガス圧縮に関する力 S (Pw_P b) を小さく して、 モータ推力 A · Iの低減化を図る。
( i i) ガス圧縮に関する力 S (Pw— P b) の非線形成分を小さく して、 モータ推力 A · Iの非線形成分の低减化を図る。
換言すると、 正弦波上の慣性力 m · d x/d t 2および復元力 k · x (ただ し、 位相は互いに 1 80° ずれている) と、 非線形なガス圧縮に関する力 S (P w- P b) との総和であるモータ推力 Λ · Iを、 小さくするとともに正弦波状と
することである。
そこで、 1本のシャフ トの両端にピス トンを設け、 シャフ トの】往復でガス圧 縮工程を二度かつ交互に行なうことにより、 図 1に示すように、 ガス圧縮に関す る力 S (Pw-P b) を二分化 '逆位相化すれば、 モータ推力 A · Iを小さく し、 かつ正弦波状にすることができる。
モータ推力 A · Iは、 慣性力 m · d 2 x/d t 2と復元力 k · xとガス圧縮に 関する力 S (Pw—P b) の和であり、 かつ後元力 k · Xとガス圧縮に関する力 S (Pw—P b) は同相であるから、 復元力 k . Xに対するガス圧縮に関する力 S (Pw—P b) の比が小さいほどモータ推力 A . Iの線形性が良好になる。 ただし、 図 1において、 ガス圧縮に関する力 S (Pw—P b) を示す曲線と時 問軸の間の面積は冷却能力を表しているので、 これを小さくすることはできず、 また復元力 k · Xすなわち機械ばね定数 kを大きくするにも限界がある。 好まし くは、 復元力 · Xはガス圧縮に関する力 S (Pw—P b) よりも大きな値に設 定される。
また、 装置の構造上、 負荷変動はあってもピス トンの中立点が一定の位置に保 たれるので駆動電流 Iを制限するだけでビス トンのス卜ロークを容易に制御でき る。
以下、 図に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図 2は、 上述した原理が適用されたリニアコンプレッサ 60 1の構成を示す断 面図である。 図 2を参照して、 このリニアコンプレッサ 601は、 円筒形状のケ —シング 602、 1本のシャフト 603、 2つのリニアボールベアリング 604 a , 604 b, 2つのコイルばね 605 a, 605 bおよび固定具 606を備え る。 リニアボ一ルベアリング 604 a, 604 bは、 それぞれケーシング 602 の上部および下部にケ一シング 602と同軸に設けられる。 シャフト 603は、 リニアボ一ルベアリング 604 a、 コイルばね 605 a、 固定具 606、 コイル ばね 605 bおよびリニアボールベアリング 604 bに順に挿入される。 シャフ ト 603の中央部に固定具 606が固定されて、 シャフト 603は上下動自在に 支持される。
また、 このリニアコンプレッサ 601は、 2組のシリンダ 607 a, 607 b,
ピス トン 608 a, 608 b、 吸込みバルブ 60 9 a, 609 bおよび吐出バル ブ 6 1 0 a, 6 1 0 bを備える。 シリンダ 60 7 a, 60 7 bは、 それぞれケ一 シング 60 2の上部および下部にシャフ ト 60 3と同軸上に設けられる。 ビス ト ン 608 a, 608 bは、 それぞれシャフ ト 60 3の一方端部および他方端部に 設けられ、 シリンダ 60 7 a, 60 7 b内に嵌装される。 ピストン 608 a , 6 08 bのヘッドとシリンダ 60 7 a, 60 7 bの内壁によって、 それぞれ圧縮室 6 1 1 a, 6 1 1 bが形成される。 バルブ 60 9 a, 6 1 0 a, 609 b, 6 1 0 bは、 それぞれ圧縮室 6 1 1 a, 6 1 1 b内のガス圧に応じて開閉する。 ビス トン 608 a, 60 8 bのへッドの裏側とシリンダ 60 7 a, 60 7 bの内壁に よって形成される空間には、 不可逆性圧縮を防止するためのガスリーク孔 6 1 2 a, 6 1 2 bが形成されている。 シャフ ト 60 3が上下動すると、 上下の圧縮室 6 1 1 a, 6 1 1 bで圧縮ガスが交互に形成される。
さらに、 このリニアコンプレッサ 60 1は、 シャフ ト 603およびピス トン 6 0 8 a, 60 8 bを上下動させるためのリニアモータ 6 1 3を備える。 リニアモ —タ 6 1 3は、 制御性の高いボイスコイルモータであって、 ヨーク部 60 2 aお よび永久磁石 6 1 4を含む固定部と、 コイル 6 1 5および円筒状の支持部材 6 1 6を含む可動部とを備える。 ヨーク部 60 2 aは、 ケーシング 60 2の一部を構 成している。 永久磁石 6 1 4は、 ヨーク部 60 2 aの內周壁に設けられる。 支持 部材 6 1 6の一方端部は永久磁石 6 1 4とシリンダ 60 7 bの外周壁の間に上下 動自在に揷入され、 その他方端部は固定具 606を介してシャフ ト 603の中央 部に固定される。 コイル 6 1 5は、 支持部材 6 1 6の一方端部において永久磁石 6 1 4に対向して設けられる。 コイル 6 1 5は、 コイルばね状の電線 6 1 7を介 して電源に接続される。
このリニアコンプレッサ 60 1は、 シャフ ト 603、 固定具 606、 ピス トン 608 a, 60 8 b、 コイル 6 1 5および支持部材 6 1 6の重量、 圧縮室 6 1 1 a , 6 1 1 b内のガスのばね定数、 コイルばね 605 a, 605 bのばね定数な どから定まる共振周波数を有する。 この共振周波数でリニアモータ 6 1 3を駆動 させることにより、 上下 2つの圧縮室 6 1 1 a, 6 1 1 bで圧縮ガスを高効率で 生成できる。
次に、 この 2ピス トン型リニアコンプレッサ 60 1を制御面から高効率化させ る方法について説明する。 モータ入力 (有効電力) P iおよびモータ出力 P oは、 それぞれ以下の式で表わされる。
P i =Ε · I · c o s θ ··· (3)
P o = A · I · d x/d t - c o s ø■ ■ (4)
ただし、 Θは駆動電圧 Eと駆動電流 Iの位相差を示し、 Φは駆動電流 Iとビス トン速度 d x/d tの位相差を示している。
ここで、 冷凍の能力を維持したまま入力電力を低减化させるためにはモータ出 力 P oを維持したまま、 モータ入力 P iを低減化させる必要がある。 すなわち、 ( i ) 駆動電流 I とピス トン速度 d x/d tの位相差 φを小さく して、 モー タ出力 P oを維持したまま駆動電流 Iの低減化を図ること、
( i i ) 力率 c o s Θを高めて、 駆動電圧 Eや駆動電流 Iの低減化を図るこ と、
が制御面から必要である。
一方、 1 Omh程度のコイルインダクタンスでは、 駆動電圧 Eとピストン速度 d x/d tの位相は、 ほぼ一致していることが実験で確認されている。
したがって、 駆動電流 I とビストン速度 d x/d tの位相制御を行ない、 その 位相差 øを 0とすることにより、 力率 c o s Θ , c o s φの向上を図り、 モータ 入力 P i を低減化するとともに、 共振状態を維持することが可能である。
図 3は、 このような考察に基づく リニアコンプレッサ 60 1の駆動装置 6 20 の構成を示すプロック図である。
図 3を参照して、 この駆動装置 6 20は、 電源 6 2 1、 電流センサ 6 22、 位 置センサ 6 24および制御装置 6 2 5を含む。 電源 6 2 1は、 リニアコンプレツ サ 60 1のリニアモータ 6 1 3のコイル 6 1 5に駆動電流 Iを供給する。 電流セ ンサ 6 22は、 電源 6 2 1の出力電流の現在値 I n o wを検出する。 位置センサ 6 24は、 リ二アコンプレッサ 60 1のビストン位置現在値 P n o wを直接また は間接的に検出する。 制御装置 6 25は、 電流センサ 6 2 2で検出された電流現 在値 I n owと位置センサ 624で検出された位置現在値 P n o wとに基づいて 簏源 6 2 1に制御信号 φ cを出力し、 電源 6 2 1の出力電流 Iを制御する。
制御装置 6 25は、 図 4に示すように、 P— V変換部 630、 位置指令部 6 3 1、 3つの減算器 6 3 2, 6 34, 6 3 6、 位置制御部 63 3、 速度制御部 6 3
5、 電流制御部 6 3 7および位相制御部 6 3 8を含む。 P— V変換部 630は、 位置センサ 6 24によって検出された位置現在値 P n owを微分して速度現在値 V n o wを求める。 位匱指令部 63 1は、 数式 P r e f =B X s i η ω t (ただ し、 Bは振幅、 ωは角周波数である) に従って、 位置指令値 P r e f を減算器 6 3 2に与える。 上述したピストン 60 8 a, 608 bのストロークを制御するた めには、 この振幅 Bを制御すればよい。 減算器 6 3 2は、 位置指令部 6 3 1から 与えられた位置指令値 P r e f と位置センサ 6 24によって検出された位置現在 値 P n o wとの差 P r e f - P n o wを演算し、 演算結果 P r e f — P n o wを 位置制御部 3 3に与える。
位置制御部 6 3 3は、 数式 V r e f =G V X (P r e f - P n o w) (ただし、 G vは制御ゲインである) に基づいて速度指令値 V r e ίを演算し、 演算結果 V r e f を減算器 6 34に与える。 减算器 63 4は、 位置制御部 6 3 3から与えら れた速度指令値 V r e ίと Ρ— V変換部 630で生成された速度現在値 V n o w との差 V r e f -Vn o wを演算して演算結果 V r e f 一 Vn o wを速度制御部
63 5に与える。
速度制御部 6 3 5は、 数式 I r e f =G i X (V r e f 一 V n ow) (ただし、 G iは制御ゲインである) に基づいて電流指令値 I r e f を演算し、 演算結果 R r e f を减算器 6 3 6に与える。 減算器 63 6は、 速度制御部 6 3 5から与えら れた電流指令値 I r e f と電流センサ 6 22によって検出された電流現在値 I n owとの差 I r e f — I n o wを演算し、 演算結果 I r e ί— I n o wを電流制 御部 6 3 7に与える。
電流制御部 63 7は減算器 63 6の出力 I r e f — I n o wが 0になるように 制御信号 φ cを電源 2 1に与えて電源 2 1の出力電流 Iを制御する。 電源 2 1の 出力電流 Iの制御はたとえば PWM方式あるいは P AM方式で行なわれる。
位相制御部 6 3 8は、 P— V変換部 30で生成された速度現在値 V n o wと速 度制御部 63 5で生成された電流指令値 I r e f との位相差を検出し、 その位相 差がなくなるように位置指令部 6 3 1で用いられる数式 P r e f =B X s i η ω
tの角周波数 ωと速度制御部 6 3 5で用いられる数式 I r e f = G i X (V r e f - V n o w ) の制御ゲイン G iを調整する。
図 5は、 図 4で示した制御装置 6 2 5の動作を示すフローチャートである。 こ のフローチヤ一トに従って、 図 1〜図 4で示したリ二アコンプレッサ 6 0 1およ びその駆動装置 6 2 0の動作について簡単に説明する。
まず、 ステップ S 1において、 位置指令部 6 3 1で位置指令値 P r e f が生成 され、 位置制御部 6 3 3で速度指令値 V r e f が生成され、 速度制御部 6 3 5で 電流指令値 I r e f が生成される。 リニアモータ 6 1 3のコイル 6 1 5に電流が 供給されると、 リニアモータ 6 1 3の可動部が往復運動を開始し、 これによつて 圧縮ガスの生成が開始される。
ステップ S 2において、 位匱センサ 6 2 4によって位置現在ィ直 P n o wが検出 され、 検出された位置現在値 P n o wは減算器 6 3 2および P— V変換部 6 3 0 に与えられる。 ステップ S 3において、 位置制御部 6 3 3に速度指令値 V r e f = G v X ( P r e f — P n o w) が演算され、 ステップ S 4において、 P— V変 換部 6 3 0によって位置現在値 P n o wが速度現在値 P n o wに変換される。 速 度現在値 V n o wは減算器 6 3 4および位相制御部 6 3 8に与えられる。
ステップ S 5において、 速度制御部 6 3 5によって電流指令値 I r e f = G i X (V r e f - V n o w ) が演算され、 この演算値 I r e f は減算器 6 3 6およ び位置制御部 6 3 8に与えられる。 電流制御部 6 3 7は、 電流現在値〖 n o wが 電流指令値 I r e ίに一致するように電源 6 2 1を制御する。
ステップ S 6において、 位相制御部 6 3 8によって速度現在値 V n o wと電流 指令値 I r e f の位相差が検出される。 ステップ S 7において、 位相制御部 6 3 8は、 速度現在値 V n o wと電流指令値 I r e ίの位相差がなくなるように、 位 置指令値 P r e ίの角周波数 ωおよび制御ゲイン G iを調整する。
以降、 ステップ S 1〜S 7が繰返されて、 リニアコンプレッサ 6 0 1の運転状 態は急速に安定する。 また、 起動後に負荷変動があった場合でも、 それに併せて リニアモータ 6 1 3の推力すなわち駆動電流 Iが直接かつ適切に制御され、 高い 効率が得られる。
図 6は、 上述したリ二アコンプレッサ 6 0 1が上述した駆動装置 6 2 0によつ
て共振状態で駆動されているときの駆動電圧 E、 電流指令値 I r e ί、 速度現在 値 V n o wおよび位置現在値 P n o wの関係を示す波形図、 図 7は、 そのときの 慣性力 m · d 2 x / d t 2、 復元力 k · x、 ガス圧縮に関する力 S ( P w - P b ) およびモ一タ推力 A - I r e f の関係を示す波形図である。 ただし、 図 7に おいてモータ推力 A · I r e f の振幅は他の力に対して 8倍されている。
共振状態においては、 駆動電圧 Eと電流指令値 I r e f と速度現在値 V n o w の位相が一致し、 モータ推力 Λ · I r e f が小さくかつ正弦波になっていること が確認された。 このときの力率は◦. 9 9、 モータ効率は 9 1 . 2 °/0であった。 図 8は、 従来の 1 ビス トン型リニアコンプレッサの定常運転時における慣性力、 復元力、 ガス圧縮に関する力およびモータ推力の関係を示す波形図である。 ただ し、 図 8において、 モータ推力の振幅は他の力に対して 2倍されている。
図 7で示した本発明のリニアコンプレッサ 6 0 1に比べ、 モータ推力が大きく なり、 かつその波形に大きな歪みが生じた。
(実施例 2 )
本実施例におけるリニアコンプレッサは、 上述した図 2 6に示すごとく、 密閉 型の冷凍システムの圧縮機として用いられる。 リニアコンプレッサとしては、 図 9に示すように、 外周が密閉円筒状のハウジング 1によって包囲され、 リニアコ ンプレッサを密閉空間として保持している。 このハウジング 1は、 有底円筒体で あり、 その上端側に低炭素鋼からなる磁気枠 (ヨーク) 2が形成されている。 こ のヨーク 2の中心部には、 上下方向に延びるシリンダ嵌装孔 3が貫通形成され、 このシリンダ嵌装孔 3にはステンレス鋼からなる有底円简状のシリンダ 4が嵌合 されている。
シリンダ 4内には、 ピストン 5が摺動可能に嵌装されており、 シリンダ 4とピ ス トン 5により冷媒ガスの圧縮空間となる圧縮室 6が区画形成される。 シリンダ 4には外部のガス流路 1 2 5と接続するための弁機構 7が形成されており、 7 a はガス流路 1 2 5を介して蒸発器 1 2 4で気化した冷媒ガスを吸入するための吸 入弁であり、 7 bは、 圧縮室 6で圧縮された高圧の冷媒ガスをガス流路 1 2 5を 介して凝縮器 1 2 2に吐出するための吐出弁である。
ビス トン 5には、 軽量な非磁性材料である樹脂から構成され、 ビス トン 5側が
開放された有底円筒状の可動体 (ボビン) 8が、 ピス トン 5のピス トンシャフト 9に一体固定されており、 そのボビン 8およびビストン 5を往復可能に弾性支持 するための第 1および第 2コイルスプリング 1 0、 1 1が設けられている。 第 1 コイルスプリング 1 0は、 ピス トンシャフト 9に巻装され、 その一端がボ ビン 8に当接するとともに、 他端がシリンダ 4に設けられたスプリング受部 1 2 に当接している。 また、 第 2コイルスプリング 1 1は、 ハウジング 1底面の中心 部とボビン 8との間に固着されている。 このように、 ボビン 8を介して両側に第 1および第 2コイルスプリング 1 0、 1 1を配設することにより、 ピストン 5の ストローク中心位置を一定制御することが容易となるとともに、 ばね定数を大き くすることができ、 装置の小型化を図ることができる。
ビストン 5およびボビン 8は、 両者を往復駆動する駆動源としてのリニアモ一 タ 1 3に駆動接続されている。
ヨーク 2には、 シリンダ嵌装孔 3と同心状に配置された環状の凹部 1 4が形成 され、 この凹部 1 4の外側側面 1 4 aには環状の永久磁石 1 5が內側側面 1 4 b との間に所定の間隙 Sをあけて取付けられており、 この磁石 1 5およびヨーク 2 によってリニアモータ 1 3の磁気回路 1 6が構成されている。 この磁気回路 1 6 によつて磁石 1 5と凹部 1 4内側側面との間の間隙 Sに所定強度の磁界を発生さ せるようにしている。
ボビン 8が間隙 Sにおレ、て往復動可能に配設されており、 このボビン 8の外周 部には、 磁石 1 5と対向する位置に電磁コイル 7が卷回されており、 リード線 (図示せず) を介して所定周波数 (本実施例では 6 0 H z ) の交流電流を通電す ることにより、 間隙 Sを通る磁界との作用によって電磁コイル 7およびボビン 8 を駆動してビストン 5をシリンダ 4内で往復移動させ、 圧縮室 6で所定周期のガ ス圧を発生させるようになされている。
さらに、 ヨーク 2には、 ヨーク 2、 永久磁石 1 5およびボビン 8によって形成 される磁気回路空間部分 2 1のガスを外部に漏出させる第 1 リーク孔 2 2と、 第 1 リーク孔 2 2に電通されたバッファ空間部 2 3とを設け、 ボビン 8の上下動に 伴い磁気回路空間部分 2 1でガスの圧縮 ·膨張仕事が行なわれないようにしてい る。 なお、 本実施例では第 1 リーク孔 2 2を 8個設けている
一方、 ボビン 8には、 ピス トン 5の背面側のスプリング受部 1 2とボビン 8の 内面部分によって囲まれたボビン内面空間部分 2 4を、 ピス トンスプリング 1 1 が設けられたボビン背面空間部分 2 5と連通状態とする第 2 リーク孔 2 6が複数 個 (本実施例では 8個) 設けられており、 ボビン 8の上下動に伴いボビン内面空 間部分 2 4でガスの圧縮 '膨張仕事が行なわれないようにしている。 また、 スプ リング受部 1 2にも、 第 3 リーク孔 2 7が複数個 (本実施例では 6個) 設けられ ており、 ピストン 5の上下動に伴うピス トン 5の背面空間 2 8でガスの圧縮 ·膨 張仕事が行なわれないようにしている。
図 1 0に、 圧縮室 6からのガス吐出時における状態を示す断面図を、 図 1 1に 圧縮室 6へのガス吸入時における状態を示す断面図をそれぞれ示す。 図 1 0およ び図 1 1の両図から明らかなように、 ピス トン 5の上下動に伴って、 磁気回路空 間部分 2 1、 ボビン内面空間部分 2 4、 ピストン背面空間 2 8のガスが圧縮 '膨 張仕事を行なわないように、 バッファ空間部 2 3、 ボビン背面空間部分 2 5へそ れぞれリークされることになる。
したがって、 ヨーク 2およびボビン 8の間隙、 ならびに永久磁石 1 5および電 磁コイル 7の間隙を極力小さく したとしても、 磁気回路空間部分 2 1、 ボビン内 面空間部分 2 4およびビス トン 5の背面空間 2 8でガスの圧縮 ·膨張仕事が行な われることはなく、 不可逆圧縮ロスの発生を防止することができる。 したがって、 リ二アコンプレッサの高効率化を図ることができる。
なお、 本実施例においては、 ピス トン 5およびボビン 8を別体で形成する場合 について説明したが、 同一体で構成してもよく、 永久磁石 1 5をヨーク 2の内側 側面に固着する構成にしてもよい。 加えて、 ハウジング 1、 ヨーク 2およびシリ ンダ 4を同一体で構成しても構わない。 ただし、 この場合には、 磁気回路 1 3を 形成させるために、 ヨーク 2と同一物で構成する必要がある。
(実施例 3 )
本実施例におけるリニアコンプレッサは、 上述した図 2 6に示すように、 密閉 型の冷凍システムの圧縮機として用いられる。 このリニアコンプレッサとしては、 図 1 2に示す如く、 外周が密閉円筒状のハウジング 1 0 1よって包囲され、 リニ アコンプレッサを密閉空間として保持している。 このハウジング 1 0 1は有底円
简体であり、 その上端側に低炭素鋼からなる磁気枠 (ヨーク) 1 0 2が形成され ている。 このヨーク 1 0 2の中心部には、 上下方向に延びるシリンダ嵌装孔 1 0 3が貫通形成され、 このシリンダ嵌装孔 1 0 3にはステンレス鋼からなる有底円 筒状のシリンダ 1 0 4が嵌装されている。
シリンダ 1 0 4内には、 ピス トン 1 0 5が微小間隔を介して往復可能に遊挿さ れており、 シリンダ 1 0 4とピストン 1 0 5により冷媒ガスの圧縮空問となる圧 縮室 1 0 6が区画形成される。 ここで、 微小間隔は、 ピス トン 1 0 5の往復動に 伴いシリンダ 1 0 4との間にガスシールが形成される範囲に設定されており、 具 体的には、 5 μ m以下に設定されている。 なお、 本実施例では、 5 / mに設定し ている。
シリンダ 1 0 4には、 外部のガス流路 1 2 5と接続するための弁機構 1 0 7が 形成されており、 1 0 7 aはガス流路 1 2 5を介して蒸発器 1 2 4で気化した冷 媒ガスを吸入するための吸入弁であり、 1 0 7 bは圧縮室 1 0 6で圧縮された高 圧の冷媒ガスをガス流路 1 2 5を介して凝縮器 1 2 2に吐出するための吐出弁で ある。
ビス トン 1 0 5には、 軽量な非磁性材料である樹脂から形成され、 ビス トン 1 0 5側が開放された有底円筒状の可動体 (ボビン) 1 0 8力;、 ピス トン 1 0 5の ビス トンシャフ 卜 1 0 9に一体固定されており、 そのボビン 1 0 8およびビス ト ン 1 0 5を往復可能に弾性支持するための第 1および第 2コイルスプリング 1 1 0、 1 1 1が設けられている。 第 1 コイルスプリング 1 1 0は、 ピス トンシャフ ト 1 0 9に卷装され、 その一端がボビン 1 0 8に当接するとともに、 他端がシリ ンダ 1 0 4に設けられた第 1案内部 1 1 2に当接している。 また、 第 2コイルス プリング 1 1 1は、 ハウジング 1 0 1底面の中心部に設けられた第 2案内部 1 1 3とボビン 1 0 8との間に固着されている。
ピス トン 1 0 5およびボビン 1 0 8は、 両者を往復駆動する駆動源としてのリ ニァモータ 1 1 4に駆動接続されている。
ヨーク 1 0 2には、 シリンダ嵌装孔 1 0 3と同心状に配置された環状の凹部 1 1 5が形成され、 この凹部 1 1 5の外側側面 1 1 5 aには環状の永久磁石 1 1 6 が内側側面 1 1 5 bとの間に所定の間隙 Sをあけて取付けられており、 この磁石
1 1 6およびヨーク 1 0 2によってリニァモータ 1 1 4の磁気回路 1 1 7が構成 されている。 この磁気回路 1 1 7によって磁石 1 1 6と凹部 1 1 5の内側側面と の間に間隙 Sに所定強度の磁界を発生させるようにしている。
ボビン 8が間隙 Sにおいて往復動可能に配設されており、 このポビン 1 0 8の 外周部には、 磁石 1 1 6と対向する位置に電磁コイル 1 1 8が巻回されており、 リード線 (図示せず) を介して所定周波数 (本実施例では 6 0 H z ) の交流電流 を通電することにより、 間隙 Sを通る磁界との作用によってコイル 1 1 8および ボビン 1 0 8を駆動してビストン 1 0 5をシリンダ 1 0 4内で往復移動させ、 圧 縮室 1 0 6で所定周期のガス圧を発生させるようになされている。
また、 第 1案内部 1 1 2および第 2案内部 1 1 3は、 その内周面に転がり軸受 1 2 1、 1 2 2をそれぞれ有し、 ピストンシャフ ト 1 0 9を上下方向に摺動自在 に保持している。 ここで、 転がり軸受 1 2 1、 1 2 2は、 直動型の転がり軸受で あり、 本実施例では I K O社製のボールスプライン L S A G 8を用いている。 た だし、 使用する直動型の転がり軸受は一例であって、 この他のタイプのボ一ルス プラインでもよく、 あるレ、はスライ ドブッシュであってもよレ、。 これにより、 従 来の滑り軸受の摩擦係数 (μ = 0 . 0 1〜0 . 1 ) に比べて小さい摩擦係数 (μ = 0 . 0 0 1〜0 · 0 0 6 ) の転がり軸受にてピス トンシャフト 1 0 9の直動が 支持されることになる。
以上のように、 ボビン 8を介して両側に第 1および第 2コイルスプリング 1 1 0、 1 1 1を配設することにより、 ピス トン 1 0 5のス トローク中心位置を一定 制御することが容易となるとともに、 ばね定数を大きくすることができ、 装置の 小型化を図ることができる。
また、 ピス トンシャフ ト 9が転がり軸受 1 2 1、 1 2 2で直接支持され、 ビス トン 1 0 5の直動方向が規定されるため、 上述したようにビストンーシリンダ間 に微小間隙を有しクリアランスシールを実現することができる。 したがって、 ピ ストン 1 0 5の往復動時の摩擦損失による運転効率の低下や、 ピス トン 1 0 5に 設けられたガスシール部材の摩耗による装置寿命の低下、 摩耗粉による冷媒の汚 染などを引起こすおそれがない。
(実施例 4 )
次に、 この実施例におけるリニアコンプレッサについて、 図 1 3を参照して説 明する。 ここで、 本実施例と上述した図 1 2に示す実施例 3と異なっている点は、 第 1案内部 1 1 2、 第 2案内部 1 1 3の転がり軸受 1 2 1、 1 2 2に、 ピス トン シャフト 1 0 9を摺動自在に保持する代わりに、 シリンダ 1 0 4に転がり軸受 1 3 1を設け、 その転がり軸受 1 3 1を介してビストン 1 0 5をシリンダ 1 0 4に 沿って往復移動させている点である。
第 1 コイルスプリング 1 1 0を、 ピス トン 1 0 5の背面側のシリンダ 1 0 4 に設けられたスプリング受部 1 3 2とボビン 1 0 8との間に設け、 第 2コイルス プリング 1 1 1をハウジング 1 0 1底面の中心部とボビン 1 0 8との間に設けて いる。 なお、 上述した実施例 2と同じ構成については同一符号を付して示してお り、 これらの部分の詳細な説明は省略する。
ここで、 転がり軸受 1 3 1としては、 上記図 1 2の実施例 3の場合と同様にボ 一ルスプラインまたはスライ ドブッシュタイプの直動形転がり軸受を用いている。 ただし、 使用する転がり軸受 1 3 1は、 ピス トン 1 0 5の往復動により転がり軸 受を介して圧縮室 1 0 6内のガスが漏出しないように、 ピストン 1 0 5のスト口 —ク中心付近に配設されている。
したがって、 従来のようにビストン 1 0 5を滑り軸受を介してシリンダ 1 0 4 に沿って摺動させるのではなく、 転がり軸受を介してビストン 1 0 5をシリンダ 1 0 4に沿って摺動させることができ、 ピス トン 1 0 5の往復動時の摩擦損失に よる運転効率の低下や、 ビストン 1 0 5に設けられたガスシール部材の摩耗によ る装置寿命の低下、 摩耗粉による冷媒の汚染などを引起こすおそれがない。 また、 実施例 2の場合と同様に、 ピス トン 1 0 5のス トロ一ク中心位置を一定制御する ことが容易となるとともに、 ばね定数を大きくすることができ装置の小型化を図 ることができる。
また、 本実施例においては、 シリンダ 1 0 4に転がり軸受 1 3 1を設けた場合 について説明したが、 ピス トン 1 0 5の周面に転がり軸受を設けても構わない。 なお、 上述した実施例 3および実施例 4は、 実施例 2と同様に、 ピストン 1 0 5およびボビン 1 0 8を別体で形成する場合について説明したが、 同一体で構成 してもよく、 永久磁石 1 1 6をヨーク 1 0 2の内側側面に固着する構成にしても
よレヽ。 加えて、 ハウジング 1 0 1、 ヨーク 1 0 2およびシリンダ 1 0 4を同一体 で構成しても構わない。 ただし、 この場合には、 磁気回路 1 1 4を形成させるた めに、 ヨーク 1 0 2と同一物で構成する必要がある。
(実施例 5 )
本実施例のリニアコンプレッサは、 上述した図 2 6に示すように、 密閉型の冷 凍システムの圧縮機として用いられている。 そのリニアコンプレッサとしては、 図 1 4に示すように、 外周が密閉円筒状のハウジング 2 0 1によって包囲され、 リニアコンプレッサを密閉空間として保持している。 このハウジング 2 0 1は、 その上部および下部に圧縮室 2 0 2、 2 0 3を有している。
ハウジング 2 0 1の上端部には、 低炭素鋼からなる磁気枠 (ヨーク) 2 0 4が 形成され、 このヨーク 2 0 4の中心部には、 上下方向に延びるシリンダ嵌装孔 2 0 5が貫通形成され、 このシリンダ嵌装孔 2 0 5には、 ステンレス鋼からなる有 底円筒状の第 1シリンダ 2 0 6が嵌合されている。
第 1シリンダ 2 0 6内には、 第 1 ピス トン 2 0 7が摺動可能に嵌装されており、 第 1シリンダ 2 0 6と第 1ピストン 2 0 7により冷媒ガスの圧縮空間となる上部 圧縮室 2 0 2が区画形成される。 第 1シリンダ 2 0 6には外部のガス流路 1 2 5 と接続するための第 1弁機構 2 0 8が形成されており、 2 0 8 aはガス流路 1 2 5を介して蒸発器 1 2 4で気化した冷媒ガスを吸入するための吸入弁であり、 2 0 8 bは上部圧縮室 2 0 2で圧縮された高圧の冷媒ガスをガス流路 1 2 5を介し て凝縮器 1 2 2に吐出するための吐出弁である。
一方第 1シリンダ 2 0 6と反対側のハウジング 2 0 1の下部には、 上下方向に 延びる第 2シリンダ 2 0 9が設けられており、 この第 2シリンダ 2 0 9内には、 第 2ビストン 2 1 0が摺動可能に嵌装されており、 第 2シリンダ 2 0 9と第 2ピ ス トン 2 1 0により冷媒ガスの圧縮空間となる下部圧縮室 2 0 3が区画形成され る。 上部圧縮室 2◦ 2と同様に、 第 2シリンダ 2 0 9には外部のガス流路 1 2 5 と接続するための第 2弁機構 2 1 1が形成されており、 2 1 1 aはガス流路 1 2 5を介して蒸発器 1 2 4で気化した冷媒ガスを吸入するための吸入弁であり、 2 1 1 bは下部圧縮室 2 0 3で圧縮された高圧の冷媒ガスをガス流路 1 2 5を介し て凝縮器 1 2 2に吐出するための吐出弁である。
第 1 ピス トン 2 0 7および第 2ピス トン 2 1 0は、 ピス トンシャフト 2 1 2で 連結されており、 第 1 ビス トン 2 0 7側が開放された有底円筒状の可動体 (ボビ ン) 2 1 3がピス トンシャフト 2 1 2の中心位置に一体固定されている。 なお、 第 1 ピス トン 2 0 7および第 2ピス トン 2 1 0の外周面には、 ピス トンリングな どのガスシール部材 2 1 4が設けられている。
また、 ヨーク 2 0 4には、 シリンダ嵌装孔 2 0 5と同心上に配置された環状の 凹部 2 1 5が形成され、 この凹部 2 1 5の外側側面 2 1 5 aには環状の永久磁石 2 1 6が内側側面 2 1 5 bとの間に所定の間隙 Sをあけて取付けられており、 こ の磁石 2 1 6およびヨーク 2 0 4によってリ -ァモータ 2 1 7の磁気回路 2 1 8 が構成され、 この磁気回路 2 1 8によって磁石 2 1 6と凹部 2 1 5內側側面との 間の間隙 Sに所定強度の磁界を発生させるようにしている。
ボビン 2 1 3が磁石 2 1 6およびヨーク 2 0 4からなる磁気回路 2 1 8の一部 に形成した間隙 Sに配設され、 ボビン 2 1 3の外周に巻回された電磁コイル 2 1 9に所定周波数の交流電流を供給することによって第 1 ピス トン 2 0 7および第 2ピス トン 2 1 0をそれぞれ第 1シリンダ 2 0 6および第 2シリンダ 2 0 9內で 往復移動させ、 上部圧縮室 2 0 2および下部圧縮室 2 0 3において所定周期のガ ス圧を発生させるようになされている。
また、 ビストンシャフト 2 1 2には、 第 1 ピス トン 2 0 7および第 2ビストン 2 1 0を往復可能に弾性支持するための第 1 コイルスプリング 2 2 0および第 2 コイルスプリング 2 2 1が設けられている。 具体的には、 第 1 コイルスプリング 2 2 0は、 ビストンシャフト 2 1 2が挿通され、 第 1シリンダ 2 0 6に設けられ た第 1スプリング受部 2 2 2とボビン 2 1 3との間に押圧付勢すべく設けられて おり、 第 2コイルスプリング 2 2 1は、 ボビン 2 1 3を挟んで反対側のピス トン シャフト 2 1 2が挿通され、 第 2シリンダ 2 0 9上部に設けられた第 2スプリン グ受部 2 2 3とボビン 2 1 3との間に押圧付勢すべく設けられている。
このように、 両側に圧縮室 2、 2 0 3を有するリニアコンプレッサにおいて、 ボビン 2 1 3を介して両側に第 1コイルスプリング 2 2 0および第 2コイルスプ リング 2 2 1を配設することにより、 第 1および第 2ビス トン 2 0 7、 2 1 0の ストロ一ク中心位置を一定制御することが容易となるとともに、 所定のばね定数
を得ることができる。
さらに、 上記第 1 ピストン 2 0 7、 第 2ピス トン 2 1 0およびピス トンシャフ ト 2 1 2は、 その内部が中空形状となっており、 第 1 ピストン 2 0 7には、 その 背面空間部 2 3 1のガスが漏出する第 1 リーク孔 2 3 2が設けられて、 第 2ビス トン 2 1 0には、 その背面空間部 2 3 3のガスが漏出する第 2リーク孔 2 3 4が 設けられている。 このため、 図 1 5に示すように、 リニアモータ 2 1 7の駆動に より第 1 ピストン 2 0 7および第 2ビス トン 2 1 0の往復移動に伴って背面空間 部 2 3 1、 2 3 3のガスが第 1 ピス トン 2 0 7、 ピス トンシャフ ト 2 1 2および 第 2ピス トン 2 1 0を介して連通状態となるため、 圧縮 ·膨張仕事が行なわれる ことなく、 不可逆圧縮ロスを発生することがない。 したがって、 リニアコンプレ ッサの高効率化を図ることができる。
さらに、 ヨーク 2 0 4には、 ヨーク 2 0 4、 永久磁石 2 1 6およびボビン 2 1 3によって形成される磁気回路空間部分 2 4 1のガスを外部に漏出される第 3 リ ーク孔 2 4 2と、 第 3 リーク孔 2 4 2に連通されたバッファ空間部 2 4 3とを設 け、 ボビン 2 1 3の上下動に伴い磁気回路空間部分 2 4 1でガスの圧縮 ·膨張仕 事が行なわれないようにしている。 なお、 本実施例では第 3 リ一ク孔 2 4 2 を 8個設けている。
一方、 ボビン 2 1 3には、 第 1スプリング受部 2 2 3とボビン 2 1 3の内面部 分によって囲まれたボビン内面空間部分 2 4 4を、 第 2コイルスプリング 2 2 1 が設けられたボビン背面空間部分 2 4 5と連通状態とする第 4 リーク孔 2 4 6が 複数個 (本実施例では 8個) 設けられており、 ボビン 2 1 3の上下動に伴いボビ ン内面空問部分 2 4 4でガスの圧縮 ·膨張仕事が行なわれないようにしている。 これにより、 ヨーク 2 0 4およびボビン 2 1 3の間隙、 ならびに永久磁石 2 1 6 および電磁コイル 2 1 9の間隙を極力小さく したとしても、 磁気回路空間部分 2 4 1およびボビン内面空間部分 2 4 4でガスの圧縮 .膨張仕事が行なわれること はなく、 不可逆圧縮ロスの発生を防止することができる。
図 1 5に、 上部圧縮室 2からのガス吐出時における状態を示す断面図を示す。 ここで、 図中矢印はビストン 2 0 7、 2 1 0の変位方向と、 そのビス トン 2 0 7、 2 1 0の移動に伴うリニアコンプレッサ内のガスの流れを示している。 図からも
明らかなように、 第 1 ピス トン 7の上方向への移動に伴って、 ピス トン背面空問 2 3 3のガスが、 第 2 リーク孔 2 3 4、 第 2ピス トン 2 1 0、 ピス トンシャフ ト 2 1 2、 第 1 ピス トン 2 0 7および第 1 リーク孔 2 3 2を介して背面空間 2 3 1 へ流込むので、 この際に背面空間 2 3 3での圧縮仕事および背面空間 2 3 1での 膨張仕事が、 ともに行なわれることがない。
また、 第 1 ピス トン 2 0 7および第 2ビス トン 2 1 0の往復移動に伴って、 磁 気回路空間部分 2 4 1、 ポビン内面空間部分 2 4 4のガスが、 第 3リーク孔 2 4 2およぴ第 4リーク孔 2 4 6を介して、 バッファ空間部 2 4 3およびボビン背面 空間部分 2 4 5 それぞれリークされることとなり、 この際に圧縮 ·膨張仕事が 行なわれることがない。
なお、 上記構成において、 第 1スプリング受部 2 2 2および第 2スプリング受 部 2 2 3を軸受として使用してもよい。 この場合には、 第 1および第 2ピストン 2 0 7 2 1 0の背面空間部 2 3 1 2 3 3でのガスによって発生する不可逆圧 縮ロスが大きくなるおそれがあるため、 より効果的となる。
(実施例 6 )
本実施例のリニアコンプレッサは、 上述した図 2 6に示す如く、 密閉型の冷凍 システムの圧縮機として用いられる。 このリニアコンプレッサとしては、 図 1 6 に示す如く、 外周が密閉円筒状のハウジング 3 0 1によって包囲され、 リニアコ ンプレッサを密閉空間として保持している。 このハウジング 3 0 1は、 その下部 および上部に圧縮室 3 0 2 3 0 3を有している。
ハウジング 3 0 1の下部には低炭素鋼からなる磁気枠 (ヨーク) 3 0 4が形成 され、 このヨーク 3 0 4の中心部には上下方向に延びるシリンダ嵌装孔 3 0 5が 貫通形成され、 このシリンダ嵌装孔 3 0 5にはステンレス鋼からなる有底円筒状 の第 1シリンダ 3 0 6が嵌合されている。
第 1 シリンダ 3 0 6內には、 第 1 ピス トン 3 0 7が摺動可能に嵌装されており、 第 1 シリンダ 3 0 6と第 1 ピストン 3 0 7により冷媒ガスの圧縮空間となる下部 圧縮室 3 0 2が区画形成される。 第 1シリンダ 3 0 6には外部のガス流路配管 1 2 5に接続され、 蒸発器 1 2 4で気化された冷媒ガスを吸入するための第 1吸入 弁 3 0 8 aが設けられている。
一方、 第 1シリンダ 3 0 6と反対側のハウジング 3 0 1の上部には、 上下方向 に延びる第 2シリンダ 3 0 9が設けられており、 その第 2シリンダ 3 0 9内には、 第 2ピス トン 3 1 0が摺動可能に嵌装されており、 第 2シリンダ 3 0 9と第 2ピ ス トン 3 1 0により冷媒ガスの圧縮空間となる上部圧縮室 3 0 3が区画形成され る。 下部圧縮室 3 0 2と同様に、 第 2シリンダ 3 0 9には外部のガス流路配管 1
2 5と接続し、 蒸発器 1 2 4で気化した冷媒ガスを吸入するための第 2吸入弁 3 1 1 aが設けられている。
第 1 ピス トン 3 0 7および第 2ピス トン 3 1 0は、 ピス トンシャフ ト 3 1 2で 連結されており、 第 1 ピストン 3 0 7側が開放された有底円筒状の可動体 (ボビ ン) 3 1 3がビス トンシャフ ト 3 1 2の中心位置に一体固定されている。 なお、 第 1 ピス トン 3 0 7および第 2ビストン 3 1 0の外周面には、 ビス 卜ンリングな どのガスシール部材 3 1 4 (図示せず) が設けられている。
また、 ヨーク 3 0 4には、 シリンダ嵌装孔 3 0 5と同心状に配置された環状の 凹部 3 1 5が形成され、 この凹部 3 1 5の外側側面 3 1 5 aには環状の永久磁石 3 1 6が内側側面 3 1 5 bとの間に所定の間隙 Sをあけて取付けられており、 こ の磁石 3 1 6およびヨーク 3 0 4によってリニァモータ 3 1 7の磁気回路 3 1 8 が構成され、 この磁気回路 3 1 8によって磁石 3 1 6と凹部 3 1 5内側側面との 間の間隙 Sに所定強度の磁界を発生させるようにし Tいる。
ボビン 3 1 3が磁石 3 1 6およびヨーク 3 0 4からなる磁気回路 3 1 8の一部 に形成した間隙 Sに配設され、 ボビン 3 1 3の外周に卷回された電磁コイル 3 1 9に所定周波数の交流電流を供給することによって第 1 ピストン 3 0 7および第 2ピス トン 3 1 0をそれぞれ第 1シリンダ 3 0 6および第 2シリンダ 3 0 9内で 往復移動させて、 下部圧縮室 3 0 2および上部圧縮室 3 0 3において所定周期の ガス圧を発生させるようになされている。
また、 ピス トンシャフ ト 3 1 2には、 第 1 ピス トン 3 0 7および第 2ピス トン
3 1 0を往復可能に弾性支持するための第 1 コイルスプリング 3 2 0および第 2 コイルスプリング 3 2 1が設けられている。 具体的には、 第 1 コイルスプリング
3 2 0は、 ビストンシャフト 3 1 2が挿通され、 第 1シリンダ 3 0 6に設けられ た第 1スプリング受部 3 2 2とボビン 3 1 3との間に押圧付勢すベく設けられて
おり、 第 2コイルスプリング 3 2 1は、 ボビン 3 1 3を挟んで反対側のビストン シャフ ト 3 1 2が挿通され、 第 2シリンダ 3 0 9上部に設けられた第 2スプリン グ受部 3 2 3とボビン 3 1 3との間に押圧付勢すべく設けられている。 このよう に、 両側に圧縮室 3 0 2、 3 0 3を有するリニアコンプレッサにおいて、 ボビン 3 1 3を介して両側に第 1コイルスプリング 3 2 0および第 2コイルスプリング 3 2 1を配設することにより、 第 1および第 2ビス トン 3 0 7、 3 1 0のス ト口 —ク中心位置を一定制御することが容易となるとともに、 所定のばね定数を得る ことができる。
さらに、 上記第 1 ピス トン 3 0 7、 第 2ピス トン 3 1 0およびピス トンシャフ ト 3 1 2は、 その内部が中空形状となっており、 第 1 ピス トン 3 0 7には、 下部 圧縮室 3 0 2で圧縮された高圧の冷媒ガスを凝縮器 1 2 2に供給するために、 第 1 ピス トン 3 0 7の中空部 3 0 7 aへ吐出するための第 1吐出弁 3 0 8 bが設け られている。 この第 1吐出弁 3 0 8 bは上記第 1吸入弁 3 0 8 aとともに第 1弁 機構 3 0 8を構成している。
また、 第 2ピス トン 3 1 0には、 上部圧縮室 3 0 3で圧縮された高圧の冷媒ガ スを凝縮器 1 2 2に供給するために、 第 3ピス トン 3 1 0の中空部 3 1 0 aへ吐 出するための第 2吐出弁 3 1 1 bが設けられている。 この第 2吐出弁 3 1 1 bは 上記第 2吸入弁 3 1 1 aとともに第 2弁機構 3 1 1を構成している。
ボビン 3 1 3内には、 ビス トンシャフ ト 3 1 2の中空部 3 1 2 aに一-端が連通 状態で連結された可動体空間部 3 1 3 aが形成されており、 その他端および本体 ハウジング 3 0 1間にはボビン 3 1 3の上下動に伴って伸縮する連通管 3 3 1が 取付けられている。 ここで、 連通管 3 3 1としては伸縮性の有するものであれば よく、 たとえば、 ベローズ状管、 コイル状管等を用いている。
以上の構成により、 下部圧縮室 3 0 2からの圧縮ガスは、 第 1吐出弁 3 0 8 b を介して第 1 ピストン 3 0 7の中空部 3 0 7 aに吐出され、 ピス トンシャフ ト 3 1 2の中空部 3 1 2 a、 ボビン 3 1 3の可動体空間部 3 1 3 a、 連通管 3 3 1お よびガス流路配管 1 2 5を介して凝縮器 1 2 2に供給される。 同様に、 上部圧縮 室 3 0 3からの圧縮ガスは、 第 2吐出弁 3 1 1 bを介して第 2ピストン 3 1 0の 中空部 3 1 0 aに吐出され、 ビストンシャフ ト 3 1 2の中空部 3 1 2 a、 ボビン
3 1 3の可動体空間部 3 1 3 a、 連通管 3 3 1およびガス流路配管 1 2 5を介し て凝縮器 1 2 2に供給される。
図 1 7および図 1 8に、 下部圧縮室 3 0 2および上部圧縮室 3 0 3からのガス 吐出時における状態をそれぞれ示す断面図を示す。 ここで、 図中矢印はピストン 3 0 7、 3 1 0の変位方向と、 そのピス トン 3 0 7、 3 1 0の移動に伴う下部圧 縮室 3 0 2の圧縮ガスの流れを示している。
両図からも明らかなように、 第 1 ピス トン 3 0 7の下方向への移動に伴って、 下部圧縮室 3 0 2の圧縮ガスが、 第 1吐出弁 3 0 8 b、 第 1 ピス トン 3 0 7の中 空部 3 0 7 a、 ピス トンシャフ ト 3 1 2の中空部 3 1 2 a、 ボビン 3 1 3の可動 体空間部 3 1 3 a , 連通管 3 3 1およびガス流路配管 1 2 5を介して凝縮器 1 2 2に供給され (図 1 7参照) 、 逆に第 2ビス トン 3 1 0の上方向への移動に伴つ て、 上部圧縮室 3 0 3の圧縮ガスが、 第 2吐出弁 3 1 1 b、 第 2ピス トン 3 1 〇 の中空部 3 1 0 a、 ピス トンシャフ 卜 3 1 2の中空部 3 1 2 a、 ボビン 3 1 3の 可動体空間部 3 1 3 a , 連通管 3 3 1およびガス流路配管 1 2 5を介して凝縮器 1 2 2に供給される (図 1 8参照) 。
このように、 第 1および第 2吐出弁 3 0 8 b、 3 1 1 bがハウジング 3 0 1内 の第 1および第 2ピス トン 3 0 7、 3 1 0にそれぞれ設けられ、 吐出空間部分が ハウジング本体内部にモ一ルドされた構成となるので、 ガス脈動による配管での 振動音や弁操作音がハウジング 3 0 1内に遮音されることとなり、 防音用の吐出 マフラを新たに設ける必要がない。
また、 下部圧縮室 3 0 2および上部圧縮室 3 0 3からの圧縮ガスがハウジング 3 0 1外部へ同一の連通管 3 3 1から吐出されるので、 ハウジング 3 0 1外部で 2本のガス流路配管 1 2 5を連結する必要がない。
なお、 第 1スプリング受部 3 2 2および第 2スプリング受部 3 2 3を軸受とす る構想を用いても同様の効果を得ることができる。
(実施例 7 )
本実施例におけるリニアコンプレッサは、 上述した図 2 6に示す如く、 密閉型 の冷凍システムの圧縮機として用いられる。 このリニアコンプレッサとしては、 図 1 9に示すように、 外周が密閉円筒状のハウジング 4 0 1によって包囲され、
リニアコンプレッサを密閉空間として保持している。 このハウジング 4 0 1は、 その下部および上部に圧縮室 4 0 2、 4 0 3を有している。
ハウジング 4 0 1の上部には低炭素鋼からなる磁気枠 (ヨーク) 4 0 4が形成 され、 このヨーク 4 0 4の中心部には上下方向に延びるシリンダ嵌装孔 4 0 5が 貫通形成され、 このシリンダ嵌装孔 4 0 5にはステンレス鋼からなる有底円筒状 の第 1シリンダ 4 0 6が嵌合されている。
第 1シリンダ 4 0 6内には、 第 1 ピス トン 4 0 7が微小間隙を介して往復可能 に嵌装されており、 第 1シリンダ 4 0 6と第 1 ピストン 4 0 7により冷媒ガスの 圧縮空間となる上部圧縮室 4 0 2が区画形成される。 第 1シリンダ 4 0 6には外 部のガス流路配管 1 2 5と接続し、 蒸発器 1 2 4で気化した冷媒ガスを吸入する ための第 1吸入弁 4 0 8 aが設けられている。
一方、 第 1シリンダ 4 0 6と反対側のハウジング 4 0 1の下部には、 上下方向 に延びる第 2シリンダ 4 0 9が設けられており、 その第 2シリンダ 4 0 9内には 第 2ビス トン 4 1 0が微小間隙を介して往復可能に嵌装されており、 第 2シリン ダ 4 0 9と第 2ビス トン 4 1 0により冷媒ガスの圧縮空間となる下部圧縮室 4 0 3が区画形成される。 上部圧縮室 4 0 2と同様に、 第 2シリンダ 4 0 9には外部 のガス流路配管〗 2 5と接続して、 蒸発器 1 2 4で気化した冷媒ガスを吸入する ための第 2吸入弁 4 1 1 aが設けられている。
第 1 ピス トン 4 0 7および第 2ピス トン 4 1 0は、 ビス トンシャフ ト 4 1 2で 連結されており、 第 1 ピス トン 4 0 7側が開放された有底円筒状の可動体 (ボビ ン) 4 1 3がピストンシャフト 4 1 2の中心位置に一体固定されている。
また、 ョ一ク 4 0 4には、 シリンダ嵌装孔 4 0 5と同心状に配置された環状の 凹部 4 1 5が形成され、 この凹部 4 1 5の外側側面 4 1 5 aには環状の永久磁石 4 1 6が內側側面 4 1 5 bとの間に所定の間隙 Sをあけて取付けられており、 こ の磁石 4 1 6およびヨーク 4 0 4によってリニアモータ 4 1 7の磁気回路 4 1 8 が構成され、 この磁気回路 4 1 8によって磁石 4 1 6と凹部 4 1 5内側側面との 間の間隙 Sに所定強度の磁界を発生させるようにしている。
ボビン 4 1 3が磁石 4 1 6およびヨーク 4 0 4からなる磁気回路 4 1 8の一部 に形成した間隙 Sに配設され、 ボビン 4 1 3の外周に卷回された電磁コイル 4 1
9に所定周波数の交流電流を供給することによって第 1 ビス トン 4 0 7およぴ第 2ピストン 4 1 0をそれぞれ第 1シリンダ 4 0 6および第 2シリンダ 4 0 9内で 往復移動させて、 上部圧縮室 4 0 2および下部圧縮室 4 0 3において所定周期の ガス圧を発生させるようになされている。
また、 ピス トンシャフ ト 4 1 2には、 第 1 ピス トン 4 0 7および第 2ピストン
4 1 0を往復可能に弾性支持するための板状のサスペンションスプリング 4 2 0 が設けられている。 サスペンションスプリング 4 2 0は、 その中心部がピス トン シャフト 4 1 2の中心位置に一体固定され、 外周部がハウジング 4 0 1に固定さ れて第 1ピス トン 4 0 7および第 2ビス トン 4 1 0を往復可能に弾性支持してい る。 なお、 サスペンションスプリング 4 2 0はばね鋼から構成されており、 その 具体的形状については、 図 2 8で説明したものと同じであるためここでの詳細な 説明は省略する。
このように、 両側に圧縮室 4 0 2、 4 0 3を有するリニアコンプレッサにおい て、 ビストンシャフ ト 4 1 2の中心位置にサスペンションスプリング 4 2 0を配 設することにより、 第 1および第 2ピス トン 4 0 7、 4 1 0のス トローク中心位 置を一定制御することが容易となる。
さらに、 上記第 1 ピス トン 4 0 7、 ビス トンシャフト 4 1 2には、 第 1シリン ダ 4 0 6内の上部圧縮室 4 0 2からの圧縮ガスを後述する第 1気体軸受部 4 4 1 および第 2気体軸受部 4 4 2に供給するための第 1連通路 4 5 1が設けられてお り、 また第 2ビス トン 4 1 0およびビス トンシャフト 4 1 2には、 第 2シリンダ 4 0 9内の下部圧縮室 4 0 3からの圧縮ガスを第 1気体軸受部 4 4 1および第 2 気体軸受部 4 4 2に供給するための第 2連通路 4 5 2が設けられている。
第 1気体軸受部 4 4 1および第 2気体軸受部 4 4 2では、 第 1 ビストン 4 0 7 が上支点近傍に位置する圧縮工程において、 第 1シリンダ 4 0 6内の上部圧縮室 4 0 2からの圧縮ガスの一部を第 1連通路 4 5 1を介してビス トンシャフト 4 1 2から軸受側に噴出せしめ、 一方、 第 2ビス トン 4 1 0が上支点近傍に位置する 圧縮工程において第 2シリンダ 4 0 9内の下部圧縮室 4 0 3からの圧縮ガスの一 部を第 2連通路 4 5 2を介してビス トンシャフ 卜 4 1 2から軸受側に噴出せしめ る。
これにより、 第 1 ピストン 4 0 7および第 2ビス トン 4 1 0の上下支点近傍で は、 サスペンションスプリング 4 2 0が延びきつた状態となるため、 サスペンシ ョンスプリング 4 2 0によってビス トンの軸振れを十分に制御できないが、 その 代わりに、 第 1気体軸受部 4 4 1、 第 2に気体軸受部 4 4 2によって第 1 ピス ト ン 4 0 7および第 2ピストン 4 1 0の軸振れを確実に防止することが可能となる。 以上の構成により、 第 1ピストン 4 0 7が上支点近傍に位置する期間において、 上部圧縮室 4 0 2と気体軸受部 4 4 1、 4 4 2との圧力差が大きくなり、 その上 部圧縮室 4 0 2からの圧縮ガスの一部が第 1連通路 4 5 1を介して第 1気体軸受 部 4 4 1および第 2気体軸受部 4 4 2に供給され、 ビス トンシャフト 4 1 2から 軸受側に圧縮ガスが吹付けられる。
また、 第 2ピス トン 4 1 0が上支点近傍に位置する期間において、 下部圧縮室 4 0 3と気体軸受部 4 4 1、 4 4 2との圧力差が大きくなり、 その下部圧縮室 4 0 3からの圧縮ガスの一部が第 2連通路 4 5 2を介して第 1気体軸受部 4 4 1お よび第 2気体軸受部 4 4 2に供給され、 ピストンシャフト 4 1 2から軸受側に圧 縮ガスが吹付けられる。
図 2 0および図 2 1に、 上部圧縮室 4 0 2および下部圧縮室 4 0 3からのガス 吐出時における状態をそれぞれ示す断面図を示す。 ここで、 図中矢印はピストン 4 0 7、 4 1 0の変位方向と、 そのピス トン 4 0 7、 4 1 0の移動に伴う上部圧 縮室 4 0 2の下部圧縮室 4 0 3の圧縮ガスの流れを示している。
両図からも明らかなように、 第 1 ピス トン 4 0 7の上支点近傍への移動に伴つ て、 上部圧縮室 4 0 2の圧縮ガスが、 第 1連通路 4 5 1を介して第 1気体軸受部 4 4 1および第 2気体軸受部 4 4 2に供給され (図 2 0参照) 、 逆に第 2ピス ト ン 4 1 0の上支点近傍への移動に伴って、 下部圧縮室 4 0 3の圧縮ガスの一部が、 第 2連通路 4 5 2を介して第 1気体軸受部 4 4 1および第 2気体軸受部 4 4 2に 供給される (図 2 1参照) 。
また、 第 1 ピス トン 4 0 7および第 2ビス トン 4 1 0が中立点付近に位置して いるときには、 圧縮室 4 0 2、 4 0 3と気体軸受部 4 4 1、 4 4 2との圧力差が 小さくなるため、 ピス トンシャフ ト 4 1 2から軸受側に圧縮ガスが吹付けられず、 気体軸受部 4 4 1、 4 4 2として十分な効果は期待できないが、 この場合には、
サスペンションスプリング 4 1 2によって第 1 ピス トン 4 0 7および第 2ビスト ン 4 1 0の軸方向の位置規制が行なわれることになる。 したがって、 圧縮室 4 0 2、 4 0 3からの圧縮ガス供給に伴う装置の効率化が極力抑えることができる。 したがって、 第 1 ピス トン 4 0 7および第 2ビス トン 4 1 0が中立点付近に位 置しているときには、 サスペンションスプリング 4 1 2によって第 1 ピス トン 4 0 7および第 2ビストン 4 1 0の軸方向の位置規制が行なわれ、 一方、 第 1ビス トン 4 0 7および第 2ビストン 4 1 0が上支点近傍に位置しているときには、 上 述の第 1気体軸受部 4 4 1および第 2気体軸受部 4 4 2によって第 1 ビス トン 4 0 7および第 2ピストン 4 1 0の軸方向の位置規制が行なわれることとなり、 簡 易な構成でピス トン 4 0 7、 4 1 0のストローク中心位置を一定にするとともに ピス トン 4 0 7、 4 1 0の往復動駆動時におけるピス トン 4 0 7、 4 1 0の軸振 れを制限してビストン部分の摩耗を防止し、 装置の長寿命化を図ることができる。 なお、 第 1連通路 4 5 1および第 2連通路 4 5 2を第 1 ピス トン 4 0 7、 第 2 ピス トン 4 1 0およびピストンシャフ ト 4 1 2に設ける場合について説明したが、 この他に、 これら連通路 4 5 1、 4 5 2を第 1シリンダ 4 0 6、 第 2シリンダ 4 0 9およびハウジング 4 0 1内に設け、 シリンダ 4 0 6、 4 0 9側からピストン シャフ ト 4 1 2側へ圧縮ガスを噴出させる構成にしても構わない。
(実施例 8 )
以下、 図を参照しながらこの実施例におけるリニアコンプレッサの構造につい て説明する。
まず、 図 2 2を参照して、 この実施の形態におけるリニアコンプレッサ 5 0 1 の構造について説明する。 なお、 図 2 2は、 マグネット可動型のリニアコンプレ ッサ 5 0 1を示す断面図であり、 ビス トンが中立点に位置する場合を示している。 このリニアコンプレッサ 5 0 1は、 圧縮室 5 1 4を有するシリンダ 5 0 5 aと 円简状のケーシング 5 0 5 bとが一体的に形成されている。 圧縮室 5 1 4には、 冷媒ガスを圧縮するためのビス トン 5 0 2 aが配設され、 ピス トン 5 0 2 aには、 シャフトが嵌装されている。 圧縮室 5 1 4の上方には吸入マフラ 5 0 8と排気マ フラ 5 0 9とが設けられている。
シャフト 5 0 2 bには、 その縦断面形状が略 H形状のマグネットベース 5 0 7
が取付けられている。 このマグネットベースの外側には、 上下 2段に永久磁石 5 0 4 a , 5 0 4 bが取付けられている。 上段の永久磁石 5 0 4 aは、 外側が S極 となるように、 下段の永久磁石 5 0 4 bは外側が N極となるように配設されてい る。
また、 永久磁石 5 0 4 a、 5◦ 4 bに対向するケ一シング 5 0 5 bには、 永久 磁石 5 0 4 aを取囲むようにコイル 5 0 3 a力 永久磁石 5 0 4 bを取囲むよう にコイル 5 0 3 bが配設されている。 この永久磁石 5 0 4 a , 5 0 4 b , コイル 5 0 3 a , 5 0 3 bによりピストン 5 0 2 aに上下動を与えるためのリ二ァモ一 タを構成する。
シャフ ト 5 0 2 bの上下には、 シャフト 5 0 2 bの軸振れを防止するための薄 板からなるサスペンションスプリング 5 1 0, 5 1 1が取付けられている。 この サスペンションリング 5 1 0 , 5 1 1の平面形状はさまざまな形状が選択される 力 たとえば'渦巻状、 十字形状などの形状が用いられる。
また、 シャフ ト 5 0 2 bのコイルベース 5 0 7によって規定される内部空間に は、 中立点から離れたビス トン 5 0 2 aを常に中立点に復帰させるためのコイル スプリング 5 0 6 a, 5 0 6 bが設けられている。 このコイルスプリング 5 0 6 a , 5 0 6 bは、 それぞれ一方端がコイルベース 5 0 7に支持され、 他方端が支 持プレート 5 1 2、 5 1 3に支持されている。
ここで、 このリニアコンプレッサ 5 0 1は、 ピストン 5 0 2 a、 シャフト 5 0 2 bの重量、 サスペンションスプリング 5 1 0, 5 1 1のばね定数、 コイルスプ リング 5 0 6 a, 5 0 6 bのばね定数および圧縮ガスのばね成分などから定まる 共振周波数を有している。 したがって、 この共振周波数でリニアモータを駆動さ せることにより、 圧縮ガスを効率的に生成することが可能となる。
次に、 上記構成よりなるリニアコンプレッサ 5 0 1を用いた場合の動作につい て、 図 2 3および図 2 4を参照して説明する。 なお、 図 2 3は、 再膨張 ·吸入行 程を示し、 図 2 4は、 圧縮 ·吐出行程を示している。
まず、 図 2 3を参照して、 コイル 5 0 3 aに、 ピストン 5 0 2 a側から見た場 合に、 反時計方向に流れる電流を与え、 コイル 5 0 3 bには、 ピストン 5 0 2 a 側から見た場合時計方向に流れる電流を与える。 これにより、 コイル 5 0 3 aに
は、 図中矢印 A 1の矢印で示す方向に磁界が発生し、 コイル 5 0 3 bには、 図中 矢印 A 2の矢印で示す方向に磁界が発生する。 その結果、 永久磁石 5 0 4 a , 5 0 4 bには、 それぞれ下向きの力 (図中矢印 Dに示す方向) が加わり、 ピス トン 5 0 2 aを下方へ移動させることになる。
次に、 図 2 4を参照して、 コイル 5 0 3 aに、 ピス トン 5 0 2 a側から見た場 合に、 時計方向に流れる電流を与え、 コイル 5 0 3 bには、 ピス トン 5 0 2 a側 から見た場合反時計方向に流れる電流を与える。 これにより、 コイル 5 0 3 aに は、 図中矢印 A 3の矢印で示す方向に磁界が発生し、 コイル 5 0 3 bには、 図中 矢印 A 4の矢印で示す方向に磁界が発生する。 その結果、 永久磁石 5 0 4 a , 5 0 4 bには、 それぞれ上向きの力 (図中矢印 Uに示す方向) が生じ、 ピス トン 5 0 2 aを上方へ移動させることになる。
このようにして、 図 2 3および図 2 4に示す工程を順次繰返すことにより、 圧 縮室 5 1 4において圧縮ガスを生成することが可能となる。
以上、 図 2 2に示す構成よりなるリニアコンプレッサにおいては、 マグネット 可動型のリニアモータに適用した場合において、 シャフト 5 0 2 bの上下に、 シ ャフ ト 5◦ 2 bの軸振れを防止するためのサスペンションスプリング 5 1 0, 5 1 1を設けることにより、 シャフト 5 0 2 bの軸振れを防止する。 これにより、 ピストン 5 0 2 aとシリンダ 5 0 5 aとの間の摩擦による駆動力の損失を回避し、 効率を向上させることが可能となる。
また、 リニアモータに用いられるマグネットベース 5 0 7の縦断面形状を H形 状とすることで、 このマグネットベース 5 0 7によって形成される内部空間にコ ィルスプリング 5 0 6 a, 5 0 6 bを収容する構成を取っている。 その結果、 リ 二アコンプレッサ内の内部空間が効率よく用いられ、 リニアコンプレッサの小型 化を実現させている。
なお、 コイルスプリング 5 0 6 a , 5 0 6 bの役割をサスペンションスプリン グ 5 1 0, 5 1 1に兼用させて、 サスペンションスプリング 5 1 0, 5 1 1のみ の構造とすることも考えられる力;、 サスペンションスプリング 5 1 0 , 5 1 1の ばね定数を大きくすると金属疲労による破壊の危険性が高くなる。 したがって、 上述したようにコイルスプリング 5 0 6 a , 5 0 6 bとサスペンションスプリン
グ 5 1 0, 5 1 1とを併用する構造が最も好ましいと考えられる。
(実施例 9 )
また、 上述した実施例 8においては、 シリンダが 1つの場合について説明した 力;、 たとえば図 2 5に示すように、 下端部にさらに圧縮室 5 1 5を設けるシリン ダ 5 0 5 bを設け、 シャフト 5 0 2 bの下端側にピス トン 5 0 2 bを設けること により、 2ピス トン型リニアコンプレッサを構成するようにしても、 上述した 1 ピストン型リニアコンプレッサと同様の作用効果を得ることができる。 また、 コ ィル可動型のリニアコンプレッサに上述した構造を適用することによつても同様 の作用効果を得ることができる。
以上、 今回開示した実施例はすべての点で例示であって制限的なものではない と考えられるべきである。 本発明の範囲は上記した説明でなく特許請求の範囲に よって示され、 特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含 まれることが意図される。 産業上の利用可能性
以上のように、 本発明に係るリニアコンプレッサは、 密閉型の冷凍システムに 用いられるリ二アコンプレッサに適している。